映画『望み』は、雫井脩介の同名小説を原作とするヒューマンサスペンスであり、家族の「信じたい気持ち」と「恐れる気持ち」が交錯する緊張感あふれる作品だ。 監督は『イニシエーション・ラブ』『十二人の死にたい子どもたち』などで独特のサスペンス演出を手掛けてきた堤幸彦。そして主演には、堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶という豪華キャストが揃い、観る者を心理的に揺さぶる演技を見せてくれる。 映画を観終わった後、私はしばらく席から立てなかった。ストーリーの結末が衝撃的だったからではない。この映画が描く「家族の崩壊と再生」「世間の目」「信じることの苦しみ」といったテーマが、あまりにもリアルで、現実に置き換…