シリーズ:叡山大師の光芒(全4回) 第3回:「一隅を照らす」と「忘己利他」の真意 最澄が比叡山で目指したのは、単なる僧侶の育成ではありませんでした。それは、社会のどこにいても光り輝き、他者のために尽くせる「国宝」のような人材を育てること。現代の私たちの生き方にも通じる、最澄の普遍的なメッセージを紐解きます。 1. すべての人に「仏」の可能性がある 最澄の教えの根底にあるのは、法華経の「一乗思想」です。当時、南都の法相宗(徳一ら)は「悟りを開ける人間は決まっている」というエリート主義を唱えていました。 これに対し最澄は、「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」——すべての生きと…