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ThumbShift5-15TB組み立てのためのサポートページ

自分で設計したキーボード、ThumbShift5-15TBを組み立てるための情報を簡単にまとめました。

ThumbShift5-15TBの特徴

数字キー列やファンクションキーなどを省略したコンパクトな59キーキーボード
組み立ての工数を減らすため、数字キーの列やファンクションキーなどを省略しました。これらは特定のキーを押しながら入力します。
親指シフト入力に適したキー配列
親指部分にいわゆる「B割れ」のキーを配置しており、親指シフト入力に向いています。
一般的なロースタッガード配列のため移行コストが低い
一般的なキーボードの配列を踏襲しており、このキーボードに慣れるための練習が少なくすみます。
Cherry MX、Choc V2(Lofree FLOW含む)に対応
幅広い種類のキースイッチを装着できます。
キーキャップを調達しやすい
日本語キー配列の自作キーボードは英語配列に比べてキーキャップの調達が難しいですが、FILCOのMajestouch用に販売されている日本語キーキャップセットがあれば追加で調達するキーは7個ですみます。

ThumbShift5-15TBの購入方法

BOOTHなどの販売プラットフォームはありませんので、Twitter(現X)の@yimamuraなどへ連絡してください。価格は現在、以下の3枚の基板のみで2,000円としています。

3枚の基板について

スイッチプレート

トッププレートと呼ばれることもあります。キースイッチを物理的に固定するためのプレートです。画像右上の細い穴は、Majestouchが採用しているCostarのスタビライザーを装着する想定でしたが、穴の位置をミスしているため使えません。ご了承ください。


メイン基板

電子回路が組み込まれた基板です。ダイオードやスイッチソケットなどはここにはんだ付けします。


ボトムプレート

キーボードの底面になるプレートです。穴はタクトスイッチを押すためのものです。


基板のほかに必要なパーツ

キースイッチ(59個)
Cherry MX互換とChoc V2、Lofree Flowに対応しています(Choc V1、Gateron Low Profileには非対応です)
キーキャップ(59個)
FILCOの日本語用交換キーキャップに加えて1.25U×3、1U×4を使います。FILCOのキーキャップはOEMプロファイルです。親指シフトキー部分に使うとちょうどよい「かまぼこ型キーキャップ」もFILCOの通販で買えます。Choc V2などロープロファイルのキースイッチを使う場合、OEMプロファイルのキーキャップは底打ちして(キースイッチが押し込まれきる前にキーキャップがトッププレートに当たってしまう)使えないようです。ロープロファイルキースイッチの場合はWomierやXVXなどのロープロファイルキーキャップを検討してください
Pro Micro(1個)
USB端子の形状はmicroUSB、Type-Cのいずれも可です
タクトスイッチ(1個)
2ピン、3.5×6×4.3ミリの一般的なものです
ダイオード(59個)
1N4148であればリードタイプ(スルーホールタイプ)、表面実装タイプ(SMD)のいずれも可です
LED(オプション)(1個)
SK-6812MINI-E。なくても動作しますが、キーボードに通電しているかの確認にとても便利です
キーソケット(59個)
Cherry MX互換用とChoc用のうち、使用したいキースイッチに合わせて。キーボードを組み上げた後に、もう一方を追加ではんだ付けすることも可能です
ねじ(8個)
M2の5ミリ。低頭ねじを推奨。遊舎工房の場合:スリムヘッド小ねじ M2 黒
スペーサ(4個)
M2。長さ11ミリで組み上げましたが、Pro Microに接続するUSBケーブルのコネクタ形状によっては9ミリ、さらにキースイッチがChoc V2やLofree Flowであれば8ミリでもいけそうです。スペーサが短いほどキーボードを薄くできます。遊舎工房の場合:黄銅スペーサー(丸)M2/11mm
AZ1UBALL(オプション)(1個)
現在のファームウェアでは正しく機能しません。パレットシステムのBOOTHで購入できます:AZ1UBALL【5.3mmトラックボール】
AZ1UBALL用ピンソケット(オプション)(2個)
2.54ミリピッチ、4ピン。高さは3.5ミリなど低いものがよいです。AZ1UBALLを基板に直接はんだ付けしてもかまいませんが、ピンソケットで接続すれば後日AZ1UBALLを交換できます
USBケーブル(1本)
キーボードとパソコンを接続するケーブルです。端子の形状はPro Microと、接続するパソコンのUSB端子に合わせます
ゴム足(オプション)(4個~)
キーボードの裏側に貼り付けてすべり止めにします。

