二至二分の優先

閏月の挿入はよくあることで、3年に1度の割合で出現するのですが、もっとイレギュラーなことをいえば、一つの月に「中」が二つ入ることもあります。この場合は、春分を含む月=2月、夏至を含む月=5月、秋分を含む月=8月、冬至を含む月=11月として、あとはそれに合うように配置するのがルール(といっても現在は廃止された暦ですので、廃止直前のルール)です。

閏月

なかには、朔の日と二十四節気の「中」が同じ日になり、その前後の月に「中」がない月が出てきます。朔の日も二十四節気の「中」も時刻を切り捨てて日単位ですので、時刻単位では前後していたとしても、それは無視して同日と扱います。「中」のない月は「閏月」として前月と同じ名前を繰り返します。これは太陽暦にはありませんよね。太陽暦には約4年に1度の2月29日という閏日だけで、月単位の閏はありません。

二十四節気

最後に二十四節気を配置します。これも暦要項に従いますが、時刻部分は切り捨てて、日単位とします。二十四節気には立春、雨水、啓蟄春分清明穀雨立夏小満芒種夏至小暑大暑立秋処暑、白露、秋分寒露霜降立冬小雪、大雪、冬至小寒大寒の24あるわけですが、そのうち、立春から1つおきのもの(啓蟄清明など)を「節」と呼び、季節を表します。一方、雨水から1つおきのもの(春分穀雨など)を「中」と呼び、月名を表します。よって、立春を含む月を1月(正月)、春分を含む月を2月…以下同様に小寒を含む月を12月とします。

朔の日付

太陽太陰暦(旧暦)の作り方は、次のとおりです。暦要項に従い、まずは朔(新月)の日付を確定させましょう。時刻は切り捨てます。つまり朔の瞬間が00:01であろうが、23:59であろうが、日単位で考えます。これをExcelなどの表で縦に置き、朔の日を「月初」とします。横は各月となります。月の名称(1月とか11月など)は二十四節気に依存しますので、この段階ではまだ名付けません。さて、朔(新月)の日付が確定したら、表の縦に次の朔の前日までを置くわけですが、朔望月は約29.5日ですので、太陽太陰暦における1か月は29日か30日かのいずれかになります。規則的に入れ替わるわけではありませんので、注意が必要です。昔は29日まである月を「小の月」、30日まである月を「大の月」と呼んでいたようです。

暦要項

太陽太陰暦は現在廃止されていますが、そのルール自体は簡単ですので、天文データさえあれば誰でも作ることはできます。必要なのは月の満ち欠けと二十四節気の日付です。正確な日付は国立天文台から発表される暦要項に依存します。いわば、現在の公式暦はこの暦要項といってよいかもしれません。毎年2月1日に翌年の暦が官報に掲載されます。これが暦要項。その一覧は下のURLをご参照ください。
http://www.nao.ac.jp/koyomi/yoko/old_yoko.html