六月の歌舞伎座公演を観劇。近年上演されている印象の萬屋を中心とした興行である。屋号こそ萬屋と播磨屋に別れてしまってはいるものの、元は三代目時蔵を始祖とする伝統ある萬屋。三代目時蔵は子宝に恵まれてはいたのだが、その子供達の中で歌舞伎界に残ったのは四代目時蔵のみ。その四代目が早逝してしまったので、長く萬屋は日の目を見ない時代が続いていた。加えて後継がいない事を案じた亡き吉右衛門が、歌六と又五郎(当時歌昇)を播磨屋に引き抜いてしまった事もあり、増々萬屋は先細りしてしまう事となった。 しかし自らは映画界に移籍してしまった三代目の息子である中村錦之介が、親類が梨園の中で冷遇されている事を憂いて芸名を萬屋…