原爆症

 仕事で、「健康対策課」なる部署に月に一度は顔を出す。

原爆症担当の方とも話す機会があるのですが、原爆症の方との乖離が顕著です。

特定疾患の方・薬害で被害を受けた方・難病の方・そして原爆症の方が一様に「厚生労働省は、自分たちが早く死ぬのを待っていると」

だいこんのの花[独り言]


 森繁久彌氏が亡くなられたとのこと。


テレビでは「だいこんの花」ですか。
映画は、「海峡」や「流転の海」、「小説吉田学校」、「 空海」が心に残っている。


歌では、「しれとこ旅情」を残してくれたのだが、映画「地の涯に生きるもの」の撮影で訪れたときに作ったものなのを知ったのは、いつだったろうか。原作の戸川幸夫の「オホーツク老人」も読んでいるし、映画もみている。はるか昔のような気がするくらいの記憶である。


京都の丹後に間人(たいざ)という地名の漁村(失礼かな?)がある。今は町だと思う。なんせ、間人蟹(たいざガニ)で、有名になってしまった。


この間人の漁港をまっすぐ、だらだら登ると森繁久彌氏が隠れて利用をしていた民宿がある。今年は11月6日に解禁であった。解禁日の前日までは、1mくらいのアカイカが市場内に転がり、解禁とともに蟹一色になる。


今年は、森繁久彌氏は間人蟹を口にしたのだろうか。


森繁久彌氏は、だいこんの花でもはまだいこんの花の方が似合った方だったような気がする。

潮風に当たったハマダイコンの花ががつける実は確かに小さい。しかし、その分しっかり根を張っている。派手な演技をするわけではないが、しっかり根を張った演技をしていた俳優だった。


間人の地名は、欽明天皇の皇女であり、聖徳太子の母である穴穂部間人皇女からいただいた地名だとされている。



ダイコン(Raphanus sativus L. var. hortensis Backer)
ダイコン(Raphanus sativus L. var. hortensis Backer) posted by (C)ドラ猫




このハマダイコンの花は、湘南のものである。

ハマダイコン(Raphanus sativus L. var. hortensis Backer f. raphanistroides Makino)
ハマダイコン(Raphanus sativus L. var. hortensis Backer f. raphanistroides Makino) posted by (C)ドラ猫



さなえ様からお借りしたハマダイコンの花は、丹後のものであろうと思う。

ハマダイコン
ハマダイコン posted by (C)さなえ(花の庵)


知床の海にもハマダイコンの花は、咲くのだろうか?

                     合掌


ハナダイコンである。
ショカツサイ(Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz)
ショカツサイ(Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz) posted by (C)ドラ猫

オシロイバナ[季節]

昨年、英国に住んでいるbloggerの方から、お店(園芸店?)でfour-o'clockの種を購入をして育てているとのmailをいただいたことがある。


そのmail以来、いつかオシロイバナの記事を書こうとは考えてはいたのだが、余にも当たり前過ぎる花であることから、書くことに躊躇いをもっていた。


今週、朝の散歩の途中で斑入りのオシロイバナを見かけてカメラに写した。

金曜の夜ということもあり、海外のサイトを覘くいているときに、「four-o'clock」の画像をみかけたのを機会に、オシロイバナの記事を書いてみようと思い立った。

このブログ自体がいい加減なもので記事などと呼べるものではなく、落書きレベルなのだが備忘録として気が向いた時の更新としている。

海外のサイトで見かけるオシロイバナであるが、日本国内で帰化をし自生しているものとは微妙に違うような気がする。

昨年来、英国の彼女の体調がよろしく無いようで、今年の春先から夏まで一時日本に帰国をしていた。

今はだいぶ良くはなったようで、英国に戻っているようなのだが、庭の手入れまでは未だ手が回らないという。元気になったら一度、英国のfour-o'clock(オシロイバナ)の画像を送って戴こうととは考えている。同時に日本で野生化しているものとの違い伺ってみたいとも思っている。

http://www.whiteflowerfarm.com/31132-product.html?utm_source=davegarden&utm_medium=ppc&utm_campaign=2009+daves+garden+fall+branded

http://wallpapers.bassq.nl/Nature%20Scenes/Wildflowers/slides/Giant%20Four%20O'clock%20Flowers,%20Death%20Valley,%20California.html


小椋佳氏の「花化粧」の最後の一節に
「少女の日のように 少女の日のように 花化粧つけてみようかと」とある。この一節の前段に、舞いそびれる雪の白さ」とのと歌詞もみられることから、オシロイバナ(化粧花)のことではないかと思えてしまう。自分が子供の頃は、近所の女の子達がオシロイバナで遊んでいたのを想いだす。

小椋佳「花化粧」(YOU TUBEへリンク)
http://www.youtube.com/watch?v=RFAjv1JB6go



冬至2日前の朝の散歩で写したオシロイバナの姿である。夏盛りの頃のオシロイバナより、やさしい色合いのように感じる。

オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.)
オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.) posted by (C)ドラ猫


初夏の頃のオシロイバナである。

    オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.)
オシロイバナ(Mirabilis jalapa L.) posted by (C)ドラ猫




和名のオシロイバナの由来は、胚乳を砕くと白粉状であることからである。子供時分には女の子が遊んでいたのだが、現実にオシロイ(白粉)の代用品として用いたとも言う。


          この実から白粉が出来た・・?
この実から白粉が出来た・・? posted by (C)時 正宗



オシロイバナの別名であるユウゲショウと言う名前の由来は、夕方から花開することからである。英名の four-o'clock も同じ理由からであると推察される。


ケショウバナの名前が出たので、関連としてユウゲショウにも触れておこうよ思う。

ユウゲショウ(夕化粧)は、アカバナ科の植物で、オシロイバナとは別の植物である。が、ユウゲショウも名前が示すように夕方の咲くものが多いのであるが、最近は日中でも咲いているものがみられる。当初は赤い花のものがほとんどであったのだが、最近は白花もみられる。それ以外に、赤花と白花の交雑種のような薄くピンクの色がついたものも見かけるようになっている。


アカバナ(赤花)
ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton)
ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton) posted by (C)ドラ猫



(赤花+白花)
         ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton)
ユウゲショウ(Oenothera rosea L’Hér. ex Aiton) posted by (C)ドラ猫



