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In Jazz

2112-09-03 初めに。

ここは私ことテリー・ライスが主に漫画や音楽やアニメや小説、映画などの感想を好きに語るブログです。

あくまで個人の感想である事にご留意よろしくお願いします。

サイト名のIn Jazzとは音楽ジャンルのジャズではなく、

俗語の意として「熱狂」とか「たわごと」の意です。

好きなことを語れたらいいなあという思いを込めて。

更新はかなりの不定期になってますが気が向いたら、書く方向になると思います。

それとtwitterでもつぶやいてます。なんだかこっちがメインっぽくなってますが。

テリー・ライス(@terry_rice88)さん | Twitter


※2012/8/16追記。

amazonに自分の好きなものを集めたインストアページを作りました。

ちょくちょく追加していきますので気軽にご覧いただければと思います。

In Jazz Serect shop - Books

2050-05-16 アニメ感想置き場。

アニメ感想置き場

| 22:43

※6/23 最下段のカテゴリに劇場版パトレイバー1&2と新海誠作品の感想リンクを追加。

この記事はアニメの感想リンク先まとめページです

随時更新いたしますのでよろしくお願いします。

続きを読むをクリックで。

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2017-01-01

音楽鑑賞履歴(2016年12月)

| 14:45

月一恒例の音楽鑑賞履歴。音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。

18枚。

新年明けましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いいたします。

久々に20枚割れしてしまいましたが、まあその日の気分なので。

昨年は本当にいろいろありましたが、今年はどうなっていくのかどうか。

そういった期待と不安もありつつ、音楽感想はいつも通りの進行でいきたいと思います。

当面の目標は一昨年の分を出来るだけ早く切り崩して、去年購入分にたどり着きたいですね。

もう残ってる枚数はあんまり考えずに、どんどん聞いていくつもりです。

では、以下から感想です。

12月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:18枚
聴いた時間:643分

EclecticEclectic
02年発表4th。6年ぶりの新作にして16年時点で最後のボーカル収録のスタジオ作。モータウンと契約し、NYで録音された作品で当時のR&Bサウンドやスティーリー・ダンのようなクールなAORを髣髴とさせる音作りが非常に顕著。すでに老成してる感もあるがストイックに削ぎ落とされた趣。
サウンドの質感が変わりはしているが、行っていることはソロデビューからの延長線上にあると思う。前段階で99年にマーヴィン・ゲイトリビュートに参加していることからも明らかで、ニューソウル的な問題意識を初めてシリアスに押し出した盤と考えることはできそうだ。愛の普遍性についてがメインだ
それまでの音に比べても、隙間が多く、重低音の響き渡る作り。その引用先は透けて見えてくるが、そのこと自体はあまり重要ではなく、やりたい事を突き詰めた結果、選び取った音のようにも感じられるし、時代に圧されて成立した音のようにも思う。そして、彼のルーツに厳然と日本が存在しているという事
どんなに遠く離れた、異国の地で音楽を作ろうとも流れる血は変えられず、その抗い難さをこの盤を聞いて感じる。どこまでもソウルになろうとする一方で日本人であるということを強烈に見せ付けられる、セクシュアルな作品だろう。派手さも華やかさも必要ない。黒の濃淡だけを感じる事を提示する一作だ。
聴いた日:12月01日 アーティスト:小沢健二
「Let Me Hear」 (初回生産限定)「Let Me Hear」 (初回生産限定)
15年発表3rdSG。アニメ寄生獣〜セイの格率〜」の主題歌を含む全3曲入り。ラウドに振った曲とエレクトロに振った曲、その混合型という組み合わせ。特に表題曲のキラーチューン度は非常に高く、バンドの成長と高圧縮なサウンドが一体になって切れ味がかなり鋭い、強力な1曲となっている。
ひたすらにカオシックなサウンドが渦巻く中で冷静な感情でラウドに取り纏めていく一方で、1曲の中に詰め込まれたメロディのカロリーも非常に高い。1曲の中で暴走して、静謐になり、また爆発する。秒単位でめまぐるしく変化を遂げ、叩き付けられる。が、それだけに止まらない足取りの軽さが頼もしい。
どこまで成長するのか、どこまでたどり着くのかが分からない感覚がこのバンドの非常に面白いところだと思う。このシングルで一つ頂点を踏破した感はあるがこれからもまだまだ楽しませてくれそうな期待を持たせてくれる痛快なシングルだ。
聴いた日:12月02日 アーティスト:and Loathing in Las Vegas Fear
BABYMETAL(通常盤)BABYMETAL(通常盤)
14年発表1st。女性アイドル×メタルという有りそうでなかったコンセプトを打ち出して、瞬く間に世界に飛び立っていったアイドルユニットの初作。恐らくこれが出た時点でまさかウェンブリーでライヴを行うことなんて、関係者も夢にも思わなかったんじゃなかろうか。音もメタル幕の内といった趣。
一概にメタルといっても、カテゴリは様々あって独立したジャンルになっているがこの盤では出来得る限りの主なメタルジャンルを横断した作りになっている上、そのどれもがメタルと言える、本気の演奏で高水準を保っている事からもこの盤の強力さは窺い知れる。一方でアイドルらしさも堅持している。
この盤の見事なところのアイドルサイドとメタルサイドのバランスが良い曲がものすごくキャッチーなものとなっていて、メタルでありながらアイドルソングというナンセンスな感覚を成立させてしまっている点に尽きる。2や3はそれの証明として、十二分すぎるほどの魅力を放っている代表曲だ。
反面、まだアイドルサイドに引き摺られている部分も目立ち、ユニットの余白、可能性はまだ潜んでいるようにも見える。ただこの盤自体はそういった化学反応による爆発力が尋常ではないほど炸裂した盤であり、存在を叩きつけるという点では最上級の一発であり衝撃度はとても高い。
そう見ていくとキーワードは「無意味さ」のように思う。アイドルメタルをくっつけるという「無意味さ」を成立させてしまうのは非常に「日本らしい」感覚でその辺りはYMOにも感じられるもののように思う。無邪気に両極端の要素を掛け合わせられるのはそこに「意味がない」からではないかと。
意味がないことに価値を見出して、面白がれる感覚が海外の人々にとっては新鮮に見られたのかもしれないがその辺りにこそ「ポップミュージック」の本質があるのかもしれないなどと、考えさせられしまう一枚だろうか。粗もあるが勢いが凄いので名盤たりうる雰囲気をびしばし感じる。
聴いた日:12月05日 アーティスト:BABYMETAL
CC
勢いとキレで突き進む性急な感じとポストパンク的な硬質な音には不思議と「光」をイメージさせるのはメンバーの迷いのなさと爽やかさゆえだろうか。それとも青春のまぶしい方しか見えていないような、無自覚な無敵さが滲み出ているせいだろうか。ともかくそういった鮮烈さが目立つ、痛快な一作だ。
06年1st。メジャーデビュー盤。同時にインディーズ時代からのサウンドの完成形だと思う。疾走感に満ちながらも、独特のコード感覚で織り成されるギターサウンドによって切り開かれていく青臭さと若さがなによりの肝だろうか。まだ何色にも染まらない雰囲気が非常にまぶしく感じられる。
聴いた日:12月07日 アーティスト:Base Ball Bear
Rhythm of LifeRhythm of Life
77年発表唯一作。ロイ・エアーズ・ユビキティKeyが送り出したソロ作。脇はユビキティでの盟友で固められ、7と9以外はナラダ・マイケル・ウォルデンが叩いている。ロイ・エアーズ直系のコズミックジャズ・ファンクが鳴り響く作りでエレピやアープシンセの音がその印象を深めている。
サウンド的には高揚感が希薄で、クールネスが全体を支配する。ダンサブルではあるがアーバンな雰囲気やスピリチュアルな向きが強く、宇宙の深い闇に漂うような感覚の淡いグルーヴに心地よくなる。あっさりとしたメロウさが特徴的な一枚だ。スタイリッシュかつスペーシーな音を味わいたければお勧め。
聴いた日:12月08日 アーティスト:James Mason
LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~(初回生産盤)LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~(初回生産盤)
15年発表ライヴ盤。14年3月の武道館ライヴの模様を収録した作品。収録内容は1stと同一だが、既にスタジオ録音のものとはアレンジとニュアンスが異なっており、ライヴの臨場感と熱気共々楽しめるものになっている。と、同時にアイドルユニットらしい、コール&レスポンスがあるのがやはり特異か
面白いのはこのユニットは楽曲を「熟成」していくタイプであるという事だ。まずライヴありきのアイドルユニットであり、また神バンドと呼ばれるバックの演奏陣がアイドルの成長と共にサウンドをより鋭利にしていく様がこの盤からも感じ取れるのが興味深い。1st収録曲が生き物のように変わっていく。
実際、ライヴでありショーでもあるので、メタル×アイドルというコンセプトの旨みが凝縮されていて、パッケージより「演出」を利かせやすいのが功を奏している気がする。そういう点では1stよりもより研ぎ澄まされたパフォーマンスが聞けるし、彼女達のライヴを体感するという点でも良盤ではないかと
聴いた日:12月08日 アーティスト:BABYMETAL
ケンソー(ファースト)ケンソー(ファースト)
