どうしてあの人に生まれて、 この人に生まれてこなかったか、 自分の娘として完全に瑕《きず》のない所へは なぜできてこなかったのかと、 さすがに残念にも源氏は思うのであった。 当座は母や祖母や、 大井の家で見馴れた人たちの名を呼んで泣くこともあったが、 大体が優しい、美しい気質の子であったから、 よく夫人に親しんでしまった。 女王《にょおう》は可憐《かれん》なものを得たと 満足しているのである。 専心にこの子の世話をして、 抱いたり、ながめたりすることが夫人のまたとない喜びになって、 乳母も自然に夫人に接近するようになった。 ほかにもう一人身分ある女の乳の出る人が乳母に添えられた。 🌿間 wri…