改正入管法、未明に成立 与党「拙速」批判押し切る - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018120902000146.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1001-09/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018120902000146.html

臨時国会最大の焦点となった改正入管難民法などは八日未明、成立した。在留資格を新設して外国人労働者受け入れを拡大する。成立を受け、政府は受け入れ見込み人数を決める分野別運用方針を年内に策定するほか、来年四月一日の施行までに、新資格の在留期限や雇用契約基準、悪質ブローカー排除などを定めた省令の整備を急ぐ。施行前に制度の全容を国会に報告する予定だが、具体的な内容は多岐にわたり、短期間で受け入れ態勢を整えられるのかどうかが課題だ。
業種を横断した全体的な方向性を示す基本方針の年内策定や、制度開始までに資格取得のための業種別技能試験の整備も必要となる。新制度の重要項目の多くは、運用方針や省令などで決まるため、野党だけでなく与党にも「チェックが難しい」との懸念がある。政府は全容を報告することで、国会軽視を否定する考えだが、説得力のある根拠を示せるかが問われる。
七日の参院本会議を主舞台にした入管難民法改正を巡る与野党攻防は、応酬を重ねて八日未明までもつれた。主要野党は安倍晋三首相や山下貴司法相に対する問責決議案を連発し、抵抗を過熱させた。与党は「拙速審議」との批判を押し切り、成立にひた走った。
野党は法改正を阻むために波状攻撃を仕掛けた。六日夕に提出した参院法務、農林水産両委員長の解任決議案に続き、七日は法相、首相の問責決議案を提出。扱いは全て参院本会議。議案印刷など事務作業に一〜二時間を要するため、時間切れを狙った戦術だ。
七日昼、本会議場で趣旨説明に立った自由党森裕子氏は「私は参院の戦後最長演説記録を持っている」と宣言すると、与えられた十五分間を大幅に超えて演説した。与党席からの怒号に「ルールを破っているのは安倍内閣だ」と声を張り上げて反論。伊達忠一議長は「降壇しなさい」と重ねて注意し、事務方に「やめさせろ、連れて行け」と強制退去を指示した。
対処のため、与野党議院運営委員会理事がすぐに集められた。森氏の振る舞いに憤った自民党の大家敏志氏が、立民の白真勲氏に暴言を吐き、小競り合いが起きる。野党側は問題視し、事態はさらに悪化。自民党が謝罪し、大家氏が理事を辞任して収拾するまでに、六時間半が経過した。
与党は野党側の手の内を読み切れなかった。
自民党国対筋は立民との水面下の接触を踏まえ、首相問責決議案は出ないと踏んでいた。六日の参院法務委への首相出席は、衆院では応じなかった対応。七日夜に首相問責決議案が提出されると、与党にも「野党の要求を受け入れてきたのに許せない」(自民党参院幹部)と火が付いた。
首相問責決議案を参院本会議で扱わず無視して入管難民法改正案の採決に突っ込む強行策も浮上したが、最後は首相と菅義偉(すがよしひで)官房長官が「逃げる理由はない。受けて立つ」と判断。与党は首相問責決議案の否決に続き、八日午前零時すぎに参院法務委で改正案の採決を強行。参院本会議で成立にこぎ着けた時、時計の針は午前四時を回っていた。

参院本会議投票結果
投票総数237

賛成161 反対76

改正入管法 「介護分野で最大6万人」 政府の期待に冷ややかな見方 - 東京新聞(2018年12月8日)

https://mainichi.jp/articles/20181208/k00/00m/040/153000c
http://archive.today/2018.12.08-135906/https://mainichi.jp/articles/20181208/k00/00m/040/153000c

8日成立した改正入管法で新設される在留資格「特定技能」によって、「介護分野に5年間で最大6万人」とする政府の受け入れ見込み数に対し、事業者から冷ややかな見方が出ている。既存の在留資格で受け入れた外国人介護職は10年で5000人にも満たない。背景には言葉の壁に加え、国際的な人材獲得競争の激化もある。
5年後には約30万人もの人手不足が見込まれる介護業界。政府は特定技能による受け入れ見込み数を「5万〜6万人」としている。施設側の需要に基づいてはじき出した数字だが、「実際に集められるかどうかまでは考えていない」(厚生労働省幹部)。
介護職場で働く目的で日本国内に滞在するには、2国間の経済連携協定EPA)、技能実習制度、在留資格「介護」の三つがある。EPAが介護分野への門戸を開いた2008年以降、今年度までに受け入れたのはわずか4302人。17年に始まった介護分野の技能実習は247人、在留資格「介護」は177人にとどまる。
人手不足が深刻であるにもかかわらず、外国人介護職の受け入れが進まない理由について、ある大手介護会社の担当者は日本語の壁を挙げる。介護では利用者や他の職員との円滑な意思疎通が求められるため、一定の日本語能力が要件として課されている。この担当者は「日本語の習得は難しい。重労働の割に待遇のよくない介護職に就くためにわざわざ勉強するモチベーションがわきにくい」と話す。
「世界的な人材獲得競争に負けている」とみるのは神奈川県内の社会福祉法人幹部だ。「日本の賃金水準は欧州より低い。EPAでも年々、人が集めにくくなっている」と嘆く。
政府は年度内に特定技能で求める日本語能力や介護技能の基準を定める。人をたくさん集めるにはハードルは低い方がいいが、それでは介護の質を維持できない。介護事業者団体の幹部は「特定技能では焼け石に水だ」との見通しを示す。【原田啓之】