シロバナ(白花)
    ユウゲショウ(Oenothera rosea Ait.)
ユウゲショウ(Oenothera rosea Ait.) posted by (C)ドラ猫


開花時期に関しては、夏から秋だという。しかし、開花時間に関しては「午後4時頃から咲く」とされたものが多いのである。これは、英国での”four-o'clock”を意識し過ぎているのではないだろうか。現実の開花時間となると真夏は、もう少し遅い時間から咲き出すようである。

本来この類の花は、気温が高い日より低い日の方早い時刻から咲き出す。と同時に天気も晴れた日より曇りや雨の日の方が早い時刻に開花すると言うことも考慮をしておくべきであろうか。

開花時間が花の名前となっている植物は、それほど多くはないと思う。、開花時間が花の名前とされているものを順番に載せてみようと思う。

もっとも何種類か存在をしている中で、未(ヒツジ)の刻(午後二時前後)に開花をするヒツジグサは、かなり特殊というか律儀な花であると思える。ほとんどの草花は、天気や気温に対して開花時間が変わるというものが多い。


先にも書いたのであるが、「気温が高い日より低い日の方早い時刻から咲き晴れた日より曇りや雨の日の方が早い時刻に開花」をするとい具合である。

ところが、この花(ヒツジグサ)は、天候に関係なく咲くようである。画像はお借りしたものなのだが、水中でも咲いているのである。これは雨降りでも何の問題もなく咲くという事である。

通常、雨降りの日だと開花時間が狂うものが多く見かけられる。これは、受粉との関係であろうと思えるのであるが、ヒツジグサだけは、生真面目な性格だといえようか。

ヒツジグサ3
ヒツジグサ3 posted by (C)あっちゃん6331


もっとも、「4時から咲く花」があるのだか「3時に咲くもの」や「5時に咲くもの」もあるだろうと言い出す方も居られると思う。

三時くらいから咲くという意味から、サンジカ(三時花)と呼ばれているハゼランというものがある。この花の新芽や若葉は食べられることでも知られている。

          ハゼラン(Talinum triangulare (Jacq.) Willd.)
ハゼラン(Talinum triangulare (Jacq.) Willd.) posted by (C)ドラ猫



ここまで、午後2時(未草)、午後3時(サンジカ)、午後4時(four-o'clock)と続いた。次は5時であるが、ゴジカという花がある。と喜んではいけないのである。これは「五時花ではなく、午時花」となる。

ゴジカ
ゴジカ posted by (C)ciba


ここで、オシロイバナに戻ろう。

オシロイバナは、漢名で「紫茉莉」とさてれ紫茉莉科ということになる。「茉莉」の音読みは「マツリ」であるが紫の茉莉ということであろう。茉莉(マツリカ)は、マツリカ(茉莉花)つまりモクセイ科のジャスミンをさすのであるが、これは香りではなく花の形からであろうか。

日本では、一般には当て字で「白粉花」と書かれる場合が多いようであるが、自分は「化粧花」を好んで使う。

マツリカの画像がないので、ハゴロモジャスミンの画像を載せておく。

         ハゴロモジャスミン (Jasminum polyanthum Franch.)
ハゴロモジャスミン (Jasminum polyanthum Franch.) posted by (C)ドラ猫



オシロイバナの基本色は赤だと言われている中で、中国では紫茉莉されていることから紫と色彩感覚なのだろうか。
人種や虹彩の色の違いだけではなく、生活環境や教育環境の違いで色彩感覚の違いが起こるとは言われているのであるが。
それとも、実際に日本のオシロイバナと中国のオシロイバナの色は基本的に違うのであろうか?

花弁の色の話が出たついでに言うとオシロイバナの花は花弁はではなく萼の色ということにあなる。つまり花だと思って見ている部分は花ではないということである。

つまりは、萼の色が一定ではないことになる。

湘南では白が毎年一番先に咲くように思える。(白い萼のものが目立ちはじめると表現をした方がいいのであろうか)

オシロイバナが色々な色になるのは、「不完全優性」からだとは思うのだが、トランスポゾンやDNAという言葉の世界になってしまう。

遺伝の話は、「親が呑ん兵衛なら子も呑ん兵衛」という程度の話しか興味がないので、この話は立ち入らないこと押します。


APG植物分類体系・クロンキスト体系・新エングラー体系でも、このオシロイバナ科は存在をするのであるが、新エングラー体系では、アカザ目に入れられているのであるが、ほかの2体系では、ナデシコ目となる。

江戸時代に南米(ペルー原産という説もある)から移入をされたとされている。移入時期に関しては、久内清孝・ 帰化植物(1950)や長田武正・原色日本帰化植(1976)物図鑑にも記載が見られることから、古くから帰化をしていたと思われる。

もっとも江戸時代の移入にも2説あり、一説に1600年頃、一説に宝永年間(1704-1711)というものである。

オシロイバナ科で帰化植物とされるものには、オシロイバナ、ベニカスミ、タチナハカノコソウ、フタエオシロイバナの名前が見られるのだが、「ベニカスミ」だけは、YListでは名前を見つけられなかった。

ブーゲンビリア属もオシロイバナ科には含まれるのだが、ブーゲンビリア帰化植物のリストには載っていないのはなぜであろうか?


Mirabilis jalapa L.  オシロイバナ 標準 
Mirabilis jalapa L. f. dichlamydomorpha (Makino) Hiyama  フタエオシロイバナ 標準 
Mirabilis longifolia L.  ナガバナオシロイバナ 標準 
Mirabilis nyctaginea (Michx.) MacMill.  イヌオシロイバナ 標準 
Bougainvillea spectabilis Willd.  イカダカズラ(ブーゲンビリア) 標準 
Boerhavia erecta L.  タチナハカノコソウ 標準 
Nymphaea tetragona Georgi  ヒツジグサ 標準 

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年11月6日).

