かわかみ・ひろみ 作家。1958年(昭和33年)東京都に生まれる。 お茶の水女子大学理学部卒。1980年、大学在学中に、山野浩一発行・山田和子編集のニュー・ウェーブSF雑誌「季刊NW-SF」15号に、「小川項」名義の短編「累累」でデビュー。次号16号で旧姓「山田弘美」名義の短編「双翅目」も発表、また、「女は自ら女を語る」という座談会にも参加。また同号から、編集者として参加。
こんにちは。 偶には音楽ではなく文学の話もします。作品を紹介した後に、私の感想でも書いていこうかなと。 紹介するのは川上弘美の短編集『神様』に収録されている「離さない」という話です。短編ですから普段小説を読まない方でもさらっと読めると思います。 「離さない」は川上弘美作品の中で異彩を放っている作品です。著者特有の、不思議な生き物が当然のように存在している世界観はそのままです。しかし、他の作品が切なくも暖かいのに対して「離さない」は恐ろしくて冷たいです。ある種のホラーとして捉えることもできます。 ですが怖いだけではなく、短い話の中に濃縮されている「執着」を紐解く面白さがあります。 私は文学作品を…
2017年6月のブログです * 太田和彦さんの『みんな酒場で大きくなった』(2017・河出文庫)を読みました。 太田さんといえば、テレビの居酒屋訪問番組でおなじみのおいしいお酒とおいしい料理をこよなく愛する人ですが、本書では同じようにおいしいお酒と料理とそしてすてきな会話を楽しむゲストとの対談集です。 ゲストは、俳優の角野卓造さん、作家の川上弘美さん、椎名誠さん、漫画家の東海林さだおさん、その他の面々で、いずれも素敵なお酒の吞み方とお話が素敵です。 じーじは、特に、川上弘美さんと椎名誠さんの大フアンなので、とっても楽しく読ませていただきました。 みなさん、いわば芸術家のせいか、お酒と料理と会話…
王将の前で待つてて 作者:川上 弘美 集英社 Amazon 「王将の前で待つてて」 川上弘美(著) 集英社 内容 まさか俳句のキャリアが30年もあったとは! まとめ こんな人にオススメ こんにちは、ちわぷ〜です! ahamoに変えてライフスタイルに合わなくなったのと、ケータイ補償がいつでもカエドキプログラムの場合あまり役に立たない事を知り、dカードゴールドから通常のdカードにダウングレード… かつてはむしろdカードからdカードゴールドにアップグレードさせて頂いていただけに、申し訳ない気持ちになりつつポチり。 てゆうか、dカードの切り替えメチャクチャ簡単でびっくり! 細かい情報は既に発行時に入力…
今回は川上弘美さんの『ざらざら』を紹介します。 川上さんの掌編集『ぼくの死体をよろしくたのむ』を読んで、独特な感じがクセになるなと感じたので、ほかも読みたくなり、買って満足はや2年。時の流れは早いですね。(言い訳) 子育て中で、まとまった時間が取れないので少しずつ読めるものを……と思っていたら、いいのがあるじゃないのココに。 この時のために積読しておいたようなものです。(言い訳) 目次 あらすじ 感想 『ラジオの夏』 『びんちょうまぐろ』 『菊ちゃんのおむすび』 『コーヒーメーカー』 『月世界』 『春の絵』 『淋しいな』 『えいっ』 『笹の葉さらさら』 『クレヨンの花束』 最後に あらすじ 懐…
横浜中華街駅からあるいて港の見える丘公園の奥に、神奈川近代文学館はある。なんか最近きたばっかな気がするなと思っていたんですが、橋本治展にいったんでした。 で、今回は、 安部公房展! めちゃ面白かった。安部公房が好きだからってのはもちろんなんですが、映画演劇音楽と小説以外の安部公房を見ることができて。 そして貴重な写真たち。ちょっと高めの図録買っちゃった。大江健三郎さんと車内でのツーショットとかかわいいの!(かわいいっていっていいものなのか!?) そして今回(11月17日)は川上弘美さんと三浦雅士さんのトークショーがあったんだけど、これがまたすごかった。三浦さんのファンになってしまった! しゃべ…
