本の紹介文、ブック・レビュー。 通常はいわゆる新刊本について行われることが多く、読者の書籍選びにあたって参考に供する意味を持つ。
ニッポンの書評 (光文社新書)
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大阪、猪飼野を舞台に、在日コリアンの不良少年たちの来し方を回想する昭和30年代グラフィティである。 現在こそコリアンタウンとして賑わう鶴橋界隈だが、当時は貧民窟のような場所だったらしい。在日コリアンが多く住み、暮らしは豊かではなく、粗暴少年が多かったようだがその行動は生き生きとしている。 当初は喧嘩三昧ぐらいだったのが、やがて愚連隊の子分となり、いろいろな悪事に手を染め、最後は本職のヤクザとの抗争で潰されるまでを、当時の社会状況、警察の資料などを引用しながら活写する。そしてこの時期を境に街は清潔に無臭となってきており、当時を懐かしむ筆致である。 自分が生まれたのが昭和30年代だから、この時期の…
非常に楽しい本でした。著者たちのYouTube動画も参考になりました。 一方で、外観の紹介はお腹いっぱいになり始めているので、「何故それが維持できるのか」「何故それが引き継がれているのか」の法律・税制・政治制度・経済制度・都市計画・価値観なども知りたくなってきました。 ・それぞれの物件の土地は所有権 or erbbaurecht? 建物や各部屋は所有権 or 賃借権?・湿気はどの程度あるか。結露対策はどうしているか。どのような災害があり、被災後の建て替え/復旧の判断基準は?・古い物件の住宅性能はどのようなものか?古い物件にセントラルヒーティングなどの最新設備をどのように導入されているのか? ・…
1.はじめに 2.内容 (1)成果を上げるために身に付けるべき5つの習慣 ①汝の時間を知れ ②どのような貢献ができるか ③強みを生かせ ④最も重要なことから始めよ ⑤意思決定とは何か (2)成果を上げる意思決定とは 3.教訓 ドラッカー名著集(1) 経営者の条件 [ ピーター・ファーディナンド・ドラッカー ]価格:1980円(税込、送料無料) (2021/8/14時点) 楽天で購入 1.はじめに 数々の名著を残したピーター・ドラッカー氏の本のうち、自身が一番感銘を受けた本書を採り上げます。 ダイヤモンド社のドラッカー名著集でも、1番の番号が振られているのも理由がわかる気がします。 日本語の表題…
翻訳がやや読み辛かったですが、面白い本でした。 モーゼスもジェイコブスもどちらの議論も面白かったですが、都市計画の議論をする際にどちらが正しいかではなく、正しい議論の手続きが出来ているのか、ということが重要に感じました。 ワシントンスクエアパークを横断する道路計画、グリニッジビレッジの再開発、ロワーマンハッタン高速道路計画、を通じて二人は対決します。そしてその全てでジェイコブス氏が勝利します。 1955年のワシントンスクエアパークは、1949年の連邦住宅法の第1条で規定されているスラム問題の解決に関する予算も上手に使いながら進められることが想定されました。ただ、歴史の蓄積→有識者の反対→メディ…
あなたへの挑戦状作者:阿津川 辰海,斜線堂 有紀講談社Amazon 本書には、あなたへの挑戦状が含まれています。『紅蓮館の殺人』『透明人間は密室に潜む』の阿津川辰海と 『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』の斜線堂有紀が 「あなたへの挑戦状」というテーマで小説を書いて競い合う! てっきり読者への挑戦状だと思ってしまうやん。 ずるいっ! 『「あなたへの挑戦状」というテーマ』という表現も異議あり! 本書は阿津川辰海、斜線堂有紀の二人がお互いに謎だけを出し合い、 その謎を解決する作品を競作する、という主旨。 そういう趣向だというだけで、テーマがそれなわけではない。 ましてや読者は全然関係ないの…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 仕事って何でしょうか? 何のためにしなきゃいけないのでしょうか? 働くって何でしょうか? 働いた結果として手に入れるべきは何でしょうか? キャリアって何でしょうか? どんなキャリアが望ましいのでしょうか? こういった哲学的な問いが これからの世の中では益々問われるように感じています。 それだけ「意味」や「意義」が理解できないと 長く続けることが難しい時代なんですよね。 いわゆる世間一般的な「答え」と 自分らしいオリジナルな「答え」があると思いますし、 これが正解だ!という 絶対的…