組み立てのおおまかな手順

詳細なビルドガイドではありません。それぞれの工程を初めて行う方はほかのキーボードのビルドガイドも参考にしてください。

基板の横を黒く塗ります(このひと手間で見栄えがよくなります)

写真ではタミヤのペイントマーカーX1を使っていますが、基板の横にべたつきが残ったためほかのマジックを推奨します。
Pro Microにコンスルーをはんだ付けします

コンスルー(スプリングピンヘッダ)の取り付け方を教えて下さい – 遊舎工房サポートサイト」や「Pro Micro | Daily Craft Keyboard」を参考に、コンスルーの向きに注意してはんだ付けしてください。その際、Pro Microの基板の裏側に飛び出した部分は上の写真のように、ニッパーで切り落としてからはんだ付けするのが望ましいです。ニッパーは切り落とした部材が飛んでいかないタイプを推奨します。
はんだ付けが終わったPro Microはいったんメイン基板から外しておくと、続く作業の邪魔になりません。
LEDを基板にはんだ付けします

4つある端子のうち、切り欠きがある端子を「Gnd」に合わせてはんだ付けします。LEDは熱耐性が低いので、手早くはんだ付けしてください。
ダイオードを基板にはんだ付けします

ダイオードには向きがあります。すべてのダイオードを同じ向きではんだ付けします。リードタイプのダイオードを使う場合は「ダイオード(スルーホール) | Daily Craft Keyboard」を、表面実装タイプのダイオードを使う場合は「ダイオード(表面実装) | Daily Craft Keyboard」を参考にしてください。
AZ1UBALLにピンヘッダをはんだ付けする準備

AZ1UBALL用のピンソケットを基板に差し込み(ここではピンソケットははんだ付けしません)、基板側からピンソケット-ピンヘッダ-AZ1UBALLの下の基板という順に重ねます。この際ピンソケット側のピンヘッダについて、ピンが短くなるように(写真では上方向に)ピンをずらすと、完成時のAZ1UBALLの高さを低くできます。上の写真は少しずらしてあり、ピンが上方向にやや長く飛び出ています。AZ1UBALLの基板の側に飛び出ているピンヘッダはニッパーで切断します。
AZ1UBALLにピンヘッダをはんだ付けします

AZ1UBALLの下の基板にピンヘッダをはんだ付けします。
基板にAZ1UBALL用のピンソケットをはんだ付けします

AZ1UBALLをマスキングテープでメイン基板に固定し、メイン基板を裏返してピンソケットをはんだ付けします。写真はピンソケットをはんだ付けした後の状態です。
スイッチソケットを基板にはんだ付けします

はんだ付けの方法は「キースイッチソケット(MX) | Daily Craft Keyboard」と「キースイッチソケット(Choc) | Daily Craft Keyboard」を参考にしてください。写真ではCherry MX用とChoc用の両方のスイッチソケットをはんだ付けしていますが、使うキースイッチの種類がどちらか一方なら、それに合わせたスイッチソケットだけはんだ付けしましょう。キーボードの完成後に、もう一方のスイッチソケットをはんだ付けすることも可能です。
タクトスイッチを基板にはんだ付けします

タクトスイッチはリセットスイッチとして機能します。メイン基板にタクトスイッチを差し込む際の表と裏を間違えなければピンの向きは任意です。写真では足を伸ばしたままはんだ付けしていますが、足を折り曲げてからはんだ付けするのが望ましいです。
トラックボールユニットとキースイッチとキーキャップとPro Microを装着して、ボトムプレートをねじ止めします

まずトラックボールユニットをメイン基板に装着します。次にキースイッチを、ピンの向きがメイン基板の穴に合うよう注意しながらスイッチプレートの四隅に装着します。メイン基板にスイッチプレートを重ね、4つのスイッチを差し込みます。これでスイッチプレートとメイン基板がずれなくなります。すべてのキースイッチとキーキャップを装着したらPro Microを基板に装着します。続いてトッププレートにスペーサをねじ止めし、ボトムプレートを穴からタクトスイッチを押せる向きでねじ止めします。これで完成です。お好みで裏面にすべり止め用の小さいゴム足をつけてもよいでしょう。