(筆洗)十分な審議もないまま、改正入管難民法などが成立した。 - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018120902000137.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1003-01/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018120902000137.html

かばんに入れたブローチがない。壁にあった絵が消えた。誰も入れない屋根裏部屋からは足音が聞こえてくる…。米映画の「ガス燈」である。
度重なる怪現象にイングリッド・バーグマン演じる女性はついに自分がおかしくなったと信じ込むようになる。裏があった。すべては、夫の仕業。妻を混乱に追い込み、思うがままに操ろうというのである。衰弱していくバーグマンの演技が見どころである。
英オックスフォード辞典の「今年の言葉」。「毒性のある」という意味の「TOXIC」が選ばれたが、候補にはこの映画からきた言葉も挙がった。「GASLIGHTING(ガスライティング)」
あの夫のようにウソや工作で追い込み、やがては自分の正気まで疑わせることをいう。都合の悪い話を「偽ニュース」と決めつける米トランプ政権の手口にたとえられ、候補に挙がった。
外国人を数十万規模で受け入れるという国の転換点になるであろうに制度の詳細も示されず、
さては非常識で不可解な国会の「怪現象」によって国民の心を混乱させる「ガスライティング」かと言いたくなるが、これは当たらぬ。中身の見えぬ法も空虚な審議も強行採決もすべては覆らぬ事実なのである。ガスライティングなんぞ比べものにならぬほど政権与党のそのやり方が恐ろしい。

<税を追う>F35Aの製造参画中止 国内3社へ既に1870億円 - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120902000135.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1006-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120902000135.html


防衛省が四十二機の導入を進めるステルス戦闘機F35Aのうち、二〇一九年度と二〇年度に導入予定の残り八機について、国内企業の製造参画を中止し、米国製の完成品を輸入する方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。防衛省は国内企業育成のため、機体の組み立てを行う三菱重工業など三社に、計千八百七十億円の設備投資をしてきたが、参画中止で多額の税金を投じた政策の是非が問われそうだ。
防衛省は一九年度予算の概算要求で、一機百五十三億円で六機分の購入契約を結ぼうと九百十六億円を計上したが、財務省から見直しを迫られていた。米政府が今年、製造元のロッキード・マーチン社と契約した単価は約百億円。完成品輸入に切り替えることで、取得費を下げる狙いがある。二〇年度も完成品二機を輸入する方針だ。
防衛省はF35Aの導入に当たり、一三年度から組み立て・検査に参画する三菱重工業に千百二十九億円、エンジンやレーダー部品を製造する三菱電機とIHIに計七百四十一億円を投資した。
完成品を輸入した最初の四機は一機九十六億円だったが、五機目以降は日本企業の参画や円安の影響で、百三十億〜百八十億円と高騰。米側の発注の遅れなどにより、国産部品の一部搭載は二〇年度納入予定の十七機目から、全ての搭載は二三年度の三十五機目からと大幅に延びた。
今回、三十五機目以降の八機が完成品の輸入に切り替わることで、全ての国産部品を搭載する機体は一機も完成しないことになる。
防衛省は今後、現在の主力戦闘機F15(約二百機)のうち、改修が難しい約百機の代わりに導入するF35AとF35Bも、米国から完成品を輸入する方針だ。
また、三〇年ごろから退役が始まる戦闘機F2(九十二機)の後継機開発も焦点となっている。防衛省は完成品の輸入で停滞する国内企業育成のため、日本主導の開発も検討する。ただ、機体価格の高騰につながる恐れがあり流動的だ。

(「税を追う」取材班)

三菱重工業の話> 現状、防衛省から説明はない。機体の最終組み立て・検査は日米防衛協力を示す重要な例として、米側に捉えられていると聞いている。

三菱電機の話> 政府方針によるところであり、コメントは差し控える。

<IHIの話> 防衛省から説明を受けておらず、コメントのしようがない。

<税を追う>F35A国内企業参画中止 産業育成 絵に描いた餅 - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120902000133.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1009-54/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120902000133.html