80年発表1st。当時400枚しかプレスされなかった原盤に76〜83年頃までの未発表曲とライヴ音源を増補した作品。高校から大学時代の音源ということも合って、今となっては若気の至りに他ならないトラックもあり微笑ましさも感じられるが、後の片鱗を感じさせる曲もあってなかなか侮れない出来
中心メンバーの清水義央作曲からは欧米のプログレ殻は感じられない、オリジナリティが見え隠れしており、水のように透き通る雰囲気のある音は日本固有のメロディらしさを感じ取れるなど興味深い一方で、清水作曲ではない曲の垢抜けなさもまた憎めない出来となっているのが面白くも感じられる。
もちろんそれらは、既存のプログレの影響を隠し切れないものだが、日本でプログレをやろうとする「若さ」ゆえの勢いに満ちている。さすがに5や6など、傍から見ても気恥ずかしくなるものもあるが、新たな挑戦をする若者の姿が窺い知れて、そういった所もここが「始まり」だったと感じさせる一枚か。
聴いた日:12月09日 アーティスト:ケンソー
ケンソーケンソー
・85年発表3rd。メジャーデビュー盤。前作から音はさらに洗練されて、ジャケットの絵のようにソフィスケイテッドされ、よりテクニカルフュージョンっぽくなった印象が強いが和のテイストを強く感じる神秘的なニュアンスが一線を画している。同時にそれまでの特色であるフルートを失った盤でもある
フルートが無くなった分、シンセサイザーを多用しているのもこの盤の都市的な響きを強くしているものと思われるが反面、サウンドは無機質な趣で郷愁を呼び起こすような情緒さはあまりない。出来の良さには何の疑いはないが、サウンドの強烈さは薄らいでしまった、悩ましい一枚。入門としては良作だろう
聴いた日:12月10日 アーティスト:KENSO
夢の丘夢の丘
・91年発表5th。バンドの過渡期だった前作を通過して、新体制でのフルアルバム第一作は地中海の穏やかな雰囲気と神秘的でミステリアスな印象の濃厚なサウンドとなった。全体にヨーロピアンな民俗音楽の趣で、楽器の響きもナチュラルなものへとシフトしており、より美的なニュアンスを強めている。
サウンドはかなり練り込まれている印象で、地中海のたおやかさとは裏腹にテクニカルなバンドの成熟が感じられ完成度は高い。しかし一方で、それまであった日本らしい、和風な叙情が見えなくしまっているのは、寂しいところではあるか。この盤の楽曲からは日本人らしい民族性は皆無だ。
日本人らしさは何かという議論は置くにしても、トラッドなどや欧州の民俗音楽らしさを志向した、という点では非常に完成度も高くプログレらしい一枚ではある。が、日本人バンドとしての独自性は希薄でどこか借り物という印象が付きまとう。もちろん演奏やアンサンブルにはらしさはあるのだが……。
聴いた日:12月11日 アーティスト:KENSO
エソプトロンエソプトロン
・99年発表6th。8年の潜伏期間を経て、送り出された作品は端的に「ロック回帰」。再生すると初手に聞こえてくるのは、ツェッペリンライクな重戦車サウンド。ロック的なダイナミズムを取り入れつつ、バンドの代名詞ある変拍子の嵐が織り交ぜてくるのは新機軸を感じさせる。
80年代から90年代初頭まで蔓延していた音の洗練からは真っ向から背を向けて、オルタナミュージックシーンと符合するかのように、積極的に粗野な質感を押し出すのは当時らしい時代性。実際、本作が以降の作品のベースになっているようでアジアンテイストも少し顔を出している。再出発の趣が強い一枚
聴いた日:12月12日 アーティスト:KENSO
球体の奏でる音楽球体の奏でる音楽
96年発表3rd。盟友であるスカパラのメンバーと編曲服部隆之を迎えて、製作された25分強のアルバム。ロックやR&Bといったポップミュージックを敬遠するかのように、ジャズボーカルやエキゾチカ的なメロディを中心に据えたものとなっており、華やかというよりは柔らかく優雅な雰囲気が漂う。
前作までの印象を考えると、激変とは言わないまでも細波漂う穏やかな雰囲気と草臥れた印象を感じるのは間違いがなく、いくつかの楽曲からも何かの終わりを告げているかのようにも受け取れる。短いながらも示唆に富んだ作品だろう。これ以後、5枚のシングルを発売し、長い沈黙に突入する事になる。
聴いた日:12月15日 アーティスト:小沢健二
Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学
06年発表5th。16年現在スタジオ最新作。全曲インストかつ当時執筆していた小説「うさぎ!」とリンクした内容の作品。なおディスコグラフィーの中でも最長の収録時間となった。非常にコンテンポラリーかつモダンなサウンドでジャズをベースにトライバルな響きを鳴らせている。
環境的というか生態学的というか。自然と寄り添う形で人間の作り上げた醜悪なシステムを批判してる点は書いていた小説の余波もあって顕著だと思うが、そこを踏まえずただ楽曲として捉えるのであれば、出来は十二分するほどではなかろうか。穏やかでオーガニックな雰囲気に包まれたメロディは割と複雑だ
インスト曲としての聞き応えもかなりあるのはアンサンブルの妙と小沢健二というセンスの成せる業だろうか。ともあれ、全然ポップではないが、ジャズ現代音楽なのを聞き好んでいるのであれば、良さはばっちり伝わるはずだ。良くも悪くもガラリと印象の変わった一枚。初手にはあまりお勧めできません
聴いた日:12月16日 アーティスト:小沢健二
singlessingles
01年発表編集盤。解散後に発表されたコロムビア時代のシングルを収録した内容。アルバム群では時代のトレンドを切り取ってきた彼らだが、こうやってフックの強いキラーチューンを並ばせると、ポップカルチャーとしての彼らの本質がより浮き彫りになっていると感じられる編集が興味深い。
ひたすらにファッショナブルだが東京の趣や歌謡曲らしさが隠し味になっているDisc1、対して、ハウステクノの熟しきったグルーヴがサイケな酩酊感を放ちながら、最終的に日本らしい紅白めいたお目出度さに回帰していくDisc2。シングルにこそ、その真髄が詰まっていると感じる良編集盤だろう。
聴いた日:12月17日 アーティスト:ピチカート・ファイヴ
PIZZICATO FIVE JPNPIZZICATO FIVE JPN
97年発売ベスト盤。タイトル通り、94〜97年にかけての楽曲を収録したグループ中期のベストアルバム。サウンド的には洒脱なハウステクノからロックやR&B歌謡曲など雑多でハッピーな音にシフトしていく様子を捉えた内容となっている。東京という大都会の喧騒と響きがみっちり詰まっている。
聞いていて思うのは、編集盤だけあって、おそらく選曲したであろう中心人物小西康陽の意図がかなり色濃く出ている曲順だということ。コンセプトありきで組まれているだけあって、他の編集盤と曲が重複していても、別個の流れを楽しむことができるのが彼の掌の内という印象を強く受ける。
その辺りはDJ的な感覚なのだろうけど、自前の曲でミックステープを作っていると思えば、納得は行く。翻っていえば、曲のキャッチーさにおいては絶対の自信があるからこそ出来る所業だと思う。その点では、その日の雰囲気や気分で選ぶ楽しさがあるし、そういう楽しみ方こそ彼らの音楽の真価なのだろう
聴いた日:12月18日 アーティスト:ピチカート・ファイヴ,小西康陽
Cape Verdean BluesCape Verdean Blues
・65年録音盤。ホレス・シルヴァークインテットトロンボーン奏者のJ.J.ジョンソンが4〜6に参加している構成の作品。カリビアンフレーバーが小気味いいラテンジャズ。ドラムが刻む細やかなビートの熱を帯びた疾走感が鬱蒼とした熱帯林を吹き抜けていく風のようで痛快だ。
タイトル曲の色鮮やかなトロピカルさも味わい深いがテナージョー・ヘンダーソンとJ.J.ジョンソントロンボーンのハイトーンが絡みあう4のエネルギッシュさも堪らない。ホレスのパーカッシヴなピアノもこういった南米的なサウンドがやはり水に合うようで聞く側も楽しくなる演奏が詰まった良盤だ
聴いた日:12月22日 アーティスト:Horace Silver
ザ・サイドワインダーザ・サイドワインダー
・63年録音盤。3年ぶりのBN復帰盤にして、最大のヒット作。8ビートを取り入れた1がジャズロックと呼ばれ、人気が高いが後年のロックが下地になったものとはやはり趣は異なる。タイトでシャープな演奏が非常にスタイリッシュに鳴り響く。きっかりと構成が決まっているのも折り目正しさを感じる
ミッドなテンポで、派手さはないが各メンバー、ハキハキとした演奏で存在感を示していて、味わい深い演奏といえる。全力疾走より、ランニングといった雰囲気でじっくりと聞かせてくれるのは、大人の魅力だろうか。余裕を感じるジャズらしい一枚。キャリア中期の代表作だろう。
聴いた日:12月23日 アーティスト:リー・モーガン
Sigh no moreSigh no more
91年発表2nd。1stに比べるとテンポを落としてハードロック寄りになった印象を受ける作品。アメリカンっぽいカラッとしたサウンドにジャーマンらしいメタリックなノリが重なるのが結構面白い。さすがに突き抜けるような疾走感は前作と比べると少なくなっているが、その分試行錯誤が見え隠れする
メタリックでへヴィな音がじっくり伝わってくるのと、アメリカンHM/HRの乾いた質感がわりかしポップに響いているというのもあるが、そういった彼らの音をより高みに練り上げるために必要な一枚だったように思う。しかしテンポが落ちた曲でもパワフルさは変わらず。佳作だが十分楽しめる一枚だ。
聴いた日:12月25日 アーティスト:Gamma Ray
ニセ予言者どもニセ予言者ども
87年発表4th。インディーズ最終作。前作のアフロファンクからさらにファンク色を強めて深化したサウンドになった。華やかさは薄れたものの、猥雑さと切れ味の鋭さはさらに増した。江戸アケミの歌詞も叙情性と力強さがはちきれんばかり。勢いはそぎ落としたものの、渦巻くグルーヴは最高潮である。
江戸アケミの詩は30年経った今なお、その精彩を一向に欠いておらず、心を響かせるし、真に迫った内容だ。バンドのテンションと江戸アケミの創造性が一体となったという点ではこのアルバムが最高傑作であるという評になんら疑いを持たないし今だからこそ広く聞かれるべき作品だと思う。間違いなく名盤
聴いた日:12月29日 アーティスト:JAGATARA

