はじめに 夏目漱石が「とかくに人の世は住みにくい」と嘆いたのは今から120年近くも前だが、その頃と比べてどれほど住みやすくなっただろうか。 なぜ人の世はこんなに住みにくいのか。どうすれば、自分の人生を生きることができるだろうか。 内科・心療内科医が自分の人生を守るために大切なことを書いた『我慢して生きるほど人生は長くない』を足がかりに「自分の人生を生きる」にはどうすればいいかを考えてみたい。 a.r10.to 自分で自分を物語る時代 イギリスの哲学者バートランド・ラッセルは「社会がより良く、より豊かになると、人はやることを失って不幸になる」と主張した。 社会的に解決すべき問題があるとき、人はモ…