戦前戦中の昭和史には教訓が多いと説いた半藤さんが、最も重視していたのが「国民的熱狂をつくってはいけない。言論の自由・出版の自由こそが生命である」でした。(西日本社説) 行け行けどんどんと新聞が国民を煽(あお)ったことで「熱狂」が生まれ、日本が道を誤ったというわけではない。「熱狂」に軍部が乗っかったわけではないし、政府が「熱狂」を利用したわけでもない。成程、ヒトラーは、国民の熱狂を利用し独裁を進めた。が、日本はナチスドイツとはまったく事情が異なる。 読者は、このような言い方をされれば、国民の熱狂は言論統制によって齎(もたら)されたかのような印象を抱くだろう。が、半藤氏は、そのようなことを言ってい…