ファームウェアの書き込み

ThumbShift5-15TBの標準ファームウェアを以下からダウンロードします。

Pro Micro Web Updaterのページへアクセスします。

以下の記事の「2.Pro Micro Web Updaterを開く」以降に従い、ThumbShift5-15TBのファームウェアを指定してflashします。「4.書き込み」の「キーボードをPCと接続します」の部分は、キーボードをすでにPCに接続していればキーボードのタクトスイッチ(=リセットスイッチです)を押すのでもかまいません。

標準ファームウェアでは以下のキーアサインとなっています。


キーアサインの変更

ファームウェアのソースリストは準備中です。後日追記します

キーアサインを変更するにはファームウェアのソースリストのうち、キーアサインが定義されているファイル「keymap.c」の内容をテキストエディタで書き換え、QMK MSYSでコンパイルとキーボードへの書き込みを行います。(標準ファームウェアは現在、VialRemapには非対応です)

QMK MSYSのインストールは以下を参考にしてください。

「thumbshift515tb」という名前でキーボードを追加します。QMK MSYSで以下のコマンドを入力します。

qmk new-keymap -kb thumbshift515tb

「thumbshift515tb」フォルダが、「qmk_firmware」-「keyboards」フォルダ内に作られます。ThumbShift5-15TBのファームウェアのソースリストを「thumbshift515tb」フォルダ内に上書きします。

「keymap.c」を編集してキーアサインを変更したら、QMK MSYSで以下のコマンドを入力します。

qmk flash -kb thumbshift515tb -km default

ファームウェアコンパイルについてのメッセージに続いて「Waiting for USB serial port - reset your controller now (Ctrl+C to cancel)」と表示され、続いてピリオドがポツポツ出始めたらキーボードのリセットスイッチ(タクトスイッチ)を押します。

これで新しいキーアサインでThumbShift5-15TBを使うことができます。

現在の問題点

親指シフト入力はソフトウェア側で

ThumbShift5-15TBは親指シフト入力を想定したキーボードですが、このキーボード単体では現状、親指シフト入力はできません。作者はWindowsでは「やまぶきR」を使って親指シフト入力しているものの、これは最新のMicrosoft IMEで正しく動作しません。

将来的には「QMKで自作キーボードを親指シフト/薙刀式へ拡張する - weblog.sy」を参考にするなどして、このキーボードをどんなデバイスに接続しても親指シフト入力できるようにしたいです。

AZ1UBALLの動作

現在のファームウェアでは、AZ1UBALLが正しく動作しません。マウスポインタが90度ずれて動くため、トラックボールを上へ転がすと右へ、右へ転がすと下へマウスポインタが移動します。

QMK Firmwareには「マウスポインタの移動方向を90度回転させる」というコマンド「POINTING_DEVICE_ROTATION_90」もありますが、これをyesにしても状態は変わらず原因が不明です。

AZ1UBALLの初期不良の可能性もゼロではありませんが検証できていません。

将来的には「トラックボール付き自作キーボードをさらに使いやすくするファームウェア 【Keyball】【cocot46plus】」を参考に、トラックボールを少し動かすと特定のキーがマウスボタンになる機能を実装したいです。

八王子の川瀬巴水展を見に行った

八王子市夢美術館で開催されている川瀬巴水の展覧会を見に行った。展示は約150点で、ゆっくり見て1時間半くらい。

https://www.yumebi.com/index.html

川瀬巴水は明治末期から昭和32年まで活動した版画家で、旅と東京の風景を多く題材にした。微妙なグラデーションや川面、月明かりの表現が美しい。

月明かりは現代の都会で暮らしていると完全に失ってしまった光なのに、こういう作品として見せられると「知らないのに懐かしい」という不思議な郷愁を覚える。

旅先の川瀬巴水から版元の渡邊庄三郎へ宛てて書かれた手紙も読み方とともに展示されていて、大正時代の言葉遣いや文字の書き方がとても興味深かった。封筒の宛名書きは達筆すぎて、今だと届かなさそうだった。