わたしの音楽メーター
音楽メーター

2016-12-28

話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選

| 21:27

さて、今年もやってまいりました。話数単位で選ぶ、TVアニメ10選です。

「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

毎年、放映されたTVアニメの中から話数単位で面白かった回を選ぼうという企画。

新米小僧の見習日記さんが集計されている、年末の恒例企画です。大まかなルールは以下の通り。


ルール

2016年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。


ブログは6回目の参加です。もう6年目かあ。企画自体は今年で7年目なので、最初の年以外は欠かさず参加してる自分はもうすっかり古参の部類になりますね(笑) いやまあ、なんだかんだでのらりくらりと続けてこられました。出来る限り続けていければと思いますが、この先どうなっていくかは自分もちょっとわかりません。これから放映されていくアニメ作品次第、といったところでしょうか。なお過去の10選は以下のリンクから。

話数単位で選ぶ2011年TVアニメ10選 - In Jazz

話数単位で選ぶ2012年TVアニメ10選+α - In Jazz

話数単位で選ぶ2013年TVアニメ10選+α - In Jazz

話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選+α - In Jazz

話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選 - In Jazz

筆者としては「記録を残す」という点で、企画に参加してます。この年にはこんなの見てたんだなあと思い返したりも出来ますしね。また一年の総決算として、参加しやすい企画というのもあります。……とはいえ、今年は肌に合う作品が多くなかったので話数が10本集まるかどうかが怪しかったのですが、どうにかこうにか弾は揃えることができました。おそらくは他の方より視聴本数が少ない中での選考となってますのであらかじめご了承をいただきたいかと。

