現役生の入試で、“最重要”と言っても過言ではない「夏休み」が始まった。Kは自宅とT予備校を往復するとともに、高校で提供される「受験対策講座」のいくつかにも出席して、現役で受かる実力を付けようと努力していた。しかし、その「努力の仕方」は独特のものだった。 Kが目指していた一橋大学の経済学部の配点は、センター試験(現・共通テスト)210点と個別試験790点の合計1000点満点。この個別試験の内訳は、国語:110点、数学:260点、英語:260点、地歴(世界史・日本史・地理から1科目):160点と、文系の中では「数学」の配点がかなり高い。Kはもともと国語や英語はそこそこの点数を取れていたらしく、「数…