(?〜1325年(正中2年))
南北朝時代の越中の刀工。越中国新川郡松倉郷(現在の富山県魚津市)に住み、27歳の若さで没したと伝わる。師は岡崎正宗または佐伯則重と云われ、「郷」と通称する(後世には「江」の字もあてられた)。正宗十哲の一人であり、相州正宗、粟田口吉光とともに天下三作(豊臣秀吉による)と呼ばれるほど珍重され、各大名はこぞって手に入れたがった。しかし、義弘と在銘の作は皆無であり、鑑定家の本阿弥が極めをつけた代物、無銘であるが郷だろうと言われるものしか存在しない。また、作風が似た刀を本阿弥が郷に出世させたものもあるという。そのことから、「郷とお化けは見たことがない。」と言われるほどであった。ただし、これは存在を疑うものではなく、在銘品のないことを言ったまでである。