オウゴン [季節]

 子供の頃に覚えたことが、たまたま大人になってから過ちに気がつく事がある。このタケニグサもその一つであった。

タケニグサという名前はある程度の年齢に、なり正式な名前として覚えた。
ところが、別名であるチャンバギクというのだが、「ちゃんばら草」だと思い込んでいた。

茎が中空なので、木刀や竹とは違いチャンバラごっこをしても怪我が少ないことからチャンバラグサだと信じきっていたのである。

タケニグサと正式和名を知って、別名でチャンパギクと書かれているのに、チャンバラギクだと思い込んでいたわけである。棒っきれをもって遊んでいた頃であるから恐らく3〜4才の頃に覚えたのであろうか。

正式名のタケニグサを「竹煮草」と竹似草」と書かれたものを見かける。

「竹煮草」は、タケニグサと竹(筍)を一緒に煮る柔らかくなるという説。これは前に「一緒に煮てみても タケノコは柔らかくならない」と聞いた事がある。「竹似草」は、茎が中空で竹に似ているからと言う説である。

自分は、竹に似て中空で軽く、チャンバラに使っていたのであるから「竹似」として用いていたことになる。

後々気がついたのだが、「チャンバ」ではなく、「チャンパ」なのである。PAをBAと聞き間違いのままに覚えていたということである。気がついた時に「チャンパ(占婆)」の意味を調べたの覚えている。


中国・宋代以降に占城と呼ばれていたチャンパであるが、今の地図から言うと、ベトナム南部の地域であろう。茶道で安南焼というものがあり茶人の間で愛玩をされている。
数年間ながら奈良の高山とも取引があったのだが、その時分に安南焼きの産地が東京・安南・占城でることを教えられたのを思い出した。

別名のチャンパギクのチャンパは、先にも書いたようにベトナムのチャンパから移入をされた(のでは)という理由のようですがキク(菊)の花とは似てはいないのだが葉の形が菊の葉を大きくしような感じは確かにする。

チャンパの名前がつけられているのだが、古くから日本にも自生をしていたようで在来種とのこと。

中国では、博落廻と呼ぶようなのだが、これは子供のおもちゃとのこと。中国の知り合いに聞いたのだが説明をされてもイメージが湧かず、googleで画像検索をしたのだがヒットしなかった。





     タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R. Br.)
タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R. Br.) posted by (C)ドラ猫


タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R. Br.)
タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R. Br.) posted by (C)ドラ猫


         タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R.Br.)
タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R.Br.) posted by (C)ドラ猫





タケニグサの別名にササヤキグサともある。画像のように結実すると果実の中の種子が、風によって音がします。その音が人がささやいているように聞こえるからという理由からのようだ。


タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R. Br.)
タケニグサ(Macleaya cordata (Willd.) R. Br.) posted by (C)ドラ猫





上記のタケニグサの根を日本では、「和のオウゴン」と呼び、オウゴンに混ぜたり代用品にしたとも言われるが漢方には素人の自分にはまったくわからない。しかし本来のオウゴンは、シソ科のコガネバナをさす。このコガネバナは日本には自生をしないことからタケニグサが「ワノオウゴン」と呼ばれる所以でであろうか。

このコガネバナによく似たタツナミソウと花の形はよく似てはいるのであるが、決定的な違いは葉の形であろうか。
根の切断面は、鮮やかな黄色だという。


      コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi)
コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi) posted by (C)ドラ猫


コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi)
コガネバナ(Scutellaria baicalensis Georgi) posted by (C)ドラ猫



コガネバナ(オウゴン)とよく似たタツナミソウであるが、漢名では「向天盞」となり別の漢方として用いられているとか。しかし、中国の漢方に対する探究心は驚くべきものである。

        コバノタツナミ(Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino)
コバノタツナミ(Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino) posted by (C)ドラ猫



コガネバナが出たのでもう一種コガネバナを載せておく。サンシュユとした方がわかり易いとは思うのだが、コガネバナもしくはハルコガネバナとも呼ばれている。

今の季節は赤い実をつけている。

サンシュユ(Cornus officinalis Siebold et Zucc.)
サンシュユ(Cornus officinalis Siebold et Zucc.) posted by (C)ドラ猫



         サンシュユ(Cornus officinalis Sieb. et Zucc.)
サンシュユ(Cornus officinalis Sieb. et Zucc.) posted by (C)ドラ猫



Macleaya cordata (Willd.) R.Br.  タケニグサ 標準 
Macleaya cordata (Willd.) R.Br. f. glabra H.Ohba  ケナシチャンパギク 標準 
Macleaya cordata (Willd.) R.Br. f. koaraii Takeda et Honda  マルバタケニグサ 標準 
Scutellaria baicalensis Georgi  コガネバナ 標準 
Cornus officinalis Siebold et Zucc.  サンシュユ 標準 
Scutellaria indica L.  タツナミソウ 標準 
Scutellaria indica L. f. amagiensis Sugim.  シロバナタツナミソウ 標準 
Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino  コバノタツナミ 標準 

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年10月30日)

カノコ[備忘録]


あるブログで、カノコユリの話が出ていた。自分も好きな百合であり、当然といえば当然であるのだが何度か原種だというものを育てたのがうまくいかない。自分の亡くなった祖父が言うには、「百合は傾斜地に植えるもの」だと言っていたのを想いだす。

カノコといえばうちの家内は、絞りの鹿の子と栗鹿の子を思い浮かべるらしい。

カノコユリは、下記のように分けられるそうだ。
カノコユリ(Lilium speciosum Thunb.)
シマカノコユリ(Lilium speciosum Thunb. var. speciosum)
*ただし、シマカノコユリカノコユリを同一と書かれたものもある。
また、YListではシマカノコユリのsynonymとしてキカノコユリ(Lilium henryi Baker) との記載が見られる。ところが、キカノコユリは中国原産だという。さてさて。

キバナキカノコユリ(Lilium henryi Baker var. citrinum)キカノコユリの変種との記述あり。
タキユリ (Lilium speciosum Thunb. var. clivorum S.Abe et T.Tamura)
タイワンカノコユリ (Lilium speciosum Thunb. var. gloriosoides Baker)

タキユリは、日本では、四国山中および九州・佐世保湾入り口西彼杵(ニシソノギ)半島と佐世保湾の西に位置する九十九島に分布をするとされ、環境省絶滅危惧?類(VU)である。なお、高知県長崎県のみの分布ということであろが、徳島で写された画像も存在をする。徳島でも絶滅危惧種に入れるべきであると思うのだが、徳島県環境首都課HPでは、見つけられなかった。
http://www5.pref.tokushima.jp/kankyo/