ステルス戦闘機F35A=写真=の生産を巡り、国内の防衛産業の育成という防衛省の狙いは、軌道修正を迫られることになった。千八百億円もの国費を投じながら、国内企業が生産に参画できるのは、ごく一部。巨額の税投入に見合うだけの恩恵は得られていない。防衛省の見通しの甘さに、企業からは「税金の無駄遣いだ」との声も聞こえる。(「税を追う」取材班)
「やむを得ないと思う。議論はあると思うが、価格差が出ているから」。防衛省幹部はそう漏らした。
防衛省は年末の二〇一九年度予算案の作成に向け、国内企業が機体の組み立てや一部の部品製造に参画してきた当初の計画を撤回。一二年度から導入を進めてきた四十二機のうち、残りの八機は来年度から米国製の完成品輸入に切り替える。
この幹部が撤退理由に挙げたように、国内企業が加わると機体価格は完全輸入よりも割高になる。昨年の財政制度等審議会でも、財務省から「国内企業の参画は在り方を見直してはどうか」と注文が付いた。

コスト面だけではない。技術習得の恩恵が乏しいことも疑問視されていた。
三菱重工業が担う組み立ては主翼や胴体を接合する程度で、エンジンやレーダーの部品製造も、一機で何万ともいわれる部品のうち国産はわずか二十九品目。それも米側から原材料が届かないなどの理由で、いまだに搭載されていない。
すべての国産部品の搭載は「早くても三十五機目以降」と、計画の大幅な遅れを余儀なくされたが、三十五機目以降の八機を輸入に切り替えることになれば、当初描いた構想は絵に描いた餅に終わりそうだ。
航空自衛隊の元空将は「結果的に痛い出費。技術習得のメリットはなかった」とみる。自民党国防族のある議員は「コストがかかるのに恩恵は少ない。次期戦闘機を国内主体で開発したほうが、防衛産業の育成に寄与する」と話す。

ただ、生産を担ってきた企業の心境は複雑だ。関係者は「防衛省は完全輸入に切り替えた方がコストがかからないと、そろばん勘定したのだろう。五百億円もかけてFACO(組立工場)を造ったのに、つぶしてしまうのか」とこぼす。
機体の整備は国内企業が引き続き担うが、「整備だけするのはリスクが高く、下手に手を入れて整備不良を起こしてはかなわない」と不安を漏らした。
背景にあるのが、安倍政権で急増する米国政府の対外有償軍事援助(FMS)による高額兵器の輸入だ。国産も含めた兵器ローン(後年度負担)は五兆円を突破し防衛費を圧迫する。
ある政府関係者は「そのまま輸入する方が予算的には浮く。FMSが増える中で、こういう部分を削らないと立ち行かなくなっている」と話している。

「もう時間がない」傷痍軍人の平均年齢98歳 先細る証言聞き取り - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120902000131.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1012-39/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120902000131.html

戦傷病者(傷痍(しょうい)軍人)の史料館「しょうけい館」(東京・九段)は、傷痍軍人の生の声を映像や証言集で公開している。戦中戦後の苦労を聞き取り、後世に伝えようとしているが、傷痍軍人は既に七千人を切り、関係者の特定や経験の伝承が極めて難しくなっている。担当者は「傷痍軍人から話が聞ける、今がぎりぎりの時」と懸命に作業を続ける。七十七年前の一九四一年十二月八日は、太平洋戦争開戦の日。 (加藤行平)
「戦後八十年の二〇二五年には、傷痍軍人は存在していないでしょう」。しょうけい館の木龍(きりゅう)克己学芸課長が語る。同館は、出征兵士の現在の平均年齢を九十八歳、志願・少年兵で九十六歳、軍属で九十四歳と推定している。
日中戦争、太平洋戦争で負傷した軍人、軍属、準軍属は、日本傷痍軍人会の設立時(一九五二年)には約三十五万人いたとされる。戦傷病者特別援護法(六三年公布)で戦傷病者と認定され、手帳の交付を受けた傷痍軍人は、療養手当や葬祭費、補装具の支給などが受けられる。
厚生労働省の福祉行政報告例によると、二〇〇〇年度末に七万二千四百七十六人だった交付者は、毎年数千人規模で減少。昨年度は六千八百七十一人(軍人六千十八人、軍属・準軍属八百五十三人)に減った。
同館は傷痍軍人に関する資料を展示し、傷痍軍人や家族の苦労を伝える事業を続け、本人の承諾を得られれば、DVDなどで映像を公開している。
〇六年の開館時は傷痍軍人本人が来館、証言したこともあった。しかし、日本傷痍軍人会も会員の高齢化で一三年に解散。同館は古い名簿を基に新たな証言者を探している。木龍課長は「最近は百人探しても、聞き取りできるのは一人いるかいないか」と明かす。
傷痍軍人は戦争で手足の欠損や失明など大きな傷を負い、戦後も普段の生活で周囲から冷たい声を浴びた人も多い。木龍課長は「死んだ戦友に、生きて帰って申し訳ないとの思いを今も抱える人もいる。聞き取りに応じた人の多くが、(戦争で負傷するのは)自分を最後にしてほしいと願っている」と語った。

