こう源氏はまじめに言っていたが、 玉鬘はどう返事をしてよいかわからないふうを続けているのも さげすまれることになるであろうと思って言った。 「まだ物心のつきませんころから、 親というものを目に見ない世界にいたのでございますから、 親がどんなものであるか、 親に対する気持ちはどんなものであるか私にはわかってないのでございます」 このおおような言葉がよくこの人を現わしていると源氏は思った。 そう思うのがもっともであるとも思った。 「では、親のない子は育ての親を信頼すべきだという世間の言いならわしのように 私の誠意をだんだんと認めていってくれますか」 などと源氏は言っていた。 恋しい心の芽ばえている…