アメリカの住宅ローンはノンリコースローンである、というような記述があったりしましたが経済学の観点からの不動産市場への提言に関して、色々と参考になりました。 ニューヨークの昼夜人口比率が概ね100%であり、丸の内エリアは2000%程度である点などが紹介されていましたが、ニューヨークの通勤時間も長そうです。ロンドンでもあるようなピークロードプライシングは面白そうです。 都心部の高度利用→容積率緩和という議論も重要だと思いますが、国土の有効利用が出来ていない点の方がもっと問題だと思うんですよね。東京の都市計画道路の未開通区間が多すぎることによる損失、東京の環状鉄道構想「東京山手急行電鉄」があったとき…
1996年に出版された大蔵省理財局出身・世界銀行理事という方の土地公有論でした。なかなか興味深かったです。 以下の文章が印象的でした(p243) 「私はよく外国を旅行するが、何となく日本の都市や町や村が美観に欠け、雑然としてダラシなく目に映るのは、日本人の日本の土地の把握の仕方と利用計画、建設とその後の管理が、公益性、客観性を欠き、その都度その都度の政治的な事情や関係者の利害調整だけのご都合主義で処理されてしまっているためではなかろうか。」 メモ: ・地価変動は人口の増減、公共施設の移転、その他投資の集積など外部経済によるもの。地主の貢献は少ない。 ・日本の土地の絶対的所有権は地租改正時に当時…
みうらじゅんの、「ない仕事」の作り方を読んだ。 まえがきの、この文章に笑ってしまい読むことにした。 “マイブームを広げるために行っている戦略を、私は「一人電通」と呼んでいます。 電通とは日本を代表する広告代理店ですが、そこで行われていることを、全部一人でやってしまおうという意味です(ちなみに、博報堂の方とお仕事をする際は、「一人博報堂」に変更します)。” みうらじゅん氏は、好きだと思ったら ネーミングし、デザインし、宣伝の仕方を考え、編集者を接待してまでそれを売り込んでいく。 ただ好きなだけじゃだめで、それを何としてでも世に出すという強い熱意。 勝手なイメージだけどもっと斜に構えて、見つけても…
非常に面白い本でした。 ・1907年頃の「観音林」以来、郊外に商品として供給された住宅地は継承に苦しんでいる。住環境は高確率で劣化している。 ・戦前の郊外住宅地は「健康」がテーマであったとも言える。ただ、鉄道会社主導であったりと、結局は周辺での一定の宅地開発を前提とした利便性が想定されており、そのテーマは自らに滅びの遺伝子があった。 ・戦後の郊外住宅地は様々なテーマの住宅地やニュータウンが生まれたが、結局はベッドタウン。 ・イギリスでもレッチワースのような職住近接型の郊外よりはハムステッドのようなベッドタウンの方が主流。 ・アメリカの1980年代のエッジシティーの試みは現代的な職住近接型の郊外…
寒夜 上限の月が沈む *月は合成です。 友人セルジオのブログ「風屋敷日録」で北上次郎氏の逝去を知る。 「本の雑誌」の創刊当時の発行人であり編集長であり、書評家、読書案内人。 椎名誠の「もだえ苦しむ地獄の味噌蔵」に登場するシーナと戦う相手 目黒考二が彼で、 僕は目黒名義の書評集「中年授業」や「活字学級」を何度も読み返し、 Kindleで購入して、折に触れ、ライブラリーから呼び出しては読んでいた。 目黒氏には申し訳ないが、奨めている本はそれほど読んではいない。 この2冊の書評は、老いることの寂しさや悲しみが漂っていて、好きでした。 76歳、肺がんだったそうだ。 活字学級 (角川文庫) 作者:目黒 …
