水上勉の小説で、またその映画化作品で広く知られる、これが越前竹人形である。竹以外の材料は使われてない。 むろん民芸そのものではない。伝統工芸品の魅力を前面に押出す工夫がなされた、現代作家による創作作品だ。それぞれの作者名も明示されてある。いわば「民芸調」の現代工芸アートである。 菓子型と製造現場で使われた道具とである。豪農や富裕町人の屋敷の広間にて、婚礼も葬儀もおこなわれた。会食膳には尾頭付きが並んだことだろうが、二の膳には縁起ものをかたどった菓子が載ったことだろう。あるいは引出ものに土産として付けられたかもしれない。 長い年月にわたって職人たちによる工夫が重ねられた、製造道具類の意匠の多彩さ…