曹洞宗の黙照禅、臨済宗の看話禅、臨済系の寺から出た盤珪の不生禅、武士から曹洞宗の僧侶となった鈴木正三の二王禅、日本の禅の主だったところの流派の孤峰をたどることができる一冊。禅の「大死一番、絶後蘇生」の悟りとその後の生き様の四者四様を、多くの原典引用と現代語訳を用いながら紹介してくれているので、それぞれの僧の思想の生の部分や、各僧の言行が生まれた時代背景に触れながら、しっかりとした印象を与えてくれる。先日読み通した紀野一義『名僧列伝(二) 良寛・盤珪・鈴木正三・白隠』(文芸春秋 1975, 講談社学術文庫 1999)と取り上げている僧がほぼ同じなので(違いは白隠慧鶴/一休宗純)、比較しながら読め…