言い訳めいた前置きはここまでにして。筆者の10選をコメントを添えつつ、紹介していこうと思います。

なお地上波放映日も明記しています。それではどうぞ。なおスタッフ名等々は敬称略です。

《話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選》

1.ふらいんぐうぃっち 弟5話「使い魔の活用法」(5/8放送)

ふらいんぐうぃっち Vol.3 [Blu-ray]

ふらいんぐうぃっち Vol.3 [Blu-ray]

脚本:赤尾でこ

絵コンテ演出佐山聖子

作画監督矢向宏志、浅川翔、上田みねこ、佐野はるか

総作画監督:安野将人

《コメント》

真琴の使い魔、猫のチトさんのお散歩回。

東北地方青森)の雄弁な自然を背景にスローライフで不思議な日常を丹念に描いていた本作だが、一番印象的だったのがこの話数。ホットケーキ回とか喫茶店回とか空飛ぶ鯨の回とかも好きだったけど、これは構成の使い方が巧みだった。いわゆる「視点」とか「目線」のエピソードだと思う。チトさんの散歩道を辿る人間が違うだけで、見方が違って見えるというのをAパートとBパートを使って提示していたのが面白かったし、出来事を台詞からニュアンスで掴み取る会話のやりとりにしても、何があったかの一部始終を把握している視聴者だからこそ楽しめるものとなっていて、その辺りの話運びと舞台作りが実に巧みだなと。チトさんの猫らしい挙動も可愛らしかった。この話数の魅力については↓のリンクにも詳しいので明記しておきます。

小さな魔女と縁側の時間――アニメ「ふらいんぐうぃっち」 - subculic

2.ユーリ!!! on ICE 第4滑走「自分を好きになって・・・完成!!フリープログラム」(10/27放送)

ネーム:久保ミツロウ

絵コンテ:大塩万次郎

演出:新井宣圭

作画監督:梅津茜、芳賀亮、鎌田均

総作画監督平松禎史

《コメント》

世界選手権へ向けてのユーリとユリオの特訓風景とそれぞれのフリースタイルの完成が描かれたエピソード

シリーズ全体を眺めると個人的には非常にアンバランスな構成と描写不足が気になってしまう作品になってしまったが、序盤のドラマ描写の密度と題材となっているスケート描写のバランスの良さが際立った話数をチョイスした。ヴィクトルとユーリが海辺で対話するシーンもそうだが、取り巻く状況を打破するために自分をどう変革していくのかの糸口を掴む描写の積み重ねが丹念に描かれ、自分らしくあるために利用できるものは何でも利用する二人の姿が画面のリズミカルな畳み掛けと相俟って、作画とドラマがうまく絡み合っていた。そしてそれらが最後にフリープログラムに使用する楽曲のタイトル、つまり作品タイトルへと結実していく。特に終盤、ユーリのFS曲に二人の演技が交互に絡み合うシーンは絵的な満足度が高かったし、これから始まる勝負の舞台へ向けて完成していく美しさがあったように思う。この位のさじ加減で物語が進んでくれれば言うことはなかったのだが……つくづく惜しい。

3.月曜日のたわわ その3「TAWAWA SPORTS」(10/24放送)

絵コンテ演出:村山公輔

作画監督:瀬川真矢

《コメント》

スポーツジム回。

ショートアニメながらちょっと意表を突いた展開だったのが印象的。仕掛け自体は視聴者の錯誤を用いた映画やドラマなどにもよくありそうなものなのだが、短い尺ながらも物語の起承転結を組み上げ、仕掛けを気付かせないように構成しようする姿勢を買いたい。おかげで一本のフィルムとして、内容のあるものに感じられたし、自分は上手く騙された痛快さがあった。監督や演出陣がシャフト出身だけあって画面の作り方がそれらしくもあったので、シャフトという製作会社の作るアニメーションの汎用性と「年輪」も感じられ、興味深い一本だった。

4.とんかつDJアゲ太郎 #5「豚々(トントン)拍子で初DJ…!?」(5/8放送)

絵コンテ大地丙太郎

演出:中田誠

作画監督:KIM EUM HA

総作画監督:河南正昭

《コメント》

アゲ太郎のクラブDJデビュー回。

徹底した「引き算」の演出が見事に嵌った話数だった。音楽題材の作品だとどうしても「演奏」や「ダンス」などの作画に注力しなければいけない側面がある。が、ショートアニメという形式だというのもあるが、この作品についてはまったく逆の手法をとったのが面白い。というよりクラブDJが機材を使って、レコードを回す行為はDJプレイで、極端なことを言えば「演奏」ではない。つまりその場で流れる楽曲とDJプレイをしていると分かる画が用意できれば、場面が成立してしまうのだ。それ故にこの話数では「音」の存在感を出すため、画面をほぼ動かさずにクラブの盛り上がりを演出して見せたのが見事だった。「とんかつを揚げる油裂音」と「Rainy Lenny」の雨音のイントロが絡み、グルーヴが生まれる瞬間の音を際立たせる為の「逆算」の妙を感じた。

5.ジョジョの奇妙な冒険ダイアモンドは砕けない 第31話「7月15日その1」(10/28放送)

脚本:小林靖子

絵コンテ長田絵里、ソエジマヤスフミ、吉田泰三

演出長田絵里、ソエジマヤスフミ津田尚克

作画監督:仲敷沙織、飯飼一幸、Shin Hyung Woo、千葉山夏恵、横山謙次、芦谷耕平

アクション作画監督:三室健太、才木康寛

総作画監督西位輝実

《コメント》

アニメジョジョ4部最大の「大仕掛け」回。

杜王町のとある夏の一日として雑誌掲載時のエピソード×4を同時進行させた構成の妙に拍手したい。群像劇の趣も強いシリーズだからこそ成立した構成でもあり、同時多発的に敵の脅威が襲い掛かるという切迫感を原作から上手く抽出していたと思う。それ以上にここで「時間」の概念を加えたことによって、クライマックスで対峙する事となる「運命」と合わせて、後の5部、6部との相関性を高めた点でも一石二鳥いや、一石三鳥の技ありの話数かと。

4部は日常に潜む狂気を積極的に描いているシリーズでもある。平穏な日々にも暴力や狂気はしっかりと存在し、その善悪の間の「揺らぎ」の中で、常に均衡を保たれるべきもの=日常なのだ。そして日常の中に許しがたい悪が潜む時、それを暴き、直さなくてはならない。4部は杜王町に暮らす人間の、脅威に立ち向かう精神の物語だと言える。ふとした出来事で日常はたやすく崩れていく。そういった困難に直面した時の「強さ」を描いた作品で、今の時代に描かれるべき物語でもあるなと実感した次第。

6.WWW.WORKING!! 第12話「あらしの前の何か」(12/17放送)

脚本:永井千晶

絵コンテ青柳隆平

演出:崎山早良

作画監督:西川絵奈・渡辺浩二・高橋道子・真田しづえ・神本兼利・石夏海・加藤やすひさ

総作画監督:中野繭子

《コメント》

足立×さゆりユータ×志保の告白&キスショット二連発。

WEB版WORKING!!ファンの内々では「猫組」と呼ばれる作品のアニメ化。原作の初出順は猫組(作者のサイト)→犬組(ヤングガンガン連載版)。筆者は猫組の方を先に目にしていたのでようやく、という感慨がある。5年前のエイプリルフール動画から待ってた甲斐があった……!

