脳を研究する学問。
工学的・生化学的な脳機能解析や数理科学的なモデリング・人工知能への応用など理科系よりな物から、認知心理学や社会科学・果ては哲学など文科系よりな物まで、アプローチは多岐に渡る。 ちなみに、アメリカが1990年に「decade of the brain(脳の10年間)」なる方針を打ち出したのに対し、日本では21世紀を「脳の世紀」と位置づけている (http://www.braincentury.org/)。
最近も一件あったのでが、言葉の訓練をしているとこのような場面に出会うことがあります。 私:(包丁のカードを見せて)これは何かな? 児:・・・・・・ 私:これで何するのかな? 児:切る!! 私:そうそう、ほうちょうで切るよね。(今度はフライパンのカードを見せて)じゃあ これは何かな? 児:・・・・・・ 私:これで何するのかなぁ? 児:母さんとお出かけする!! 不思議ですよね。何か(名詞)は答えられないのに、何するか(動詞)は答えられてしまうケースがあります。 実は、名詞を思い出すときと動詞を思い出すときでは、主に活発になる脳部位が大きく異なるのです。 思い出す言葉 主に活動する脳部位 この脳部位…
「そんなつもりじゃなかったのに」 無意識の偏見が起きる脳の仕組み 第1章 ある日常会話の中の「偏見」 第2章 無意識の偏見とは何か? 第3章 脳はなぜ偏見を持つのか? 第4章 扁桃体は「他者」をどう判断するのか? 第5章 偏見と関わる脳領域たち 第6章 無意識の偏見はいつ、どこで発動するのか? 第7章 脳は「見慣れたもの」を好むようにできている 第8章 私たちはなぜ「差別していないつもり」になるのか? 第9章 無意識の偏見を減らすためにできること 第10章 結論:私たちの脳は「無意識の差別主義者」か? 第1章 ある日常会話の中の「偏見」 「〇〇大学出身って、やっぱり頭いいんでしょ?」 そんなふ…
心配は何も解決しない「心が先に壊れる前に」 【1. それは静かに、でも確実に蝕んでいく】 「夜、眠れていますか?」 そう尋ねられて、即答できる人は意外と少ないかもしれません。布団に入ったはずなのに、頭の中では会議の段取りや子どもの進学のこと、老後の不安がぐるぐると回り続ける。スマホで明日の天気を見ながら、ついでにニュースを開いて、経済の不安や事件の記事を読み漁ってしまう。 翌朝。寝たはずなのに、疲れは取れていない。目覚めと同時に、また「心配」が始まる。でも、ふとこう思いませんか? 心配している時間って、結局何かを動かしているのだろうか? 2. 心配という名の“動かない努力” 心配とは、何かに備…
子どもがスプーンやフォークを使い始めた頃、食べ物をうまくすくえずに見ている側がハラハラすることがあります。それが時間が経つと多くの場合、まるで自分の手の一部のように巧みに使いこなすようになります。この驚くべき成長の背景には、頭頂葉にある下頭頂小葉という脳の領域が深く関わっています。 掃除機、枝切ばさみなど…私たちは生活の中で、道具を使用して身体では届かないはずの場所に働きかけることがあります。そのような時、脳はこの道具を身体の延長として捉えているようです。車を運転するときも同じです。普段自分が歩く幅よりも広い車幅を、まるで自分の体の一部のように感じて運転しています。小さい頃にあこがれた大きなロ…
「あの人の言葉が忘れられない」理由 脳と心に刻まれる言葉のメカニズム はじめに なぜ、たったひと言が心に残り続けるのか 第1章 日常に潜む「忘れられない言葉」の正体 第2章 言葉の記憶はどこに刻まれるのか 記憶システムのしくみ 第3章 情動と記憶:なぜ嫌な言葉ほど忘れられないのか 第4章 誰が言ったか、が重要な理由 「語り手」による記憶の重み 第5章 言葉の「痛み」は物理的な痛みと似ている? 第6章 ポジティブな言葉が記憶に残るとき 第7章 言葉が人を変える 可塑性と再構築される記憶 第8章 記憶に残す言葉、残さない言葉 自分と他者のために おわりに 言葉と記憶は、私たちの人生そのもの はじめ…
