鹿児島には、なぜか理由をうまく説明できない「近づいてはいけない気がする木」がある。私にとって、それはアコウの木だった。 子どもの頃のアコウは、ただ怖かった 集落のはずれに立つアコウは、とにかく大きかった。幹は何本にも分かれ、根は地面を這い、ほかの木を絡め取るように広がっていた。 葉は一年中生い茂り、木の下は昼でも薄暗い。夕方になると、その場所だけ空気が変わる。理由はわからない。ただ、自然と足早になる。子どもながらに「何かいる」と感じていた。 後になって知ったのが、「絞め殺しの木」という呼び名だった。他の樹木に絡みつき、包み込み、やがて枯らしてしまう。あの得体の知れなさは、思い込みではなかったの…