◆にじむ戦争の壮絶体験 東京・九段 しょうけい館
東京・九段のしょうけい館では戦地のジオラマや、義手・義足などの補装具といった資料を展示し、傷痍軍人やその家族らの苦労を紹介している。無料で配布する体験記には、戦争の傷と苦渋がにじみ出ている。
一九四二年に右眼を失った陸軍兵士は「血まみれの顔面に手をやれば、飛び出した目の玉が手のひらに触れた。腰のタオルで目の玉を押し込み止血鉢巻きをした。目の前が真っ暗になり、死の地獄谷に吸い込まれていくので、死力を尽くして死の淵からはい出そうと脱出した悪夢が心に焼きついている」と明かした。
復員後の生活への不安も。「敗戦で荒廃した祖国の現実を目の当たりにして、これからどうすればよいのか、障害の身を思い不安感は募るばかりだった」(四五年、マレーシアで左手を切断した陸軍兵士)
家族にもつらい影を落とした。フィリピン・レイテ湾で右脚を切断した兵士の妻は「軍隊に行くまでは温和な夫でしたが、傷病してからは人が変わった。不自由な体をぶつけるかのように、物を投げるようになった」と打ち明けた。

「子ども目線」置き去り? 保育の現場で進む規制緩和 - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018120902000123.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1015-47/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018120902000123.html


安倍政権が進める子育て政策で、保育現場の規制緩和の流れが加速している。学童保育の職員配置基準の変更や認可外保育施設の無償化、企業主導型保育所の設置を推進し、託児の受け皿を拡大させる狙いだ。年内に実施が確定する項目もあるが、利用者からは質や安全性の低下を懸念する声も上がる。「子ども目線」が置き去りになってはいないか。 (大野暢子)
小学生が放課後を過ごす学童保育は、働く女性の増加で需要が高まり、二〇一八年五月現在の待機児童は約一万七千人。政府は二三年度までに三十万人分の受け皿を新設する方針だ。
今年十一月の内閣府の検討部会では、一教室に二人以上の職員配置を義務付けた基準の拘束力をなくし、職員一人での運用を可能にする政策変更を表明した。深刻な人材不足の中、基準が受け皿拡大を妨げているとする全国知事会などの主張を反映した。
検討部会は行政法の識者が中心で、保育の専門家は不在。保護者や指導員でつくる「全国学童保育連絡協議会」は「児童の安全や安心が確保できなくなる」と不安視する。
来秋から実施予定の保育無償化も、規制緩和に拍車を掛けるとの見方がある。
政府は認可施設だけでなく認可外も補助の対象にする方針。認可外は保育士配置などが認可の基準以下の施設が多いが、最低限のラインとして厚生労働省が設けた指導監督基準を満たせば、子ども一人につき最高で月四万二千円を受給できる。
認可の基準以下の施設に補助金が流れ込むことで、最低ラインの施設の設置を助長し、保育の質を低下させる可能性が指摘される。保護者らの団体「保育園を考える親の会」は「無償化するなら認可並みの基準を守ってほしい」と心配する。
政府が待機児童対策の切り札として、一六年度に導入した企業主導型保育所の先行きも怪しい。
企業主導型は、企業などが従業員向けに開設できる無認可の新形態で、市区町村に審査・指導の権限はない。認可より基準が緩いのに認可並みの補助金を受けられ、企業の自由度は高い。三月末時点で二千五百九十七カ所に達した。
だが、需給不均衡や運営の不手際から、東京都世田谷区で休園が相次ぐなど、各地で定員割れや資金繰りの悪化が表面化。内閣府は年内に有識者委員会を立ち上げ、課題を検証する。
全国の保育事業者らでつくる「日本こども育成協議会」の中正(なかしょう)雄一副会長は「待機児童解消を優先するあまり、最も大事な保育の質が二の次にされている。子どもの視点を生かした制度にしてほしい」と求めた。

週のはじめに考える 不戦の時代を忘れない - 東京新聞(2018年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018120902000138.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1016-34/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018120902000138.html

