作品前書き引用:「ぼくにはなにもない。家族も、恋人も、生きがいも、やる気も、健康も、生きる意味さえも・・・」中年男性の〈ぼく〉が問いかける、「幸せの在り処」の物語。人生の節目、折り返し地点、中年期を迎えてふりかえってみると、「なにもない自分」に気づきます。奮起して「望ましい自分」になることができる人は、まだ幸せと言えるかもしれません。しかし、歳を重ね行くことで、気力や意欲、その他世の中が評価するものさえ失って、途方に暮れることもあります。歳を取り、多くの力を失い、なお「なにもない自分」には、もうなんの幸せも見つけることはできないのか・・・。心の奥深くに湧くつぶやきのような小さな物語を通して、た…