本日、紹介するのは本要約チャンネルさんの「「読む」だけで終わりにしない読書術」という本です。 【こんな人におすすめ】 【結論】 1.読むだけで終わりにしない3つの読書術 2.1万冊を読んでわかった本当に人生が変わる2つの最強習慣 【こんな人におすすめ】 ・人生を変える方法を知りたい人 ・読書を人生に活かす方法を知りたい人
ジェヨン[牧野美加訳] (2022年12月25日刊行,原書房,東京, 48 color plates +232 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-562-07243-9 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2023 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved書籍修繕は “本生” を進化させる神田神保町すずらん通りの〈東京堂書店〉で袖をぐっと引かれた本.韓国ソウルで書籍修繕工房を営む著者が “本生” を語る.書籍修繕という仕事が「この1冊」というトークン(token)を相手にしていることを知る. 前世紀末のことだったか,…
www.webdoku.jp 早朝にグーグルアプリでニュースを閲覧していて知った。ものすごくショックであった。 北上ラジオも更新されないし、どうしたのかなと思っていたのだった。 もっともっと長生きしてたくさん本を読んで欲しかった。なぜだろう、赤の他人が本を読んで喜んでいることが嬉しいなんて。いったい自分のごとき半端な本読みが、氏のどこに共感できたのだろうか。わからない。だけど、なぜか嬉しかった。 本名よりは、書評家の北上次郎名義のほうが有名だろう。文庫本の解説で氏の名前を目にした人も少なくないはず。 本の雑誌連載の『笹塚日記』を読んで、実際に笹塚を歩いたこともあった。あの頃は、あんなふうに憧れ…
もう明日から1月最後の週末ですね。早いもので1年の12分の1が終わりますよ…!
『発作的座談会』(椎名誠・沢野ひとし・木村晋介・目黒考二著・角川文庫)という本を高校の頃に高校の図書室で借りて読んでいます。ひとつのテーマに関して本の雑誌社の幹部が語ったものを活字化した本で、名誉のために書いておくと「無人島に持ってゆく本」等のテーマもあるものの「コタツとストーブどちらがえらいか」とか限りなくどうでもいいものも含まれるのでそこらへんは読みながら必死に笑いを堪えていました。そのなかに良い本を万人にすすめたいという観点から出た目黒さんがいいだしっぺの「日本読書株式会社」というのがあります。1ヶ月1000円の会費で中立な立場でカウンセリングしながら面白い本をすすめるなどの手法で本を紹…
2022年の紙と電子を合算した出版市場、前年比2.6%減の1兆6,305億円:全国出版協会・出版科学研究所の調査 https://current.ndl.go.jp/car/171560 新聞の総発行部数は3084万部 1年で218万部減 新聞協会調査 https://www.bunkanews.jp/article/313251/ 出版取次協会 大寒波の影響に伴う出版物の配送状況を公表 https://www.bunkanews.jp/article/314063/ 八重洲本店フィナーレ・イベント開催のお知らせ https://www.yaesu-book.co.jp/topics/2378…
https://membersmedia.m3.com/articles/7061 65歳すぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのサード・シーズン「新私の本棚・65歳超えて一般書で最新医学」の第5回。今回のテーマは新年でまた年を重ねたということで「理系の老後」を取り上げてみます。 わたしも医学部卒業以来40年、お世話になった先輩方はリタイアする人もちらほら。同僚たちは老後の人生を考える日々。後輩たちとは年ごとに年齢差が広がり、自分の子どもより若い世代が医師になる令和の日々。さすがに世代交代の必要性を感じ…