きのうは七十七年前、太平洋戦争が始まった平成最後の「開戦の日」でした。戦乱の昭和から平成、そして次の時代へ。私たちの歩むべき道を考えます。
先日、日本新聞協会の論説責任者が集う会合で、石原信雄さんの話を聞く機会がありました。昭和から平成にかけて官僚機構トップの内閣官房副長官だった人です。
当時担当していた「平成」への改元について話を聞くことが主眼でしたが、心に焼きついたのは、石原さんが平成の三十年間を、昭和とは違って「日本が当事者となる戦争が一度もなかった」と振り返ったことでした。

◆「トゥキディデスの罠」
トゥキディデスの罠(わな)」と呼ばれる現象があります。米国の政治学者、グレアム・アリソン教授の造語で、「新興国が覇権国に取って代わろうとすると、国際関係に構造的ストレスが生じて、暴力的な衝突が起こる」(『米中戦争前夜』ダイヤモンド社)緊張した状態を指します。
古代ギリシャ時代、新興国アテネの台頭に覇権国スパルタが抱いた不安がペロポネソス戦争(紀元前四三一〜四〇四年)を不可避にしたという、アテネの歴史家トゥキディデスの言葉にちなんで名付けられました。
アリソン氏が分析した過去五百年間の覇権争い十六事例のうち、十二事例は最終的に戦争に発展しましたが、二十世紀初めの英米関係や米ソ冷戦、一九九〇年代以降のドイツの台頭など四事例では新旧大国の譲歩によって戦争が回避されたと分析しています。
研究対象となった日本に関係する事例も二例あります。日清・日露戦争と太平洋戦争です。
いずれも明治維新後、新興国として勢力圏を拡大しようとした日本と、既存の覇権国家である清国・ロシア、米国との衝突でした。

◆平和国家の役割大きく
日本は日清・日露戦争に勝利しましたが、太平洋戦争に敗れ、日本国民だけで三百十万人という多くの犠牲者を出しました。主要都市は空襲で焦土と化します。
戦後、日本は焼け跡から立ち上がり、飛躍的な経済発展を遂げました。一時は米国に次ぐ世界第二の経済大国に上り詰めます。アリソン氏の研究事例には含まれていませんが、再び「トゥキディデスの罠」に陥り、軍事的な緊張を生んでも不思議はない状況です。
しかし、戦後七十三年間、再び日本が戦火を交えることはありませんでした。来年四月に終わりを迎える「平成」の時代は「昭和」前半と異なり、戦争とは縁遠い時代でした。文字通り「地平かに天成る」「内平かに外成る」です。
それにはいくつかの理由が考えられます。まずは、覇権国である米国主導の強固な国際秩序下に身を委ねたこと、安全保障条約を結んだ米国との間では軍事衝突は起きえないこと、熾烈(しれつ)を極めた日米貿易摩擦を話し合いを通じて解決を図ったこと、などです。
そして何よりも、先の戦争の反省から、日本は戦争放棄と戦力不保持の日本国憲法を守り、軍事的野心を持たず、他国に脅威を与える軍事大国になりませんでした。
日本の平和国家としての道のりが国際平和に果たした役割は、私たち自身が考えているより大きいのかもしれません。
その一方、日本周辺では新たな緊張の影が忍び寄っています。台頭著しく、いまや世界第二の経済大国となった中国と、米国との摩擦です。それは「貿易戦争」とも「新冷戦」とも呼ばれます。
米中間の緊張に対して、日本は米国との同盟関係の強化と防衛力整備で対応しようとしています。安倍政権は「集団的自衛権の行使」を容認する安全保障関連法を成立させ、トランプ大統領の要請に応じて米国から高額な武器を大量購入しています。
新しい防衛大綱には射程の長い新型ミサイルの導入や、ヘリコプター搭載型護衛艦を事実上「空母化」し、最新鋭戦闘機を搭載する計画が盛り込まれる見通しです。
これらは専守防衛に反するとして歴代内閣が禁じてきた敵基地攻撃能力や攻撃型空母の保有に当たるのではないか。安倍内閣専守防衛に変わりないと言いながら軍事大国化への道を歩んでいます。

◆戦争回避に知恵を絞る
アリソン氏は前出の著書で、日中間の対立が米中全面戦争に発展するシナリオも紹介しています。日本が発端にならなくても、米中戦争になれば集団的自衛権を行使する日本も戦争参加を強いられます。もちろんそのようなことが起きていいはずはありません。
アリソン氏の研究もトゥキディデスの罠から逃れ、米中戦争を回避することが目的です。平成がそうであったように、次の時代も戦争回避に知恵を絞り、叡智(えいち)を集める。それが平和国家・日本に今を生きる私たちの役割です。