猛暑が続いていて、ただじっとしているだけでも汗が噴き出ます。皆さんはしっかり水分摂取していますか。熱中症予防には、のどが渇く前のこまめな水分摂取が重要です。 「のどが渇いた」と感じるとき、私たちの体の中では何が起きているのでしょうか。 のどが渇く感覚が生じる場所は、脳の視床下部と呼ばれる場所です。視床下部は、脳の中心部に位置する親指程の小さな器官ですが、生命維持のためのバランスを整える重要な役割を担っています。食欲や睡眠、体温、水分のコントロールに至るまで24時間体制で監視し、必要に応じて種々のホルモン(身体の内臓や細胞への指令のようなもの)を出すスイッチを押します。 視床下部は体の内部環境を…
「自分だけは正しい]」と思い込む脳の癖 「認知的不協和」が引き起こす自己正当化のループ 序章:なぜ人は「自分が正しい」と思い込むのか? 第1章:「自分が正しい」と信じたくなる脳の構造 第2章:確証バイアス 「自分に都合の良い証拠」しか見えなくなる脳 第3章:敵意帰属バイアス 「相手が悪い」と決めつける思考のクセ 第4章:「認知的不協和」が引き起こす自己正当化のループ 第5章:「内集団バイアス」と「外集団バイアス」 自分の側は正義だと思う仕組み 第6章:メタ認知の欠如 自分の考えを一歩引いて見られない脳の限界 第7章:「自分が間違っているかもしれない」と思える人の脳の働き 第8章:どうすれば「自…
先日というか先月かもっと前かは忘れたんですが、本屋を見てたら今の自分に必要な本を見つけてどっち買おうか迷ったので両方買いました。 僕はギャンブル依存を改善しようというのと、去年診断された糖尿病を改善しようという生活をしています。本を読み始めたきっかけはギャンブル依存を改善するということで、心理学や脳についての本を買い漁っています。でも25冊ぐらい買ったのに3冊ぐらいしか読んでません。誰か本を読む習慣のつけ方を教えてください。 今回買った本は「脳内麻薬」と「糖尿病の真実」です。 脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 (幻冬舎新書) 作者:中野 信子 幻冬舎 Amazon 糖尿病の真実…
楽しかった思い出話を何度も繰り返し話す姿は、幼児には珍しくありません。そのような思い出話の最中に働いている脳部位が側頭極です。 側頭極は、側頭葉の一番前にあって体験を思い出す時に働きます。例えば、過去に行った旅行先での出来事を思い出す際にも、側頭極が働いています。 皆さんは、楽しかった旅行の一場面を思い出す際に、その時の楽しい気分も一緒に蘇ってくることがあるでしょう。あるいは、「あの時、あの人に悪い事したなぁ」などと申し訳ない気持ちになることもあるかもしれません。側頭極は、体験に付いてくるそういった感情や社会的な側面にも関与しています。そのため、他者の感情を理解するなどの社会性の面からも重要視…
「視線恐怖」とは何か? 認知の歪みと視線への「過剰な意味づけ」 はじめに:なぜ「視線」が怖いのか? 第1章:「視線恐怖」とは何か? 第2章:視線に反応する脳のしくみ 第3章:扁桃体はなぜ「視線」に反応するのか? 第4章:発達と視線恐怖 子どもと大人の違い 第5章:認知の歪みと視線への「過剰な意味づけ」 第6章:社会文化的な背景と視線恐怖 第7章:研究でわかってきたこと 脳画像研究と実験 第8章:視線恐怖をやわらげる方法 第9章:視線恐怖と向き合うために 自己理解と共感 おわりに:視線の中で生きるということ はじめに:なぜ「視線」が怖いのか? 朝の満員電車。 すぐ目の前に座る人の視線がこちらに向…