シマカノコユリは、日本の九州西海岸および甑島に分布とされている。分布が限定とされることから絶滅危惧種から検索をしたのだが、見つからない? なぜだろうか?
http://www.pref.nagasaki.jp/sizen/2reddata/rdb2001/rdb2001pdf/15redlist.pdf

タイワンカノコユリは台湾および中国の安徽省 (あんきしょう)・浙江省(せっこうしょう)・江西省(こうせいしょう)での分布とされるのだが、中国でのタイワンユリは比較的タイワンに近い地域(省)での生育ということである。

ただし、漢名で鹿子百合と記載をされているものは、タイワンカノコユリをさすようである。
カノコユリの園芸品種で白花種をシラタマユリともよぶようである。

1695年(元禄7年~8年)の伊藤伊兵衛(三之丞)「花壇地錦抄」に、鹿子百合 末。花赤紫、黒紫ノ星有。花反リ返リテ咲ク也」「大百合 末。花形色、鹿子百合ニ少モ違ワズ、大輪。大鹿子共、江戸鹿子共言フ」
つまり、「鹿子百合ニ少モ違ワズ、大輪。大鹿子共、江戸鹿子共言フ」これから考えるにすでに江戸時代には、カノコユリの園芸種が作られていた言うことであろう。

なお息子、4代目・伊藤伊兵衛(政武)が、ソメイヨシノの育成者という説もある。

カノコユリ
環境省 絶滅危惧II類
徳島   絶滅危惧I類
福岡 情報不足
長崎 絶滅危惧IB類
鹿児島 準絶滅危惧
タキユリ
環境省 絶滅危惧II類
高知   絶滅危惧II類, 分布上高知県が重要な生育地になっている種
長崎 絶滅危惧II類

        カノコユリ園芸種(Lilium speciosum Thunb.)
カノコユリ園芸種(Lilium speciosum Thunb.) posted by (C)ドラ猫

シーボルト・コレクション

カノコユリ(Lilium speciosum Thunb.)
カノコユリ(Lilium speciosum Thunb.) posted by (C)ドラ猫


京都では、カノコソウといわずハルオミナエシもしくはオミナエシとよんでいたと思う。秋に咲くオミナエシは黄色で秋の七草でもあるのだが、そんなに多くは見かけた記憶はない。


案の定、絶滅危惧どころか絶滅寸前との記載である。ところがこれは聞くところによると戦前は、薬用(薬草)として主にヨーロッパに大量輸出をされていたという。外貨を稼ぐために採取され結果、絶滅危惧種とは、本末転倒といわざるをえない。

「春ノヲミナメシ 一名カノコサウ」である。もっとも小野蘭山が、京都出身故そのように書いたのか、それとも小野蘭山の時代には、一般的にカノコソウと言う名前より、ハルノオミナエシの方の呼び名が一般的であったのかは不明ではあるが、わざわざハルノオミナエシを先に記し、一名としていることからハルノオミナエシが一般的な呼び名であった可能性もある。ということで。



240 カノコソウ
240 カノコソウ posted by (C)ぶどう


青森 C 希少野生生物
岩手 DD 情報不足
秋田 CR 絶滅危惧IA類
山形 VU 絶滅危惧II類
福島 D 希少
神奈川 EX 絶滅
石川 VU 絶滅危惧II類
長野 EN 絶滅危惧IB類
岐阜 NT 準絶滅危惧
静岡 N3 要注目種(部会注目種)
三重 EX 絶滅
滋賀 DI 分布上重要種
京都 A 絶滅寸前種[京都]別名ハルオミナエシ
大阪 VU 絶滅危惧II類
奈良 VU 絶滅危惧種
島根 NT 準絶滅危惧
徳島 CE 絶滅危惧I類
愛媛 VU 絶滅危惧II類
長崎 VU 絶滅危惧II類[長崎]別名ハルオミナエシ
鹿児島 VU 絶滅危惧II類


今年、思いがけない場所で見つけたツルカノコソウである。わずか1株であったが、知りあいの園芸店に種子を預けた。はるか昔にはよく見かけた気がする。最近では、各地で絶滅危惧指定が始まっているようだ。もっとも神奈川では、いまだそこまでの心配は無いようにも思えるがとにかく少なくはなっている。しかし、茅ヶ崎市内で見かけたのは初めてである。
カノコソウは薬用として用いられたがツルカノコソウは、駄目なようである。

青森 重要希少野生生物
秋田 準絶滅危惧
埼玉 絶滅危惧II類
東京 生息環境の変化によりAランクやBランクへの移行が危惧される種
山梨 絶滅危惧II類
長野 絶滅危惧IB類
佐賀 準絶滅危惧
長崎 絶滅危惧IA類

ツルカノコソウ(Valeriana flaccidissima Maxim. )
ツルカノコソウ(Valeriana flaccidissima Maxim. ) posted by (C)ドラ猫



   ツルカノコソウ(Valeriana flaccidissima Maxim.)
ツルカノコソウ(Valeriana flaccidissima Maxim.) posted by (C)ドラ猫


シーボルト・コレクション

ツルカノコソウ(Valeriana flaccidissima Maxim.)
ツルカノコソウ(Valeriana flaccidissima Maxim.) posted by (C)ドラ猫


キョウガノコ(京鹿の子)という名前からのイメージだと京都の嵐山から桂の周辺ということになる。鹿の子は餡の小倉あんにもつながり嵐山・小倉山周辺となる。絞り染めの「京鹿の子」となると本来は、狭い地域でのものとなっていた。ちょうど右京区西京区ということになる(一部伏見でも)。今の西京区も以前は右京区であった。自分の長男が生まれる少し前に右京区から分かれて西京区となった。

染めの京鹿の子のことは日を改めれ書くこと事もあるだろう。
キョウガノコは、YListの生態情報では、栽培とされている。そうなると、元になる種は何であろうかということになる。(平凡社の「日本の野生植物」等からの情報のようだ)

福島県新潟県に自生をするコシジシモツケソウからの改良品種もしくはシモツケソウとの雑種説が、「跡見群芳園芸植物」の中で見かけたのだが、出典までは調べられなかった。 渓流へ釣りによく出かけていた関係で、山渓の本や図鑑はよく利用をするのだが、「山渓カラー名鑑」には「キョウガノコ」は山野で見られる」と記載をされていることから、コシジシモツケソウとキョウガノコは同じものなのだろうか。しかし、コシジシモツケソウには小さなトゲがあるという。