スマホと学校 子どもを交えて議論を - 朝日新聞(2018年12月9日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13804783.html
http://archive.today/2018.12.09-011157/https://www.asahi.com/articles/DA3S13804783.html

子どもの多くは既にスマホを持っている。スマホとどう付き合うか。教師や親だけでなく、子どもと一緒に考えたい。
大阪府が、公立の小中学校の児童・生徒に、来春からスマホや携帯電話を持って登校することを認める。文部科学省は2009年、教育活動に直接必要ではないとして学校への持ち込みを原則禁止する通知を出しているが、独自に「解禁」する形となる。
今年6月の大阪北部地震が登校時に起き、子どもの安否確認に手間取った保護者から不安の声が上がった。それを受けての対応で、校内での使用は引き続き禁じる。学校から生徒へスマホを使って連絡することは予定せず、実際に解禁するかどうかや解禁時の具体的なルールは市町村教委や各学校に任せる。
内閣府の17年度の調査によると、小学生の55%、中学生の66%がスマホや携帯電話を使っている。登校時に加えて、放課後も塾や習い事、学童クラブなどで保護者と離れて過ごす子は多い。大阪府の判断は現状を踏まえたともいえるだろう。
だが、懸念や課題は多い。
まず、「校内では使わない」をどう実行するかだ。先生が生徒からスマホを預かることが考えられるが、先生の負担増、紛失や盗難、破損に伴う責任のあり方など、難しい問題がある。
府の方針を受けて、子どもがスマホを持たない親からは、さっそく「持たせた方がよいか」との相談が寄せられているという。所有を強いることにならないよう、配慮が必要だ。
何より重要なのは、これを機に、歩きスマホの危険性や依存症、ネット上のいじめやトラブルなど負の側面にも目を向け、生徒一人ひとりが賢く使えるようになることだろう。
府は来年2月に指針をまとめる予定で、SNSとの向き合い方や使用時間の目安なども盛り込むという。ただ、学校や地域によって状況は異なる。指針を参考にしながら、クラスから学年、学校へと議論を積み重ねてほしい。
学年が進めば、生徒に検討を委ねるのも一案だ。
東京都の調布市立第四中では、学校への持参は禁止だが、生徒会が中心になって「SNSルール」をつくった。友達や家族と直接話す時間やスマホを使わない時間を設けることなど、8項目を申し合わせた。
次々と登場するモノやサービスのメリットを生かしながら、デメリットは抑える。スマホ問題を、そんな意識や姿勢を養う機会としたい。

<学校と新聞>スマホは本当に必要か 仲間の意識の違い認識 - 東京新聞(2018年12月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2018120502000163.html
http://web.archive.org/web/20181205072336/http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2018120502000163.html

図書委員会二年生のNPC(Newspaper Conference=新聞会議)の様子を眺めていた私は、一年生にも提案し、新聞を読んで考える会を初めて開きました。メンバーは輪番スクラップや課題の社会科新聞に取り組んでいる生徒たち七人。玉枝(たまえ)さん、琴鈴(ことり)さん、彩水(あやみ)さん、穂乃華(ほのか)さん、瑠奈(るな)さん、然(ぜん)くん、心温(もとはる)くんが、まずは会議の名称を決めるところから。先輩たちのNPCにSecondをつけ、NPCSになりました。初回のテーマは「スマホは本当に必要か」。二年生の玲愛(れあ)さんの投稿(本紙三月一日掲載)を読み、話し合いました。
司会の玉枝さんが感想を促すと、「スマートフォンの問題点を見つめ直そうと思った」と穂乃華さん。彩水さんが「ネット犯罪に巻き込まれないように注意する」と言えば、琴鈴さんと瑠奈さんは「危険と隣り合わせであることを忘れないように」と指摘。「スマホで全部済むのは怖い」と玉枝さんは正直な一言。心温くんと然くんは「マイナス面がたくさんある、なぜ、みんな使うのか」と偶然、同じ感想でした。みんな、自分なりにスマホの危険性を認識しているようです。
ここで穂乃華さんが「スマホから離れ、物を作ったり本を読んだりと他の趣味を持った方がいい」と提言。それに対し彩水さんが「フィルタリングや時間制限すれば、趣味でも大丈夫だと思います」と反論。穂乃華さんは「私的には、あまり画面を見つめるのはよくない」。玉枝さんが「スマホだけが趣味だと、取り上げられたときに、すごいショックだ」。一同がうなずく中、突然、彩水さんの目に涙が…。
心配した瑠奈さんが「どうしたの?」。彩水さんが「実は今、ゲームやり過ぎで、スマホ禁止なんです」と悲壮な声で言います。これには一同びっくり。ここから彩水さんの救済策をみんなで考えることに。「スマホにはまる前の趣味は」と然くん。「テレビです」「じゃあテレビを見ればいい」「いや、本を読むといいよ」。勝手なアドバイスに、彩水さんがぽつり、「スマホ以外の趣味かあ」。
最後に、心温くんが「スマホについて意識がそれぞれ違う」、琴鈴さんが「みんなの性格や趣味が分かりよかった」と感想を述べ、次回開催へ。(東京都公立中学校主任教諭・穐田剛)