チョイスした話数は演出のキレが良かった。正直な事を言わせてもらうと、この作品にあまり画面的な充足感を期待していなかった。いやむしろ演出面で冴えを見せてくたのでちょっとびっくりした、という方が正しいだろう。絵コンテ青柳隆平は6話、9話(※放映時には鎌倉監督の絵コンテ演出表記だったが公式サイトでは絵コンテとしてクレジット)と本作の後半話数をコンスタントに担当されていて、どれの回にも攻めた画面をなにかしら一つは繰り出していたのが目を引くきっかけ。実は、12話が放映するまでは9話をチョイスしてたのだが、滑り込みでそれを軽く飛び越えてきた。

OP明けのカットからグランドホテル方式的にスポットの当たる人物を配置して、そこからひとつのエピソードにフォーカスしていく流れや画面の上手下手をつかった芝居だったり、空間の奥行きだったりの画面構成が光っているように感じられたし、それぞれのカップルのキスショットの対比など見所が合った。特に足立×さゆりの別れ際のキスはワンショットとしても大変にキレが良かった。(原画陣に和田高明がいたので担当パートなのだろうか?)

まだ演出を始めて2年ほど、絵コンテを担当するようになって1年半ほどの若手の方らしく、やりたい事を全て詰め込んだ若さと勢いに満ちているようにも見える。が、その迷いの無さがフレッシュな画面として鮮烈な印象を与えているのだろう。青田買いになるのかもしれないが、この作品を通じて一皮剥けた感もあり、これからの成長への期待を込めて、この話数を選びたいと思う。

7.終末のイゼッタ 第3話「天翔る剣 Das Schwert des Himmels」(10/16放送)

脚本:吉野弘幸

絵コンテ藤森雅也

演出:根岸宏樹

作画監督:関根昌之、重田智(銃器・メカ)

総作画監督:山下祐

《コメント》

白き魔女イゼッタ、戦地に立つ回。

自分の視聴観測範囲ではこの作品と次に取り上げる作品は監督のポテンシャルの高さを実感させられるものだった。「終末のイゼッタ」の制作が亜細亜堂だと分かった時は驚きがあったし、さらに蓋を開けてみれば各話絵コンテを藤森監督が約半分を手掛ける格好となっていて、なお驚異的に感じられた。元々実力の高さは折り紙付きだった方なのでこれ以上望むべくもないが、凄みを見せ付けられた結果となった。この話数は序盤のクライマックス。密度の濃い画面でファンを唸らせてきた藤森監督の魅力が詰まったものになった。対戦車ライフルに跨り、ランスや洋刀をフィン・ファンネルのように操り、戦場を縦横無尽に駆る姿は魔女というアンタッチャブルな存在を知らしめるに十分すぎる光景。強大な戦力を誇る敵国を前に、圧倒的な不利を被っていたエイルシュタットの戦況を一変させるイゼッタの戦いには極めて爽快感のあるカタルシスを感じた。

8.文豪ストレイドックス 第15話「いつか海の見える部屋で」(10/20放送)

脚本:榎戸洋司

絵コンテ五十嵐卓哉

演出:佐藤育郎

作画監督:菅野宏紀

総作画監督新井伸浩

《コメント》

或る男の悲劇、そして慟哭。

分割2クール目は小説版に描かれた過去編の映像化とともに怒涛の五十嵐監督4週連続コンテ回という気合の入った幕開けとなった。この作品も個人的には愛憎入り混じる視聴で如何ともし難い心持ちで見ていたがなんとか完走できたのは、アニメーションスタッフの目覚しい尽力に他ならないと感じている。そういった作品であった事を踏まえて、どれか一つ抜き出してみるとこの話数になった。本編の前日譚的色合いの強いエピソードである「黒の時代」の「転」に当たる部分。

「黒の時代」は全体に大人の欺瞞と苦味が押し出された物語なのだが、その中でも特に苦渋を味わう事になるエピソード。仔細は語らないにせよ、純粋や無垢、あるいはモラトリアムが続く事を願う人間が打ち砕かれる様を描いてるとも言えるし、永遠に続くかに思えた友情のあっけない終焉が描かれているとも言える。確実に何かが終わりを迎え、新たな光(始まり)が見えてくる矢先の谷底へ叩き落とされた者のタガが外れる。それらが全て終盤の男の慟哭へと込められるのは圧巻といっていいだろう。そこで物語は次回へと引くのだが、「結」の部分で谷底に落ちた男は苦み走った決意の表情を浮かべる。その先に待つのは破滅か福音か、それとも。

榎戸洋司の作品遍歴から眺めれば、「黒の時代」で描かれた事はスタドラやキャプテン・アースの「先」であり、特にキャプテン・アースの「大きなやり残し」の一角(だと筆者は感じている)である、成人直前直後のモラトリアムを描いた点に「新しさ」を見出すわけだが。そうでなくとも、分割2クール目の初手に本編の流れを断ち切ってまで挿入してきた意義はおそらく大きかったように思える。また絵コンテを切った五十嵐監督がここに来てさらに一皮剥けたのではないかと思えるほど、演出的にも「振り切った」印象を受けたのは非常に興味深い所。各スタッフがここで得たものを次作にどう生かすのか、早くも待ち遠しくなっている。

9.魔法つかいプリキュア! 第31話「結晶する想い!虹色のアレキサンドライト!!」(9/4放送)

脚本:村山功

演出:佐々木憲世

作画監督:爲我井克美

《コメント》

今年のプリキュア枠。Vsラブー&新技初披露回。

おそらく29話に人気が集まるだろうから、自分はちょっと別角度で語るとする。

朝日奈みらいは魔法つかいの夢を見るか?〜『魔法つかいプリキュア!』第1話検証〜 - In Jazz

以前、↑こういう記事を書いた。これが正鵠を射ているかは定かではないが少なくとも筆者にとって、まほプリは「みらいの物語」として目に映っている。だからこそこの話数を選出したと言っても過言ではない。本作は全体的にファジーな要素が多く、掴み所を得ない作品である事は否定できない。が、見方を得る事ができれば非常に文学香りが漂う作品に思えてくるのだ。リンクでも語っているような「エヴリデイマジック」な日常からわずかな変化が起き、波紋を呼ぶのがこの話数。

リコが冷凍みかんを作る事に成功するのは他愛のない変化と成長だが、これがきわめて重要なのだ。成長には経験の積み重ねと時間が非不可欠だろうし、リコがこと魔法に関しては大なり小なり失敗続きだったのは見ている人ならば分かるだろう。それが成功という形で成長が描かれた。はーちゃんことことはもみらいとリコ以外の人間から思いやる心や努力する姿を見て、二人の知らない所で心身を成長させている。

では、みらいはどうだろうか?彼女はラブーという強敵に向かってもなお「(みんなと)いつまでも一緒にいたい」と言い放つ。それは「強さ」であるが「弱さ」でもある。みらいの純粋な気持ちがそう言わせるのだろう。しかし、リコもことはも「成長」している。みらいはどうするのか。その答えは最終クールに突入し、いよいよ終盤という12月末現在でもまだ提示されていない。おそらくはみらいの「成長」が鍵を握っているからだろう。