コシジシモツケソウを里に持ち帰り、改良をしたものがキョウガノコだという説はそのあたりからなのだろうか。

フォト蔵の画像の説明欄に自分は、キョウガノコにはトゲが無いと書いてある。これは栽培をしている方の言葉である。
コシジシモツケソウは、箱根湿性花園では栽培をされて入るのだが、神奈川では自生は見られないという。自分も一度、コシジシモツケソウの写真を写した記憶があるのだが、探しても見つからない。コシジシモツケソウに小さなトゲがあるものか確認をしたいと思ってはいる。しかし、限定された地域でしか生育がみられないコシジシモツケソウが絶滅危惧種に含まれていないことに違和感を覚える。

なお、白花品種をナツユキソウ(夏雪草)という。


     キョウガノコ(Filipendula x purpurea Maxim.)
キョウガノコ(Filipendula x purpurea Maxim.) posted by (C)ドラ猫





Centranthus macrosiphon Boiss.  ウスベニカノコソウ 標準 
Centranthus ruber (L.) DC.  ベニカノコソウ 標準 
Valeriana fauriei Briq.  カノコソウ 標準 
Valeriana fauriei Briq. f. albiflora Akasawa  シロバナカノコソウ 標準 
Valeriana flaccidissima Maxim.   ツルカノコソウ 標準 
Filipendula x purpurea Maxim.   キョウガノコ 標準 
Filipendula auriculata (Ohwi) Kitam.  コシジシモツケソウ 標準 
Filipendula auriculata (Ohwi) Kitam. f. chionea H.Ohba et S.Kato  シロバナコシジシモツケソウ 標準
Filipendula ulmaria (L.) Maxim.  セイヨウナツユキソウ 標準 
Filipendula x purpurea Maxim. f. albiflora (Makino) Ohwi  ナツユキソウ 標準 

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年10月25日)

秋の七草[季節]

春の七草は、一年を乗りきるために早春に若菜の命をいただき、備えるためのものであり、食せるものである。
ひきかえ、秋の七草は一年の農耕を終え、花を愛でるためのものである。

万葉集には、山上憶良秋の七草を詠んだ歌がある。

「秋の野に、咲きたる花を、指折り、かき数ふれば、七種の花」
(秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花)

「萩の花、尾花、葛花、なでしこの花、をみなへし、また藤袴朝顔の花
(芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花)
芽之花=萩の花、乎花=尾花、葛花=葛花、瞿麦之花=なでしこの花、姫部志=をみなへし、藤袴藤袴、朝皃之花=朝顔の花=桔梗


一番で名が出てきているのは、萩の花である。
万葉集で詠まれているのは、ヤマハギだという説が有力なようである。萩は万葉集で一番多く詠まれている花でもあり、万葉集の8巻と10巻で多く出てくる。萩を詠んだ歌は万葉集では、141首にものぼっている。

ミヤギノハギは、梅雨時から咲き出し、五月雨萩(サミダレハギ)の呼び名もある。ケハギが野生種であるとされ、ヤマハギとの違いは葉の先端が、尖っているかいないかの違いもある。ミヤギノハギも年によっては、秋にも花を咲かせることがあるためにややこしい話である。



ヤマハギ(Lespedeza bicolor Turcz.)
ヤマハギ(Lespedeza bicolor Turcz.) posted by (C)ドラ猫



     ミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai)
ミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai) posted by (C)ドラ猫



萩の次に出てくるのはススキである。ススキとよく似たものにオギがあるのだが、WEBを眺めているとどうも薄と荻がごちゃ混ぜになっているように思える。

株立ちをして生えているのが薄でありばらばらに生えているのが荻であるが、穂をよく見ると、ススキにはノギという太い毛が一本見られるのだが、オギには見られない。

穂が出始めたばかりのススキを花薄と詠んでいる。

今の季節であるならば、「紅の浅葉の野らに刈る草の束の間も我を忘らすな」という季節であろうか。

ススキ(Miscanthus sinensis Anderss.)
ススキ(Miscanthus sinensis Anderss.) posted by (C)ドラ猫


      オギ(Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth.)
オギ(Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth.) posted by (C)ドラ猫



クズといえば吉野葛が有名である。京都の菓子司の大半が吉野葛を用いているのだろう。
京都から、関東に移り住んだ当初は関東の和菓子を食べてはみたのだが、どうも何かが足りない。

葛であるが、よく河原で見かけたのだが最近では、きれいに刈られてしまい、花に出会えるのは年に1〜2度程度となってしまった。葛の生えている川の土手は葛のおかげで崩れ辛いとも聞く。万葉集でもその強靭な成長力を詠んだものが多いように思う。確か、20首以上詠まれていたはずである。



     クズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi)
クズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi) posted by (C)ドラ猫



さて、次が大和撫子ということになる。
ナデシコは、漢名での科名を「石竹」とされる。つまりカラナデシコのことである。

やはり、カラナデシコよりはヤマトナデシコの方を自分は好む。

「秋さらば、見つつ偲へと、妹が植ゑし、やどのなでしこ、咲きにけるかも」
(秋去者 見乍思跡 妹之殖之 屋前乃石竹 開家流香聞)

この唐撫子(石竹)の移入時期がはっきりしない(自分で理解ができていない)

枕草子」(1000)の第67段「草の花は」には、「草の花は、なでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」とある。つまり、西暦1000年には、唐撫子(石竹)は、移入もしくは日本でも知られていたということである。

それでありながら、「古今集」(西暦914)や「源氏物語」(1004〜1012)にみられる常夏(とこなつ)が、カワラナデシコとされている。この部分がどうも府に落ちない。

中国からセキチクという名前持ったカラナデシコが移入をされたゆえに在来種をヤマトナデシコ外来種をカラナデシコと呼んで区別したことが記されている。その上であえてヤマトナデシコを常夏という名を使うものだろうか?
石竹属というくくりで考えたゆえにヤマトナデシコとカラナデシコと区別をしたはずである。石竹と書いてカワラナデシコとよんだともされている以上余計に引っかかる。

常夏(トコナツ)という名前のイメージがどうもいただけない。もっとも床夏という説もあるとは聞いたのだが。

日本の江戸時代に作られた撫子のお品種に、四季咲きのトコナツ(常夏) var. semperflorens と狂い咲きのイセナデシコ(伊勢撫子) var. laciniatus が存在をしたともされて入るのだが、..........?



カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Williams)
カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Williams) posted by (C)ドラ猫


            セキチク (Dianthus chinensis L.)
セキチク (Dianthus chinensis L.) posted by (C)ドラ猫


秋に咲くはずのオミナエシであるが、ここ数年は春にも咲くことが多くなった。

この女郎花という花は、男山八幡と縁の深い花である。
自分は、京都に戻った当時男山の裾・くずはでの仕事が多かったことから、男山八幡にはよく出かけた。石清水八幡宮石清水八幡宮)は、ちょうど山崎の桂川(淀川)対岸となる。この山崎の地に、まずは豊前宇佐八幡の託宣を蒙り
現在の離宮八幡宮の地に至り、その後朝廷より宣旨を受けた橘良基が当地・男山に六宇の社殿を建立、三所の神璽を奉安せられたされる。

また、鎌倉の鶴岡八幡は、男山八幡から湘南茅ヶ崎鶴ヶ嶺八幡、その後鶴岡八幡となるのだが、不思議なことに鶴ヶ嶺八幡のことは、鶴岡八幡の由来の中には一切出てこない。

これは、源頼朝が落馬をし、結果亡くなったとされる馬入に近く、過去には鶴ヶ嶺の山門の極近くを相模川が流れていたとも聞く。またこの山門の右手(私有地)には、弁慶塚が残っていて、義経の家臣団は鶴ヶ嶺の周辺に住まいしていたのではという説もあるようだ。頼朝の死は義経残党の襲撃という説もあるようだ。
なお、鶴ヶ嶺八幡社殿右には、大銀杏の古木が残っているが、鎌倉の鶴岡八幡よりは年代が古いようで、神奈川県内では、一番古い銀杏の樹だとされる。

話を、女郎花に戻そうう。
栗谷能の会のブログで「女郎花」を平成13年に演じた様子を伝えている。

http://awaya-noh.com/modules/pico2/content0079.html

 肥後の国松浦潟の僧が都へ上る途中、石清水八幡宮山城国男山)に参詣しようと立ち寄ると、男山の麓には女郎花が美しく咲き乱れていたそうな。

「岩松そばだって山聳え谷廻りて諸木枝を連ねる」と歌われた男山である。

土産にと一本手折ろうとした時、一人の老人が現れてそれを止めます。二人は古歌に詳しいことを誉め、花を折るのを許します。そして八幡宮の社前に案内し、更に男塚・女塚を見せ、これは小野頼風夫婦の墓であり、自分が頼風であることをほのめかして消え失せます。

旅僧は土地の人から詳しく頼風夫婦の話を聞き、夜もすがらその菩提を弔っていると、頼風夫婦の霊が現れます。そして、女は夫が足遠になったのを恨んで放生川に身を投げたこと、女の塚に生え出た女郎花が、頼風を避けるのを悲しみ、頼風もまた後を追ったことなど語り、今はともに邪淫の悪鬼に責められている、と僧に成仏を願います。




オミナエシ(Patrinia scabiosaefolia Fisch.)
オミナエシ(Patrinia scabiosaefolia Fisch.) posted by (C)ドラ猫



秋の七草という割には万葉集には1首のみとなる。

藤袴」といえば当然ながら、源氏物語の第三十帖である。
「おなじ野の露にやつるる藤袴哀れはかけよかごとばかりも」ということになる。源融がモデルだとされ、彼が六条河原院(渉成園)を造営をしたと言われている。渉成園の塀際に車を停めて営業中によく昼寝をしたものである。某和尚に言わせると、天台教義を知らずして、源氏物語は読み解けないという。

渉成園の桜が京都では一番早く桜が咲くことは割りと知られていない。梅の季節、遅い時期に京都を訪ねたならば、北野天満宮にもある文子天神が、渉成園一筋上にある。その少し上が、菅原道真公生誕の地となる(だったと記憶をしているがさてさて)

フジバカマの画像は、京都のものである。
近年、園芸店で売られているものは、ほとんどが、サワフジバカマからの園芸品であるようだ。フジバカマとサワフジバカマの違いを画像として残しておこう。



原種の藤袴
原種の藤袴 posted by (C)ciba



      サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama)
サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama) posted by (C)ドラ猫



      サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama)
サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama) posted by (C)ドラ猫




万葉集の中で朝顔とされるものは、おもに三種とされ、キキョウ、ムクゲアサガオの中のどれかであろう。
秋の七草アサガオは、キキョウとするのが一般的なようなのだが、さてさて。


「月令」五月、「半夏生じ、木菫 榮く」とある。つまり本来ならば、初夏の花ということなのだろうが、実際は秋まで咲いてはいる。しかるに万葉集でのアサガオムクゲを当てはめるのは不適なようである。

アサガオも最近の園芸種であるならば、晩秋おろか初冬でも咲いている種も見かけるが、その昔のアサガオが秋にも花を咲かせていたのだろうか。あえて咲かせていたとしたらヒルガオの方が確立は高いように思える。


              キキョウ(Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.)
キキョウ(Platycodon grandiflorus (Jacq.)
A.DC.)
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ムクゲ(Hibiscus syriacus L.)
ムクゲ(Hibiscus syriacus L.) posted by (C)ドラ猫



         アサガオ(pomoea nil (L.) Roth)
アサガオ(pomoea nil (L.) Roth) posted by (C)ドラ猫


資料を見たり、検索(調べて)ブログ記事を書いているわけではないので、間違えている場合もあるとは思う。間違いを見つけられた方はコメント欄へご連絡をいただければ幸いです。


Miscanthus floridulus (Labill.) Warb. ex K.Schum. et Lauterb.  トキワススキ 標準 
Miscanthus x ogiformis Honda  オギ 標準 
Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth.  オギ 標準 
Miscanthus sinensis Andersson  ススキ 標準 
Miscanthus sinensis Andersson f. gracillimus (Hitchc.) Ohwi  イトススキ 標準
Miscanthus sinensis Andersson f. purpurascens (Andersson) Nakai  ムラサキススキ 標準 
Miscanthus sinensis Andersson ’Zebrina’  タカノハススキ 標準 