Wikipedia川瀬巴水の項目に作品が掲載されていた。今回展示されているものから何点か紹介。

大阪 道とん掘の朝
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ef/Tabi_miyage_dai_nish%C5%AB%2C_%C5%8Csaka_D%C5%8Dtonbori_no_asa_by_Kawase_Hasui.jpg/800px-Tabi_miyage_dai_nish%C5%AB%2C_%C5%8Csaka_D%C5%8Dtonbori_no_asa_by_Kawase_Hasui.jpg
深川上の橋
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cc/T%C5%8Dky%C5%8D_j%C5%ABnidai%2C_Fukagawa_Kaminohashi_by_Kawase_Hasui.jpg/800px-T%C5%8Dky%C5%8D_j%C5%ABnidai%2C_Fukagawa_Kaminohashi_by_Kawase_Hasui.jpg?20170602033229
増上寺
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8d/Kawase_Z%C3%B4j%C3%B4ji.jpg/398px-Kawase_Z%C3%B4j%C3%B4ji.jpg?20130119112901

ここで自分が撮った写真を紹介したい。こういう写真を好んで撮っていると、川瀬巴水と比べるのもおこがましいがシンパシーを勝手に感じる。

ところでスティーブ・ジョブズ川瀬巴水のコレクターとしても知られている。これがMacintoshiPhoneなど、アップルの製品開発にどう影響を与えたかというテーマをNHKの佐伯健太郎記者は長いこと追いかけていた。記事もいくつも書いている。

会場の最後のコーナーは「スティーブ・ジョブズと巴水」で、ジョブズが所有していた作品と同じものが何点かと、Macintoshを発表した当時の写真が載った雑誌などが展示されていた。

ところでその2。八王子の国道20号沿いにはブックオフハードオフのほかいろんなオフが集まった「全部オフ」(実際はオフシリーズ全部ではないらしい)があって、ものすごい品揃えだというので興味があったが今回は寄れず。いつか行ってみたい。

キーボードのイベント、天キー6に参加した

キーボードを持ち寄ってわいわいする「天下一キーボードわいわい会 Vol.6」、略して「天キー6」に参加した。2018年の1回目から参加してきて、今回ついに初めてキーボードを持ち込んだ。それも自分で設計したキーボードであり感慨深い。あわせて昔販売されていた小型のキーボードも持っていった。


展示したキーボード(左から)

説明の紙も掲示したけれど字が細かすぎた。その上自分で設計したキーボードを見せたいのか、親指シフトを体験してもらいたいのかがはっきりしなかったので、見てくれた人を混乱させてしまったかもしれない。次回はなにをどう見せるかよく考えよう。会場で親指シフトトークができたのはよかった。ありがとうございました。

小型キーボードのCUT KeyとCUT Key Pocketはテンキーだけのキーボードに見えるかもしれないが、これでも片手で日本語を入力できる。これは興味を持って見てくれる人が多かった。

驚いたことに、CUT Key Pocketを持参した方がもう一人いらして、並べて写真を撮ってしまった。

あと驚きがもう一つ。なんとThumbShift5-15TBを作りたいという方に基板をお譲りしたのだった。ビルドガイドとファームウェアを公開しないと。少しお時間ください。

そのほかに撮った写真。といっても持ち込んだキーボードについて説明したりトークセッションを聞いたりしているとあまりじっくり見て回れず、ほんの少しだけ。

富士通親指シフトキーボード
壊れたエフェクターを買ってきて、1キーのフットスイッチに改造したもの。すごい。なかむらメリさん作

ほかにどんなキーボードが出ていたのかは、手抜きだけれどTwitterの検索でどうぞ。

写真で出展キーボードを網羅しようとした方々。

YouTubeで配信されていた会場の様子も。

今回は、自分のキーボードを持ち込んだのがエポックメイキングな天キーだった。そのぶん見て回る時間が少なくなったけれどやむを得まい。次回も楽しみだ。

「このたび、お客様のアカウントが最適化されました」の罠

先日、Google AdSenseからこういうメールが届いた。

「自動最適化が有効化されています。」だそうで「お客様側での対応は必要ございません。」が強調されている。ブログの広告表示の設定をテスト的に変えてみて、収益が増えたので本適用しましたということらしい。

テスト名は「Vignette ads」。あれ、「ビネット広告」ってブラウザの表示領域全体にオーバーレイされる全画面広告のことでは。あれを自分のブログに適用されるのはいやだなあ。

果たして自分のブログ(ここ)を見に行ったら全画面広告が表示された。これはたまらん。AdSenseの管理ページへ行ってビネット広告の表示と「自動最適化」をオフにした。