取り上げた話数はターニングポイントなのだ。それ以前より「ずっと一緒にいたい」というフレーズは何度か聞こえていたのだが、他の二人の成長が描かれた為にみらいの無自覚な純粋さが顕在化するのはえげつなさすら感じてしまう。彼女の「危うさ」を浮き彫りにしている一方で、その想いの純粋さが新たな技を生み出しているから、表裏の関係だと見ることは可能だ。それがどういう事なのかは最後まで見てみないとわからないが、みらいの「魔法」にまつわる問題を炙り出しながら児童アニメ体裁を保って、展開される演出はさりげないながらも奥深く感じ取れた。そういった観点では非常に面白いと思う。まあ、筆者の深読みに過ぎるきらいも否定はできないのだが。


10.charlotte 特別篇(14話)「強い者たち」(3/30 ※TV未放映。ソフト最終巻に収録)

脚本:麻枝准

絵コンテ:浅井義之

演出:浅井義之、筑紫大介

作画監督関口可奈味、宮下雄次、松和歌子、鈴木理沙

《コメント》

他人の心を無作為テレパシーで伝えてしまう少女と由宇と奈緒の在りし日の光景。

最後のチョイスは「反則技」を承知の上で語りたい。なにせソフト収録の未放映回だからだ。それを話数10選に選んでしまうのはギリギリアウト、ほぼアウトだが、発表されたのが年内である事で目を瞑ってもらって欲しい。さて話の方はといえば、一口に麻枝准の痛切な魂の叫びだろう。いやこの回に限ってはどうしても作品外の状況を鑑みてしまう。ここではその事を一々つまびらかに語るつもりはない(気になる人はぜひ調べて確認していただきたい)が、悲痛な感情が特にクライマックスの台詞の端々に感じ取られてしまうのがなんとも。

P.A.WORKの堀川憲司社長はこの作品を「私小説的」だと評しているが、まさしくその部分がシリーズ中でも最も色濃く出てしまった話数だと筆者は感じる。しかもそれは2016年麻枝准と図らずも非常に強くリンクしてしまっていると感じざるを得ない。おそらく極めて珍しい案件だろう。むろん真意のほどは分からないし、自覚はないのかもしれない。が、この話数で描かれた強い感情に対して、見る者はきちんと受け止めて考えるべき事のように思ってしまう。少なくとも麻枝准は真摯に物語と向き合い、格闘しているのだと言う事が伝わってくるし、自らを削っているのだから。その事を考えるとその力強くも悲痛な叫びを透明感のある画面で演出して見せたのは氏の「純粋」さを損なわないためだろう。賛否の多い作品ではあったが、最後の最後で「これぞ」というエピソードが送り出された事に拍手したい。

なお堀川社長の「私小説的」という評のソースは以下のリンクより。

電撃 - 『Charlotte』最新PV公開! 鳥羽洋典氏と堀川憲司氏にスタッフィングの狙いを直撃


以下は次点作品。

今年は本当に視聴本数が少なかったので、10選と重複する作品からの話数ばかりとなってしまった事はお詫びしたい。

<次点作品>

赤髪の白雪姫 第13話「運命を紡ぐ赤」(1/12)

魔法つかいプリキュア!

第13話「たのしいBBQ!幸せたくさんみ〜つけた!」(5/1)

22話「芽生える新たな伝説!キュアフェリーチェ誕生!」(7/3)

ジョジョの奇妙な冒険ダイアモンドは砕けない

第6話「広瀬康一(エコーズ)」(5/7)

第17話「岸部露伴の冒険」(7/23)

文豪ストレイドックス 第20話「頭は間違うことがあっても」(11/23)

WWW.WORKING!!

第6話「運命サバイバル」(11/5)

第9話「僕らはみんな病んでいる」(11/26)

終末のイゼッタ

第8話「残酷なおとぎばなし Das grausame Marchen」(11/20)

第11話「フィーネ Fine」(12/11)

フリップフラッパーズ

第3話 ピュアXLR(10/20)

第6話 ピュアプレイ(11/10)


2016年の総括》

2016年を端的に言い表せば「激動の年」だ。

今年ほど「歴史の波が渦巻いていく」のを実感したことはなかったように思う。英国国民投票EU離脱賛成、米国大統領選でのトランプ旋風、天皇陛下の「お気持ち」表明、明るい話題、暗い話題、枚挙に暇がないくらい月単位、下手すれば週単位、はたまた一日単位で世界は揺れ動いていた。もはや今年の頭に起こった出来事が何年も前に思えてしまう位に密度の濃い一年だった。それはつまり我々の眼に見える形で、なおかつ急激に「日常の綻び」が露わになっていったように感じる。

日常の綻び。当面、均衡が破られることはないだろうとされていた物がたやすく崩れていくさまを今年一年、個人的な観測の範囲の中でも、様々な場所で目の当たりにしていたように思う。本記事のテーマに沿えば、「2016年クライシス」なんていうのはいい例だろうか。踏み越えてはいけない、あるいは踏み越えるべきではない一線を次々と越えていく。チキンレースもなんのそので地獄の蓋が開き、一直線でまっしぐらになりかねない暗澹たる状況が広がりつつある。もっと広い領域で見てゆけば、「平和」と言う状況がいよいよ揺らいできているのかもしれない。何かの均衡が危うくなったり、すでに破られたりしている。そういった「綻び」があちこちに現れた年といっても過言はないだろう。

一方で今年は音楽と映画の「当たり年」でもあった。本記事に従って、アニメ関係に絞ってみても「君の名は。」「この世界の片隅に」などは現在進行形でヒット街道を順調に進んでいるし、夏には「シン・ゴジラ」、秋口には「聲の形」などなど、ほんの少し拾ってみても、実写アニメ洋邦を問わず、様々な傑作がこの一年で驚くほど出てきた。特に「君の名は。」や「この世界の片隅に」、「シン・ゴジラ」辺りは我々の生きる「日常」とも密接にリンクしており、それぞれがそれぞれの形で「日常」という既存意識に対して問題を投げかけているようにも思う。あって当然、というものが急激に変わったり、崩壊したりする。そういう脅威が目の前に潜んでいる。そういう事実を、創作は「時代性」として帯びていくわけだが、筆者が図らずも選んだ話数10本もそんな「日常」に起こる/起こりうる「綻び」、あるいは作品、物語の「綻び」を許容した作品が多いように感じた。

「綻んでいる」と言うことは同時に、境界線が曖昧になって、ひとつのカオス、混沌になっていると見ることも可能だ。そういった時の流れに蠢く混沌から躍り出てくる「可能性」こそが将来の「希望」なのだろうが、それを僅かにでも摘み出す為には現時点の問題を少しずつ解決していく以外に他ならない。それも超長期的に取り組んでいくしかないのだ。腰を据えて取り組むべき問題はいくらでもあるし、そんなのは筆者に言われなくても、おそらく何かに従事している人ならば理解しているはずだろう。