この前、何となく買った川上弘美の短篇集。 前に読んだときにも思ったけれど、何となく少女漫画の感じがする。 何がどうという説明はできないのだけれど、少女漫画のような肌触りがする。 「くま」は最初と最後に登場し、途中「ウテナさん」が活躍する。 連作のようでもあり、そうでもない。 「離さない」はホラー小説と言っても良いのではないだろうか。 それでもトータルの雰囲気は少女漫画なのだが、周りに川上弘美を読んでる人がいないので、自分だけの感覚なのか良く分からない。 神様 (中公文庫) 作者:川上弘美 中央公論新社 Amazon 神様【電子書籍】[ 川上弘美 ]価格: 503 円楽天で詳細を見る ランキング…
川上弘美さんの句集が文庫化された。この「機嫌のいい犬」が第Ⅰ句集で、第2句集「王将の前で待ってて」が12月に刊行されるので、シリーズものの映画の最新作がでる際に過去作品がテレビで放映させるのと似たようなものか。「王将の前」って、やはり「餃子の王将」のことだろうかと次に出る句集も気になっている。 機嫌のいい犬 (集英社文庫) 作者:川上 弘美 集英社 Amazon 俳句や短歌について語る資格はまずないし、穂村弘さんなども含めて短歌集はそれでも読むが、俳句は割と縁遠い。松尾芭蕉関連の本を読んだり、久保田万太郎の句集を読んだりしたくらいだろうか。川上弘美さんが俳句を詠むと知ったのも、新聞広告でこの本…
これでよろしくて? (中公文庫) 作者:川上弘美 中央公論新社 Amazon 川上弘美著「これでよろしくて?」を読んだ。主人公は38歳の専業主婦、菜月。夫の光と2人暮らしで、子供はいない。特に大きな不満もなく淡々と暮らしている中に一つの転機が訪れる。 商店街で偶然、昔付き合っていた男の母親に会ったのだ。 これでよろしくて?同好会。 不思議な巡り合わせで土井・母からこの奇妙な名刺を受け取り、そして同好会に入ることにしたのだった。 これでよろしくて?同好会 私生活に生きる「他者視点」 日常にしょうもない議論を これでよろしくて?同好会 同好会のメンバーは主人公を入れて5人。土井・母を筆頭に、4回結…
久しぶりに川上弘美を読んでみようと思ったのは、酔っぱらっていたからかもしれない。 酔った帰りにブッ〇オフで何となく買った。 何冊か読んだのが数年前だった気がしている。 川上弘美の小説は少女漫画的な印象がある。 少女漫画とは何か、という話はたぶん複雑で入り組んだものになるような気がするけれど、端的に言えば、登場人物たちは性的な匂いはしないし、日常の機微な出来事が大層な事のようにクローズアップされる世界だと思う。 高校の恩師であるセンセイと、かつての教え子であった主人公の、淡い恋情の物語である。 例によってあらすじをまとめたりしないが、30才ほど年の離れた2人という設定自体が少女漫画的だとも言える…
好きな小説を教えてというテーマを見て書かずにはいられなかった。 私の一番好きな小説 どこから行っても遠い町 川上弘美作 これは私の人生の中で最高の小説と言っても過言ではない。連作短編モノは手の空いた時にサクっと読めるのでだいたい好きなのだけども、これは通常のそれとは一線を画している。 この小説に載っている物語は全てひとつの町の中で起きた出来事なのだが、その中でも三作品で登場人物が共通して出演している。 その三作品は「小屋のある屋上」「どこから行っても遠い町」「ゆるく巻くかたつむりの殻」 「小屋のある屋上」では塾講師の女性の視点で物語が進む。よく通う魚屋は気のいいご主人と、もう一人の源さんという…