隣町の千早公園は、わが町の公園よりもはるかに広い。緑も多い。自然の高低差を利用して流水があり池がある。人手による汲みあげ流水ではない。水が湧いているのだ。 せっかく区役所の分庁事務所まで期日前投票に出向くのだ。かつて馴染だった道や施設が今はどうなっているものか、陽かげを縫いながら歩いてみた。 この一帯が旧「アトリエ村」と称ばれるようになったのはいつごろからか、私は知らない。どこをどう洒落たものか「池袋モンパルナス」なんぞと、だれが最初に称んでみせたのかも知らない。大正年間から昭和前半にかけて、多くの美術家連中が住んだ。また白樺派の千家元麿は転居の多かった人だが、出たり戻ったりこのあたりにいく度…