とまあ、つらつらと語ってしまいましたが。自分が見てきたものを「時代を映す鏡」として見た感じではこんな感じでしょうかね。意味は様々ですがなにかしらの「終焉」、それに準じた「兆し」が目に付いた一年でもあるなと。と、同時に今年は著名人の死去が各分野目立った年でも。あんまりにも多いからここでいちいち挙げる事はしませんが、それらを含めて新陳代謝のように「新しい節目、局面」を迎えつつあるのだと感じます。そういった点では「分水嶺」的な年だったのかもしれません。来年以降どうなっていくかは誰にもわかりませんが、願わくば今後の将来が明るいものであるように祈りたいです。


《最後に》

今年一年を振り返ると、本当に色々あった年だったというのはありますが。

「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」という企画では今年の頭にこれがあったんですよね。

【イベント】「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」を語る会(2016.01.11): 新米小僧の見習日記

集計者である新米小僧さんを中心に企画・開催されたイベントで、大盛況で終わった様子がリンク先からも窺い知ることできます。これがあったのが正月明けの1月。そう、今年の1月だったんですよ。なんだかずいぶん前の事のようにも思いますがたった1年弱前の事です。遠い過去に思えるくらい、多くの出来事があった一年だったのが分かるのではないかと。自分も行く予定だったんですけどねえ。想定外の出来事が立て続けに発生したために行くのを断念せざるを得なかったのが今年一番の心残りです。次回がいつになるか(そもそもあるのかどうか)、分かりませんがもしあるならばその時は足を向けたいなと思います。

さて、今年の話数10選は自分が見たいと思える作品が一年を通じてあまりにも少なかったというのもあって、はたして10本集まるかどうかという心配があったわけですが、何とか形にできて一安心といったところ。今年の前半は夏コミ同人誌への寄稿文を書いていたのに費やしていたので、それで力尽きたというのもないわけではないですが、それはそれとして。一方、今年の映画や音楽が盛況だった分、自分の観測範囲ではTVアニメと漫画がわりと不調というか、新鮮味はあまりなかったという年でもありました。何かが飛びぬけていいというわけでも悪いというわけでもないんですが、なんとなく停滞してたというのが不躾な印象だったりします。その辺りは来年以降に期待でしょうかね。漫画のほうもこち亀やジャンプの長期連載が軒並み連載終了したりなどして、こちらでも急激な変化が起こっていました。紙媒体と電子書籍などの動きもあるでしょうし、音楽に目を向ければいよいよCDが御役御免となって、配信サービスとレコード二極化になっていくのかみたいな分水嶺も。どこもかしこも岐路に立っている感じなのは総括でも語った通り。歴史的にも重要な一年だったのではというのが2016年の雑感ですね。

来年、また話数10選ができるかは「自分にとって面白い作品」が出てくるかどうかにかかっています。筆者としては、出来うる限り続けたいというのは昨年も言ってますが、こればっかりは出てくるものに期待する以外ありませんので。まあなんにせよ、来年も気楽に見ていけたらと思います。最後になりましたが、毎年集計されている新米小僧さんに感謝を。いつもありがとうございます。当ブログも今年の更新がこれで最後になるかと思いますが、また来年も何かしら記事にしていくと思いますのでどうぞ宜しくお願いします。

それでは今年一年もありがとうございました。よいお年を。

2016-12-01

音楽鑑賞履歴(2016年11月)

