2025年2月号掲載 毎日新聞契約記者/藤原章生 いま暮らしている南アフリカの家はいわゆる2世帯住宅だ。平屋の母屋に友人ケレが妻のバリと女児と、離れの2階にケレの息子夫妻が12歳の娘と住んでいる。私の部屋は、離れの下の階だ。 ケレ夫妻、それにケレの息子のタタとは気の置けない関係だが、タタの妻ポーシャとは少し距離があった。小柄な小さな顔の人で、アフリカ人のおしゃれでもある、前歯に金歯をいれ、いつも頭をスカーフで隠している。口数が少なく、別世界を見つめているような顔をしていることが多く、昨年1月から4月まで滞在したときは、遠慮してあまり話をしなかった。 11月にソウェトに戻る前、東京で土産を買った…