私は三人兄妹の末っ子である。 兄は我が道をゆくタイプでいつも悠然としている, 姉は優等生タイプでなんでもそつなくこなし、頼りがいがある。 私はといえば、甘えん坊で飄々としている。 これが私たちの性質だ、と私は長年信じてきた。 物事には必ず表と裏がある。表から見ると裏の様子は全くわからないが、ひょんなことで裏側に光が当たるとき、その上側の表情が表とは様子が違っていて驚くことがある。 人の性格もちょっとしたことからその側面や裏側が炙り出されることがあるものだ。 私の姉は母の近くに住み、彼女の面倒を全面的にみてくれていた。母の病状が悪化してきて、ついに緩和病棟に入ることが決まった日のこと、姉はこちら…