まめちしき
全画面広告を消すには[閉じる]や[×]をクリックするだけでなく、広告領域外のグレーの範囲をクリックしてもよい

Googleとしては広告をたくさん出してもらって自社の収益につなげたいのだろう。Webサイトの管理者も収益が増えてうれしいかもしれないが、このブログの収益はもともととても少ないので39%増えても雀の涙なのは変わらない。代わりに全画面広告が出るというのでは割に合わない。AdSenseの自動最適化をオンにしていたのは自分だが、「最適化されました」がいいこととは限らないものだ。

カシオの電子辞書XD-4800シリーズ全機種の収録コンテンツを表にまとめた

電子辞書がひとつあると便利だなと思った。特に百科事典がほしい。電子辞書ならいちいちブラウザを開く必要がないし、広告にわずらわされることもない。カシオの電子辞書のうち、高校生向けをうたうXD-4800シリーズがよさそうだ。最新モデルにこだわる必要はないので型落ちの中古品を探そう。

となったとき、各機種に収録されているコンテンツを調べるのがとても大変だった。

電子辞書に収録されているコンテンツは機種ごとに一覧がある。たとえば最新機種のXD-SX4820(2023年発売)は以下。

XD-4800シリーズとして最初のXD-ST4800(2006年発売)のコンテンツ一覧はこちら。

17年間でコンテンツ数が50から230に増えているのがすごい。画面もカラーになって解像度が上がったりしている。じゃあこの中間のどれを買ったらいいだろうか。XD-4800シリーズは2006年以降、ほぼ毎年新機種が発売されている。それぞれのコンテンツ一覧を見ていると、この年だけ収録されなかったコンテンツなんてのもあるようだ。各機種のコンテンツ一覧では「これが収録されていない」ことがわからない。

そこで各機種のコンテンツ一覧を、最新機種から順に表にまとめていくことにした。一日で終わる量ではないので毎日少しずつ。その間にメルカリなどを見て、収録内容と価格で折り合いがつくものを探した。

新しい方から表にまとめていると、辞書類の版が古くなったりその辞典がそもそも収録されなくなったりしていく。また逆に、最近の機種では収録されていないものが古い機種で登場したりもする。漢検TOEIC向けのコンテンツが典型的だ。電子辞書の歴史をさかのぼることになり、なかなか面白い作業だった。

そして完成したのが下の表である。フルHDのモニタでブラウザのウィンドウを最大化すると、表の横幅が全部入るようにしたつもり。

で結局買ったのはというと、2019年発売のXD-SR4800だった。百科事典は『日本大百科全書(ニッポニカ)』と『ブリタニカ国際大百科事典小項目電子辞書版』が収録されている。

最新機種のXD-SX4820と比べると新明解国語辞典が1つ前の第7版であったり、次の機種や前の機種には収録されている旺文社古語辞典が抜けていたりするが気にしない。デジタル大辞泉の代わりに広辞苑(7版)が収録されているのもむしろ好みだ。

とすると、2018年より前の機種についてはコンテンツをまとめる必要はなかったのだろうか。確かに2006年までさかのぼって購入を検討することはなかっただろうから、全機種の収録コンテンツ一覧をまとめる気になったのは編集者的な情報整理欲が大きい。一方、コンテンツの収録傾向を知る上では、ある程度昔の機種についても表にまとめた意味があったと感じた。

タイマーつきのコンロでマクロを組みたい

我が家のコンロにはタイマーがついている。キッチンタイマーと違って時間が来たらオフにしてくれるから、火を消すタイミングでコンロの前に来る必要がない。さらに火力を10段階のデジタルで指定できるので、「火力5で5分間」のように火加減の積分を正確に指定できる。同じ料理をまた作るとき、火力の条件が固定されるので再現性が上がる。

最近圧力鍋で米を炊くようになって、火力とタイマーを組み合わせたマクロ機能が欲しくなってきた。米と水を圧力鍋に入れてふたをし、火力5で6分間、火力2で2分間炊く。その後12分間蒸らしてでき上がりである。炊けたご飯はすぐにラップにくるみ、粗熱を取ったら冷凍するので保温機能はなくてもよい。我が家の年季の入った炊飯器よりおいしく炊ける。

この「火力5で6分間、火力2で2分間」を一度に指定できたらいいなと思うようになってきた。今は火をつけたら6分後に台所へ行き、火力2と2分間のタイマーをセットしなければならない。火をつけてからの6分間+2分間をまとめてセットできたら、台所へ行く回数が一回減ってさらに便利になる。そういうコンロもたぶんあるのだろうな。

検索してみたら、お湯が沸いたら火が止まるコンロや、炊飯モードがあるコンロが見つかった。ただし炊飯には専用の鍋が必要で、圧力鍋での炊飯には対応していないようだった。

五十肩はつらいよ

鎮まれッ……俺の肩(の炎症)……ッ!

