序文・家康への挑戦状 堀口尚次 直江状(なおえじょう)は、慶長5年に上杉景勝の家老・直江兼続が、徳川家康の命を受けて上杉家との交渉に当たっていた西笑承兌(さいしょうじょうたい)〈臨済宗の僧〉に送った書簡。関ケ原の戦いのきっかけとなる会津征伐を家康に決意させたとされるが、偽文書ではないが後世に大幅に改竄(かいざん)されたとする説がある。 慶長5年2月、越後領主・堀秀治は上杉景勝が武備を整えて謀叛の兆候があると訴え出た。当時政権を握っていた五大老筆頭・徳川家康は伊奈昭綱を派遣して上洛を勧告したが、景勝は応じなかった。3月には上杉家重臣・藤田信吉が出奔し、景勝の叛意を訴えた。家康は西笑承兌に「謀叛の…