新聞に中原中也の顔写真と『朝の歌』の直筆原稿が載っていたのがたいへん珍しく、また、懐かしく思ったので感想を書く。下山静香さんの「おんがく×ブンガク」というコラムにあったのだが、彼女は「中也と音楽は、とても近い。(中略)オノマトペの響き、七五調や言葉の繰り返しが生み出すリズムは、声に出し、音の姿にしてほしいと語りかけているようだ。」と述べている。中也は、百人一首のある歌を、チャイコフスキーの〈舟歌〉の旋律にのせて歌うのが好きだったとは、全く知らなかった。彼は、なんでも歌わずにはいられなかったそうである。私の学生時代には、中也とランボーと小林秀雄をよく読んだつもりだったが、全くの初耳だった。中也に…