(大弦小弦)きのう沖縄国際大学の教壇に立った… - 沖縄タイムス(2018年12月8日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/356379
https://megalodon.jp/2018-1209-1018-28/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/356379

きのう沖縄国際大学の教壇に立った。本紙記者やデスクによる「沖縄ジャーナリズム論」という15回講座の一コマ。与えられた「地方報道の醍醐味(だいごみ)」の仰々しいテーマに気後れしたが、当たって砕けろと言い聞かせてのぞんだ

▼人前で90分間話すのは未知の領域。中部支社での日々の取材や裏話、記者によって好みの分野が違うことなど現場で感じていることを織り交ぜた。最も伝えたかったのは新聞には多彩な顔があるということだ

▼カジマヤー祝いや青年会の話題、子どもの活躍、災害取材に人物・飲食店の紹介、動物の誕生、芸能、地方面の連載企画…。中部支社勤務で避けて通れぬ基地問題も盛り込み100本ほどの記事をスライドで流した

▼教室では学生の反応が薄いと感じたが、実はすごく興味を持ってくれていたことが後にアンケートで分かった

▼「自分の地域の記事は楽しいし、話題になる」(3年女性)、「小学校以来遠ざかっている沖縄こどもの国にまた行きたくなった」(1年女性)

▼若い人は地域ネタを欲している。届ける努力を怠らなければきっと興味を持ってもらえる。そんな確信を抱いた。「地方面の記事を読むことで生活が豊かになると思った」(4年男性)。勇気をもらえる言葉もあった。街に出て若い人と向き合い、新聞をもっと身近に触れてもらおう。(溝井洋輔)

<金口木舌>民営化の行く末は - 琉球新報(2018年12月9日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-846193.html
https://megalodon.jp/2018-1209-1019-46/https://ryukyushimpo.jp:443/column/entry-846193.html

ペットボトルの飲料水が一般的になったが、なければ水道水を飲めばいい。だが、水道水を気軽に飲める時代は長く続かないかもしれない
▼国会で水道法改正案が可決された。海外で民営化による水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いだことから、国や自治体が監視できる仕組みにしているが、百戦錬磨の海外企業を地方自治体や議会がどこまでチェックできるか未知数だ
マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「華氏119」で小さな子どもたちが体調不良を訴え、泣き叫ぶシーンがある。ミシガン州フリントで利益を優先した企業が安全性を軽視し、高濃度の鉛に汚染された水が一般家庭に流れた
ボリビアコチャバンバでは企業側がダム建設を理由に最大で200%水道料金を値上げ。支払えない世帯へのサービスを打ち切った
▼水道管の老朽化による取り換えなど費用はかかるが、安全な水は国民が健康的な生活を営む上で不可欠なライフライン浦添市の公園では市から管理を委託された民間団体が効率を優先して除草剤を散布したが、水道事業でも同じようなトラブルが起きないとは限らない
▼公共サービス国際研究所によると、2000〜15年に世界37カ国235自治体が民営化した水道事業を再び公営に戻した。国民に不利益が生じた場合、速やかに公営に戻す勇気も見習いたい。

「給食中は私語一切禁止」学校を取り巻く“不自由”の実態 (1/2) - AERA(2018年12月4日)

https://dot.asahi.com/aera/2018120300053.html

時代に合わない規則、忙しすぎて子どもに向き合えない先生、自分の子どもの教育に熱心になるあまりに周りが見えない親……。「学校が不自由だ」という声が数多く寄せられた。いまこそ学校現場の改革が必要だ。

