正徳4年5月5日。日置村山の神の神木である大榎の穴へ嶋鴨の巣を探すと地元の12、3歳ばかりの百姓の子が、連れの子に麦がらを踏み台にさせ、その肩に上がって巣を探していると、下の子が踏み台にした麦がらから滑って落ち、上の子は穴に手を指し入れたまま宙ぶらりんとなり、どうしても手が抜けなくて泣き出し叫んだ。誰が言い出したのかわからないが、大榎から蟒蛇(大蛇)が出て来て小さな子を吞み込んだと御園・堀川はもちろん、広井あたりまで伝わった。晩になって大工を呼び、手の際を掘ってようやく抜いたけれど、しばらく食事もとらず、手は腫れ、目などを回したと。昔からこの木には祟りがたくさんあったと。先年も枝を切って乱心し…