書き下し文:『論語 (漢文叢書)』WIKISOURCE子曰く、巧言令色、鮮(すくな)し仁。 訳:下村湖人『現代訳論語』青空文庫 先師がいわれた。――「巧みな言葉、媚びるような表情、そうした技巧には、仁の影がうすい。」 専門家の訳を楽しむ まず、下村湖人の訳を楽しみます。 本章の下村訳を楽しむためには少し知識が必要です。 まず、仁についての理解が必要です。 論語では仁についてたくさん語られているのですが、その仁を定義的に語ることは難しいとみなされています。仁の解説の例を紹介します。 仁:誠実な思いやりや人間愛など、様々な要素を包括した大いなる徳義(井波律子『完訳 論語』) 仁は「人が人であるため…