*  *  *

昼どきの小学校は誰もいないのかと思うくらい静かだった。授業参観のため学校を訪れた女性(45)は、当時1年生だった娘の教室の後ろ扉をそーっと開けた。すると、目にとびこんできたのは、全員が前を向いて黙々と給食を食べる姿。
私語は一切なし。楽しいはずの食事の時間がなにかの訓練の場のように見えた。参観に来ていたほかのママ友たちとアイコンタクトで外に出て、首を傾げた。女性は言う。
「『黙食』と呼ばれる指導なんです。子どもたちがしゃべりながら食べると時間がかかるかららしいです。娘は入学したばかりのころ、給食の時間が怖いと泣いたこともありました」
娘は食べることが好きで、おいしければ「おいしいね」と言わずにいられないし、初めての食べ物を見たら「これ何?」と聞かずにはいられない。でもそうすると、先生にシーッと注意されてしまうのだ。
アエラでは「学校を不自由にしているものは何?」と題したアンケートを11月に実施した。この問題への関心は高く、インターネットなどを通じて2週間で、親や先生682人から回答が集まった。「子どもたちにとって、学校が不自由だと感じますか」との問いでは、「非常に感じる」(56.2%)と「感じる」(37.1%)が合わせて9割以上に上った。
「不自由」の正体はいったい何なのか。
アンケートでは「体感温度は人それぞれだが、制服の冬服・夏服の期間を指定される」「体育は一年中半袖短パンという決まり」「下着の色にまで干渉する」など、服装を始めとする学校生活の細部にわたって自由がないという声も目立った。
小学生の子どもをもつ保育士の女性(43)は、こうした校則に無念さがこみあげる。勤める保育園では0歳からの未就学児を預かる。
「寒かったら、自分でもう一枚着ようね」
「汚れたって気が付いたんだね。じゃあ着替えてらっしゃい」
小学校に上がるまでに、自らの状況を判断し自分で行動できるよう指導している。それなのに、小学校に上がった途端「判断してはいけなくなる」とは。
「なんでも一律に決めてしまえば、先生も子どもも考えずにすむので楽かもしれませんが、そこで失われるものは大きいと思います。多様性は大事にされていないのでしょうか」
学校の不自由さを感じているのは子どもや親だけではなく先生もだ。アンケートでは、「先生としても学校が不自由か」を聞いたところ、不自由と回答した人は96%に上った。
30代男性の中学教員は朝、靴箱の前に立つと気が重くなる。担当学年、約200人分の生徒の靴を見て出欠確認し職員室の黒板に書くという業務があるからだ。もちろん各教室では担任が出欠をとる。
なぜ、靴箱でも出欠確認をする必要があるのか、他の教員に聞いても「これまでやってきたから」「自分の学年だけやらないわけにはいかない」といった答えしか返ってこない。
管理職に尋ねても、合理的な理由はわからない。実際、職員室の黒板に書かれた出欠情報を見ている教員はほとんどいない。
「いったん決めたことが形骸化しても、見直してやめるという発想が学校現場にはありません。だから忙しくなる一方です。慣例的に行われてきたことについて、上の人間に問いただすこと自体、はばかられる空気もあって完全に思考停止状態です」
首都圏の小学校に勤める男性教員(39)の学校では、「筆箱の中は鉛筆5本と赤鉛筆1本、定規、消しゴム」と決められている。さらに「消しゴムの色は白」と指定されているが、その理由まではわからない。
「本来であればなぜその決まりがあるのかを考えたり、どうあるのがベストなのかを教員たちで話し合うべきなのかもしれませんが、その余裕がありません」
先生たちの不自由の背景には「忙しさ」があるという声は多かった。この男性は、朝8時に学校に入ったあと約10時間、休憩なしのノンストップだ。午前中の授業を終えると、給食、昼休み、掃除の指導と続く。給食中は、話に夢中になる子がいれば声をかけ、食の細い子は励まし、自身が落ち着いて食べる暇はない。規定では15時半ごろに45分間の休憩があるようだが、そんな時間は取れたためしがない。放課後も、会議や校務、次の日の授業準備や学級の仕事、さらに行事の準備ときりがない。
「仕事の絶対量が多く、勤務時間内にとても収まりません。オーバーフロー状態です」
男性は家にも仕事を持ち帰る。学期末の忙しい時期は深夜にまでおよぶ。多様性を尊重したくても、とても考える余裕がないという。(編集部・石田かおる)

AERA 2018年12月10日号より抜粋

75歳以上の医療保険、来年10月にも低所得者の軽減特例廃止 - 毎日新聞(2018年12月8日)

https://mainichi.jp/articles/20181207/k00/00m/040/311000c
http://archive.today/2018.12.09-005841/https://mainichi.jp/articles/20181207/k00/00m/040/311000c

政府は7日、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、低所得者を対象に保険料を最大9割軽減している特例措置を、来年10月にも廃止する方向で検討に入った。年金収入が年168万円以下の高齢者約740万人が対象になる。法令で定める軽減幅は7割だが、現在は税金を使ってさらに安くしている。
現役世代と負担をより公平にする観点から特例を廃止して本来の規則通りの運用を目指し、増大する社会保障費の圧縮にもつなげたい考え。
来年10月には消費税率10%への引き上げも予定されており、実施時期や方法について慎重に検討していく…