Dianthus superbus L. f. latifolius (Nakai) Kitag.  ヒロハカワラナデシコ 標準 
Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams  カワラナデシコ 標準
Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams f. albiflorus Honda  シロバナカワラナデシコ 標準 
Dianthus superbus L. var. superbus  エゾカワラナデシコ 標準 
Dianthus superbus L. var. superbus f. leucanthus T.Shimizu  シロバナエゾカワラナデシコ 標準   
Dianthus chinensis L.  セキチク 標準 

Pueraria lobata (Willd.) Ohwi  クズ 標準 
Pueraria lobata (Willd.) Ohwi f. leucostachya (Honda) Okuyama  シロバナクズ 標準 
Pueraria montana (Lour.) Merr.  タイワンクズ 標準 

Lespedeza bicolor Turcz.  ヤマハギ 標準 
Lespedeza x kagoshimensis Hatus.  シロヤマハギ 標準 
Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai  ミヤギノハギ 標準 
Lespedeza patens Nakai  ケハギ 標準 

Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.  キキョウ 標準 
Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.  オミナエシ 標準 
Patrinia villosa (Thunb.) Juss.  オトコエシ 標準 

Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama  サワフジバカマ 標準 
Eupatorium japonicum Thunb.  フジバカマ 標準 
Eupatorium lindleyanum DC. var. lindleyanum  サワヒヨドリ 標準 
Eupatorium variabile Makino  ヤマヒヨドリバナ 標準 
Eupatorium makinoi T.Kawahara et Yahara  ヒヨドリバナ 広義 

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年10月21日)

秋の七草[季節]

春の七草は、一年を乗りきるために早春に若菜の命をいただき、備えるためのものであり、食せるものである。
ひきかえ、秋の七草は一年の農耕を終え、花を愛でるためのものである。

万葉集には、山上憶良秋の七草を詠んだ歌がある。

「秋の野に、咲きたる花を、指折り、かき数ふれば、七種の花」
(秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花)

「萩の花、尾花、葛花、なでしこの花、をみなへし、また藤袴朝顔の花
(芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花)
芽之花=萩の花、乎花=尾花、葛花=葛花、瞿麦之花=なでしこの花、姫部志=をみなへし、藤袴藤袴、朝皃之花=朝顔の花=桔梗


一番で名が出てきているのは、萩の花である。
万葉集で詠まれているのは、ヤマハギだという説が有力なようである。萩は万葉集で一番多く詠まれている花でもあり、万葉集の8巻と10巻で多く出てくる。萩を詠んだ歌は万葉集では、141首にものぼっている。

ミヤギノハギは、梅雨時から咲き出し、五月雨萩(サミダレハギ)の呼び名もある。ケハギが野生種であるとされ、ヤマハギとの違いは葉の先端が、尖っているかいないかの違いもある。ミヤギノハギも年によっては、秋にも花を咲かせることがあるためにややこしい話である。



ヤマハギ(Lespedeza bicolor Turcz.)
ヤマハギ(Lespedeza bicolor Turcz.) posted by (C)ドラ猫



     ミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai)
ミヤギノハギ(Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai) posted by (C)ドラ猫



萩の次に出てくるのはススキである。ススキとよく似たものにオギがあるのだが、WEBを眺めているとどうも薄と荻がごちゃ混ぜになっているように思える。

株立ちをして生えているのが薄でありばらばらに生えているのが荻であるが、穂をよく見ると、ススキにはノギという太い毛が一本見られるのだが、オギには見られない。

穂が出始めたばかりのススキを花薄と詠んでいる。

今の季節であるならば、「紅の浅葉の野らに刈る草の束の間も我を忘らすな」という季節であろうか。

ススキ(Miscanthus sinensis Anderss.)
ススキ(Miscanthus sinensis Anderss.) posted by (C)ドラ猫


      オギ(Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth.)
オギ(Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth.) posted by (C)ドラ猫



クズといえば吉野葛が有名である。京都の菓子司の大半が吉野葛を用いているのだろう。
京都から、関東に移り住んだ当初は関東の和菓子を食べてはみたのだが、どうも何かが足りない。

葛であるが、よく河原で見かけたのだが最近では、きれいに刈られてしまい、花に出会えるのは年に1〜2度程度となってしまった。葛の生えている川の土手は葛のおかげで崩れ辛いとも聞く。万葉集でもその強靭な成長力を詠んだものが多いように思う。確か、20首以上詠まれていたはずである。



     クズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi)
クズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi) posted by (C)ドラ猫



さて、次が大和撫子ということになる。
ナデシコは、漢名での科名を「石竹」とされる。つまりカラナデシコのことである。

やはり、カラナデシコよりはヤマトナデシコの方を自分は好む。

「秋さらば、見つつ偲へと、妹が植ゑし、やどのなでしこ、咲きにけるかも」
(秋去者 見乍思跡 妹之殖之 屋前乃石竹 開家流香聞)

この唐撫子(石竹)の移入時期がはっきりしない(自分で理解ができていない)

枕草子」(1000)の第67段「草の花は」には、「草の花は、なでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」とある。つまり、西暦1000年には、唐撫子(石竹)は、移入もしくは日本でも知られていたということである。

それでありながら、「古今集」(西暦914)や「源氏物語」(1004〜1012)にみられる常夏(とこなつ)が、カワラナデシコとされている。この部分がどうも府に落ちない。

中国からセキチクという名前持ったカラナデシコが移入をされたゆえに在来種をヤマトナデシコ外来種をカラナデシコと呼んで区別したことが記されている。その上であえてヤマトナデシコを常夏という名を使うものだろうか?
石竹属というくくりで考えたゆえにヤマトナデシコとカラナデシコと区別をしたはずである。石竹と書いてカワラナデシコとよんだともされている以上余計に引っかかる。

常夏(トコナツ)という名前のイメージがどうもいただけない。もっとも床夏という説もあるとは聞いたのだが。

日本の江戸時代に作られた撫子のお品種に、四季咲きのトコナツ(常夏) var. semperflorens と狂い咲きのイセナデシコ(伊勢撫子) var. laciniatus が存在をしたともされて入るのだが、..........?



カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Williams)
カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Williams) posted by (C)ドラ猫


            セキチク (Dianthus chinensis L.)
セキチク (Dianthus chinensis L.) posted by (C)ドラ猫


秋に咲くはずのオミナエシであるが、ここ数年は春にも咲くことが多くなった。

この女郎花という花は、男山八幡と縁の深い花である。
自分は、京都に戻った当時男山の裾・くずはでの仕事が多かったことから、男山八幡にはよく出かけた。石清水八幡宮石清水八幡宮)は、ちょうど山崎の桂川(淀川)対岸となる。この山崎の地に、まずは豊前宇佐八幡の託宣を蒙り
現在の離宮八幡宮の地に至り、その後朝廷より宣旨を受けた橘良基が当地・男山に六宇の社殿を建立、三所の神璽を奉安せられたされる。

また、鎌倉の鶴岡八幡は、男山八幡から湘南茅ヶ崎鶴ヶ嶺八幡、その後鶴岡八幡となるのだが、不思議なことに鶴ヶ嶺八幡のことは、鶴岡八幡の由来の中には一切出てこない。

これは、源頼朝が落馬をし、結果亡くなったとされる馬入に近く、過去には鶴ヶ嶺の山門の極近くを相模川が流れていたとも聞く。またこの山門の右手(私有地)には、弁慶塚が残っていて、義経の家臣団は鶴ヶ嶺の周辺に住まいしていたのではという説もあるようだ。頼朝の死は義経残党の襲撃という説もあるようだ。
なお、鶴ヶ嶺八幡社殿右には、大銀杏の古木が残っているが、鎌倉の鶴岡八幡よりは年代が古いようで、神奈川県内では、一番古い銀杏の樹だとされる。

話を、女郎花に戻そうう。
栗谷能の会のブログで「女郎花」を平成13年に演じた様子を伝えている。

http://awaya-noh.com/modules/pico2/content0079.html

 肥後の国松浦潟の僧が都へ上る途中、石清水八幡宮山城国男山)に参詣しようと立ち寄ると、男山の麓には女郎花が美しく咲き乱れていたそうな。

「岩松そばだって山聳え谷廻りて諸木枝を連ねる」と歌われた男山である。

土産にと一本手折ろうとした時、一人の老人が現れてそれを止めます。二人は古歌に詳しいことを誉め、花を折るのを許します。そして八幡宮の社前に案内し、更に男塚・女塚を見せ、これは小野頼風夫婦の墓であり、自分が頼風であることをほのめかして消え失せます。

旅僧は土地の人から詳しく頼風夫婦の話を聞き、夜もすがらその菩提を弔っていると、頼風夫婦の霊が現れます。そして、女は夫が足遠になったのを恨んで放生川に身を投げたこと、女の塚に生え出た女郎花が、頼風を避けるのを悲しみ、頼風もまた後を追ったことなど語り、今はともに邪淫の悪鬼に責められている、と僧に成仏を願います。




オミナエシ(Patrinia scabiosaefolia Fisch.)
オミナエシ(Patrinia scabiosaefolia Fisch.) posted by (C)ドラ猫



秋の七草という割には万葉集には1首のみとなる。

藤袴」といえば当然ながら、源氏物語の第三十帖である。
「おなじ野の露にやつるる藤袴哀れはかけよかごとばかりも」ということになる。源融がモデルだといわれるのだが、六条河原院(渉成園)を造営をしたと言われているのだが、渉成園の塀際に車を停めて営業中によく昼寝をしたものである。某和尚に言わせると、天台教義を知らずして、源氏物語は読み解けないという。

フジバカマの画像は、京都のものである。
近年、園芸店で売られているものは、ほとんどが、サワフジバカマからの園芸品であるようだ。フジバカマとサワフジバカマの違いを画像として残しておこう。



原種の藤袴
原種の藤袴 posted by (C)ciba



      サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama)
サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama) posted by (C)ドラ猫



      サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama)
サワフジバカマ(Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama) posted by (C)ドラ猫




              キキョウ(Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.)
キキョウ(Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.) posted by (C)ドラ猫





Miscanthus floridulus (Labill.) Warb. ex K.Schum. et Lauterb.  トキワススキ 標準 
Miscanthus x ogiformis Honda  オギ 標準 
Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth.  オギ 標準 
Miscanthus sinensis Andersson  ススキ 標準 
Miscanthus sinensis Andersson f. gracillimus (Hitchc.) Ohwi  イトススキ 標準
Miscanthus sinensis Andersson f. purpurascens (Andersson) Nakai  ムラサキススキ 標準 
Miscanthus sinensis Andersson ’Zebrina’  タカノハススキ 標準 

Dianthus superbus L. f. latifolius (Nakai) Kitag.  ヒロハカワラナデシコ 標準 
Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams  カワラナデシコ 標準
Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams f. albiflorus Honda  シロバナカワラナデシコ 標準 
Dianthus superbus L. var. superbus  エゾカワラナデシコ 標準 
Dianthus superbus L. var. superbus f. leucanthus T.Shimizu  シロバナエゾカワラナデシコ 標準   
Dianthus chinensis L.  セキチク 標準 

Pueraria lobata (Willd.) Ohwi  クズ 標準 
Pueraria lobata (Willd.) Ohwi f. leucostachya (Honda) Okuyama  シロバナクズ 標準 
Pueraria montana (Lour.) Merr.  タイワンクズ 標準 

Lespedeza bicolor Turcz.  ヤマハギ 標準 
Lespedeza x kagoshimensis Hatus.  シロヤマハギ 標準 
Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai  ミヤギノハギ 標準 
Lespedeza patens Nakai  ケハギ 標準 

Platycodon grandiflorus (Jacq.) A.DC.  キキョウ 標準 
Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.  オミナエシ 標準 
Patrinia villosa (Thunb.) Juss.  オトコエシ 標準 

Eupatorium x arakianum Murata et H.Koyama  サワフジバカマ 標準 
Eupatorium japonicum Thunb.  フジバカマ 標準 
Eupatorium lindleyanum DC. var. lindleyanum  サワヒヨドリ 標準 
Eupatorium variabile Makino  ヤマヒヨドリバナ 標準 
Eupatorium makinoi T.Kawahara et Yahara  ヒヨドリバナ 広義 

米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2009年10月21日)