ご近所の十字路である。食糧品の買物をするビッグエーと、コピー機を使わせてもらったり公共料金を払込んだりするセブンイレブンとが、向き合っている。 親の判断でこの街へ引越してきたのが昭和二十九年だったから、このあたりの風景を七十年ほど観てきたことになる。 この道は川だった。谷端川だ。両岸には、細い泥道が沿ってあった。私自身は怪しげな節足動物や甲殻類を眼にしたていどだが、十歳年長の兄さんたちはドジョウを獲ったり、ときには小鮒の姿を視たと云っていた。巨きな台風のさいには、水あがりした。今はこの街のメインストリートだ。 交差する道も泥道だった。十字路には橋が架かっていた。今は一方通行路だ。山手通りから町…