去年の7月くらいから、左腕を動かすと肩に痛みが出るようになっていた。これは五十肩ですね。9年前の前回は四十肩だったが今はもう五十肩だ。

今回も時間はかかってもそのうち治るだろうと思っていたら痛みが強くなってきて、左腕で左の脇腹を触ろうとするくらいでも激痛が走るようになった。さすがにちょっとまずい気がして11月から整形外科へ通っていた。

四十肩や五十肩は正式には「肩関節周囲炎」というそうだ。根治する方法はなく、半年から2年ほどでおさまるのを待つ。その間できるのは炎症を抑える注射や投薬、そしてリハビリテーションということになる。

まずヒアルロン酸を注射された。1週間に1回のペースで計6回注射するそうだ。注射はそのあともペースを落として何回か行った。最初に処方された飲み薬と貼り薬は以下。調子がよくなってきたら処方を減らした。

ロキソプロフェンNa錠60mg(毎食後1錠服用)
炎症を和らげ、痛みを抑えたり、熱を下げる薬です。炎症や痛み、発熱の原因であるプロスタグランジンの生成を抑えることにより、抗炎症作用や鎮痛、解熱作用を示します。
レバミピド錠100mg(毎食後1錠服用)
胃粘膜を保護修復する薬です。胃の粘膜を保護する物質(プロスタグランジン)を増やしたり、胃の粘液の増加を促して、潰瘍や胃炎の治癒を促します。
ロキソプロフェンNaテープ100mg(10×14cm非温)(1日1枚14日分)
炎症を和らげたり、痛みを抑える貼り薬です。炎症や痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑えることにより、抗炎症作用や鎮痛作用を示します。

リハビリテーションでは理学療法士さんが30分ほどかけて肩の周囲をほぐしていく。「手のひらをこの向きにして、こちらへ腕を動かしてください」のように細かく指示をされ、その通りにしていると腕の可動範囲が少し広くなって面白い。骨や筋肉、腱の構造を熟知しているのだな。

それから「肩がぜんぜん凝ってませんね」と言われた。肩が凝らない自覚はあっても実は凝っているのではないかと疑っていたがお墨付きをもらえた。「凝っていないと言いつつ凝っている人もいるんですけど違いますね」と言うのだから間違いないだろう。

そんな具合で4か月ほど通い、痛みはずいぶん出にくくなった。治療を始めたころは左腕を横から水平に上げるだけでイテテテテだったのが、今はほぼ右腕と変わらない動きができる。上着を脱ごうとしたときや、シャツの背中側の裾をズボンに入れようとしたときは少し痛むが、それももうイテテテテではない。

治療を始めて少し経ったら、二の腕のひじ寄りが痛むようになったことがあった。先生によるとそれは筋肉痛だそうだ。「左肩が痛いから無意識に左腕をかばってあまり使わなくなる。治療で回復してきて左腕をまた使うようになると、使わなくなっていた筋肉が筋肉痛になることがある」とのこと。へぇー、そんなことがあるんだ。宇宙飛行士が宇宙ステーションで体がなまらないよう、運動をたくさんしているのを思い浮かべた。

保険診療リハビリテーションを受けられるのは150日間までと決まっているそうで、期限が近くなってきた。次は1か月後くらいに予約を取ってまた様子を見るか、いったん治療を終了して、痛みがまた強くなったら改めて電話で予約を取るかという話になった。ここまで順調に痛みが引けば、あとは自然に痛みがなくなるのを待つのでもいいだろう。次の予約は取らなかった。

五十肩は治療法がないという知識だけがあったので、医者にかかっても仕方がないと痛みが増す中で思い込んでいた。しかし根治はできなくても対症療法はある。肩が痛み始めたらひどくなる前に整形外科にかかればよかった。