最近はバスケ関連本の感想ブログと化している当ブログですが、とりえあずこの『Unguarded』で書評はひとまずお休みにしようかなと思っております。NBA関連の本をちょっと原著で読んでみようかなと最初に考えたとき、この本が実は第一候補だったのですが、ペーパーバック版がまだ発売されていなかったので後回しにしていました。ハードカバーって実は読み辛くてちょっと苦手です。 本書の冒頭で説明されているのですが、この本はNetflixでヒットしたマイケル・ジョーダンの『THE LAST DANCE』のカウンターパンチ的に著されたものです。ピッペンに纏わる逸話にはいくつかそのような話がありますが、『THE L…
「本の雑誌社」前社長の目黒考二(めぐろ・こうじ)氏が19日、肺がんで死去した。76歳だった。告別式は近親者で行い、後日、お別れの会を開く予定。喪主は妻、有美子さん。 東京生まれ。1976年に作家の椎名誠さんと書評雑誌「本の雑誌」を創刊。2000年まで発行人を務めた。北上次郎の筆名でエンターテインメント小説書評の第一人者として活躍した。「冒険小説論」で1994年に日本推理作家協会賞を受けた。藤代三郎の筆名で競馬エッセーも多数手がけた。
2カ月99円のキャンペーンをやっていたので、今月6日からkindle unlimitedを利用している。このサービスはいろいろな新書が読み放題になるのが強みだが、残念ながら中公新書はまだ読めず…… と思っていたら、先日偶然読み放題対象になっている新書を発見した。 吉田松陰とその家族 兄を信じた妹たち (中公新書) 作者:一坂太郎 中央公論新社 Amazon 今のところ、中公新書で読み放題対象になっているのはこの一冊だけのようだ。今後もっと増えるのだろうか。『吉田松陰とその家族』は松陰の評伝としては読みやすい本だし、幕末史の専門家が書いているので内容も手堅い。当ブログでの書評はこちら。 saav…
アメリカ黒人解放運動、パン=アフリカニズムの指導者として名高い、W.E.B.デュボイスは、1936年、ナチ支配下のドイツを訪れました。2022年、その旅行記のドイツ語訳が出版されました。 W. E. B. Du Bois, 'Along the color line': Eine Reise durch Deutschland 1936, München: C. H. Beck, 2022. その書評が、オンライン誌、jungle.world に掲載されています(2022年12月15日)。こちらもリンクを貼っておきます。 Jakob Hayner, Deutschlandreise: Die …
1月19日、「本の雑誌」創刊者で書評家の目黒考二氏が亡くなった。享年76歳。ミステリファンには、北上次郎の筆名の方が馴染み深いだろう。特に冒険小説の水先案内人としての貢献度は計り知れず、その魅力を熱く語り尽くした「冒険小説の時代」「冒険小説論」などは、これからも指標として読み継がれていくに違いない。国内外を問わず、古典から現代まで網羅した情報量は圧倒的で、私自身も書評やエッセイは大いに参考にさせてもらった。ただ、最近の極端なマーク・グリーニー推しは、やっと現れた〝新星〟に期待する昂ぶりは分かるとはいえ、正直辟易していたのだが、これも嗜好を明確する北上次郎の信念の表れだったのかもしれない。盟友・…
最近は新しいインプットがないせいで、ブログの更新も滞っています。昨年の春から秋にかけての、休日は心を閉ざして本を読んでいた時期が少し懐かしい。 その頃は誰かと会うことが少し億劫になり、なんとなく喫茶店で本を読んで、なんとなく定食屋でランチを食べて、なんとなく帰って昼寝をすると、なんとなく夜になっている。そしてなんとなく飲みに出歩いて、なんとなく気分が良くなって、友達にライン送って、Twitterに余計なことを書いて、スベって、消す。そんな土日が何度かありました。 そんなしょーもない生活をしていた頃にも、ある程度の目的意識を持って綴ったこのブログの書評たちを今、少しだけ加筆と修正をしています。本…