| 20:45

月一恒例の音楽鑑賞履歴。音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。

20枚。月後半はブログの更新とかして聞く時間を削ってた割には聞けてますね。

ようやく。2014年分の購入CDを聞き終わりました(遅い

Base Ball Bearの「(WHAT IS THE)LOVE&POP?」から2015年購入分です。

まだ一年以上の積みがありますが地道に聞いていければなと。

定期更新記事の今年分はこれが最後です。やりだしてもうそろそろ2年目もおしまいです。

何とか続けられてますね。

まあ、聞いたものの感想をつらつら書いてるだけですので需要は完全に無視してます。

今後ものんびり続く限りやっていきたいと思います。

今年の更新は例年のアレをやっておしまいにしたいと思いますが、さてどうなりますことやら。

では、以下から感想です。

11月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:20枚
聴いた時間:569分

ZoomZoom
98年発表5th。二度目の再結成盤。ドラムにあの名うての敏腕ドラマー、テリー・ボジオを迎えて製作された。音の感触としては1st〜2nd辺りのカラッとしたパワーポップに回帰していて、ビートルズライクな甘酸っぱさのあるメロディをタイトなツインギターとリズムで喧しくコーティングしている
テリー・ボジオも初期サウンドを意識してか、変なオカズは入れずに、ごくごくシンプルに8ビートを叩いているという逆に珍しいプレイをしてるので、実力の高さが良く分かる演奏。流石にもう弾ける若さと瞬発力はないが良メロディとコーラスワークは熟練の域に達していて、紆余曲折あった末の年輪を実感
さまざまな困難があった末に原点に返ってきたような、そんな印象すら受ける。金太郎飴だと言われてもそれがどうだと開き直った感じもあるが、この盤で聴ける演奏は何よりも楽しそうだ。売れ線とかも気にせず、好きな音楽を奏でる男たちの姿が目に浮かんでくる。派手さはないがポップで楽しい良作だ。
聴いた日:11月01日 アーティスト:Knack
What IfWhat Ifbr />78年発表2nd。前作よりさらにテクニカルになった印象を強く感じる。かとなくメトロポリタンなイメージが浮かび上がるのは演奏が全体的にソリッドになっているからか。前作のほのぼのとした牧歌的な雰囲気はあまりない一方で、アンサンブルの複雑さは増して、メロディアスさにも磨きがかかる。
カントリー&ウェスタンに感じられる大らかな雰囲気も残っており、北米プログレ特有のSF的趣と相俟って、ヨーロッパのそれとは一風違ったサウンドが聞けて楽しい。なにより音の肌触りが適度にポップでもあり、シリアスになり過ぎない気楽さは全体の抜けを良くしているように思う。聴き応え満点の良盤<
聴いた日:11月02日 アーティスト:Dixie Dregs
Night of Living DregsNight of Living Dregs
79年発表3rd。Dixie Dregs名義では最終作。この後にThe Dregsと名前を短縮することとなる。同年度グラミー賞ロックインストゥルメンタルパフォーマンス部門受賞している。スタジオ録音と78年7月のモントルージャズフェスのライヴを収録している。なお収録曲は全て新曲。
前半はスタジオ録音、後半はライヴ音源となっており、スタジオ録音はかなりアメリカンロックに寄っていて、ロック的なダイナミズムを感じる一方、パット・メセニーのようなコンテンポラリーさも兼ね備えている。後半のライヴ音源は彼らの真骨頂であるカントリー色が色濃く出た曲がずらりと並ぶ。
スタジオ録音の畏まった感じを払拭するようにホットで爽やかな土臭さ、あるいは田舎臭さ全開の軽快でポップかつテクニカルな演奏が迸っている。全体的にいえば、1stに近いノリだが過去作以上にキャッチーさが印象に残る作品だろうと思う。スタジオもライヴもどちらも楽しめる一粒で二度美味しい良盤
聴いた日:11月03日 アーティスト:Dixie Dregs
ハピネスチャージプリキュア!ボーカルアルバム2ハピネスチャージプリキュア!ボーカルアルバム2
14年発売同名アニメのボーカルアルバム第2弾。キャラクターソング集だけあって、各曲キャラのイメージに合わせたものになっている。7のように劇中のフィニッシュ技で使用する曲もあり、歌唱力のあるキャストが揃っている印象があり、そういう点ではレベルが高いのではないと感じさせる一枚。
曲調もバラエティが豊かで、全体的に90年代的なJ-POPの雰囲気が強いだろうか。メタル調もあれば、アイドルソングな曲もあったり、渋谷系を感じさせるものも。あと現時点で歌手中島愛の最後の曲が収録されているアルバムとしても記憶しておきたい。ポップで聞きやすさがある一枚です。
聴いた日:11月04日 アーティスト:TVサントラ
恋玉コレステロール恋玉コレステロール
14年発表ミニアルバムアニメサムライフラメンコ」の劇中アイドルユニットが発表したという体の劇中歌&ED楽曲集。前期EDが単独でシングルリリースされているが、こちらにもばっちり収録されているので、手っ取り早く手に入れたい場合はこちらがお勧め。収録曲はどれも粒揃いの出来で唸らせる
70年代的なディスコティークなメロディや90年代っぽいテクノやギターサウンドも落とし込んで、現在のクラブミュージックっぽさを醸し出すカジュアルな趣にとても高いポップ性を感じる。30分にも満たない収録内容だが中身がぎゅっと詰まっている感じがするのは単純に完成度の高さを物語っている。
ハイライトというより特筆すべきはボートラの6。4のライヴバージョンという形だが、本編内容と連動して、ヤケクソ気味の泣き声演技での歌唱はなかなかに壮絶。苦労が偲ばれるが、結果的に歌った声優さんの気迫の勝利。この一曲だけでも聴く価値はあるが内容は実に充実した作品だと思う。
聴いた日:11月04日 アーティスト:ミネラル★ミラクル★ミューズ
ドキドキ!プリキュアボーカルアルバム2ドキドキ!プリキュアボーカルアルバム2
13年発売同名アニメ作品のボーカルアルバム第二弾。とにかくサウンドの華やかさとパワフルさで押すキャラクターソング集。歌唱もキャラらしく歌っていて、イメージに沿った印象。90年代後期〜00年代的な密度のあるメロディが全体を支配していて、スローな曲でもなにか煌びやかさがあるのが特徴か
意外性もあるアルバムで5のダンサブルサに驚いたり、8のキャラクターの饒舌さに驚いたり、3での渕上舞の歌唱力に舌を巻いたりで、色々弾けてた内容になっているのが面白い一枚。密度が高い分、ど派手な装飾さが目立つが、それに負けないくらいキャスト陣の元気の良さを感じる、らしさのある作品だ。
聴いた日:11月05日 アーティスト:TVサントラ
SECOND THOUGHTS/SECOND MOVE(紙)SECOND THOUGHTS/SECOND MOVE(紙)
・78年発表2nd。森園勝敏在籍期最後のスタジオ作。当時のフュージョンの流行でもあったラテンブラジリアン音楽を取り入れつつ、メロウからサヴタージな印象を伴うサウンドが強くなっている。その一方で長尺曲の7を配するなどといった技巧派ジャズロックの表情も見え隠れしており硬軟入り混じる
前作のスピーディなテクニカルさはあまりなく、アンサンブルと曲構成などで冴えを見せているのでよりサウンドの幅は広がっている一方で、バンドのメロウな部分とソリッドな部分の両立はあまり上手く行っていない。というより水と油のように分離しているような印象を感じる。
図らずもバンドの分岐点のような作品だ。ポップでメロウな部分とテクニカルでソリッドな部分を天秤にかけた結果、フュージョンとして深化することを次作で選び取ることになる。大衆性と音楽性、どちらかをとるか難しい選択を迫られた作品。もちろん内容は水準以上のものだろう。
聴いた日:11月06日 アーティスト:PRISM
十七歳十七歳
07年発表2nd。タイトルどおり17歳の青春をコンセプトに仕立てた楽曲が目立つ。希望や苦悩や感情の鬱屈、歓喜などなど、思春期に起こりうるだろう出来事をひっくるめて「青春」としてパッケージングして、現代的なポップなフレーバーを塗したビート感の強いギターロックとして繰り出すのが力強い
デビューから一貫して、ノーシンセサイザーに拘る不器用さも、ポップにリズム刻むギターロックの可能性を突き詰める愚直さも相俟って、若さ弾ける青春に呼応する。ポストパンク直系の直線的な演奏がポップに響く面白さもあって、真っ白なキャンバスにその蒼さを叩きつけるような鮮烈な一枚ではないかと
聴いた日:11月07日 アーティスト:Base Ball Bear
PHASE 2PHASE 2
14年発表3rd。わずか40分ほどの収録内容だが詰め込まれている密度は非常に濃い。若さに任せて、飛ぶ鳥を落とす勢いで目まぐるしく変わるメロディと曲展開は、バンドの勢いをそのままに貪欲かつあらゆるものを吸収しようとしている姿勢が成長としてきちんと形になっているからように思える
基本的にラウド&エレクトロスクリーモだが、からっとしたアメリカンテイストやトロピカルなパーカッションを潜ませたり、ピアノを効果的に使ったり、ラウドな演奏の中にも変化をつけている一方、メンバーの成長が著しく、演奏は華々しくもかなり骨太にバンドのグルーヴ感を生み出している。
と同時に、非常に真っ直ぐに自分たちのやりたい音楽に向き合っている印象がある。そんな折れない軸の太さに揺るがない信念のような物を感じるのだがそれがどこまでいけるのか、まだまだ興味が尽きない。日本では華もあって筋肉質なサウンドで勝負するバンドは珍しいだけに期待は高まる一枚だろう。
聴いた日:11月08日 アーティスト:and Loathing in Las Vegas Fear
All That We Have NowAll That We Have Now
・12年発表2nd。音がエレクトロ方面に傾いた作品。というより、エレクトロの方法論でラウドロックを繰り広げているといっていいだろう。演奏はよりソリッドでへヴィになる一方で、レイヴ感というか享楽性がより高まっており、まるで花火のようにはじけ散るパトスが迸っている。
その煌く情熱は間違いなくメンバーの若さによるものであり、カオティックに目まぐるしく変化するメロディの奔流はとてつもなく高濃度なものだが、わずか36分のランニングタイムの中には倍以上の体感時間が詰め込まれている。しがみついていないと突き放されてしまうような勢いを感じる。
バンドの成長と音楽性の広がりも感じなくはないが、幾分、ロックよりエレクトロに振れているせいか、大衆的な親しみやすさからは外れた向きも。が、無我夢中に踊り狂うにはまたとない格好の一枚だ。次作ではよりロック的なダイナミズムを取り入れるが、この盤でもそのキレは十分感じられる、好盤。
聴いた日:11月10日 アーティスト:and Loathing in Las Vegas Fear
インナー・コンフリクツ<FUSION 1000>インナー・コンフリクツ<FUSION 1000>
78年録音盤。75年作の「A Funky Thide of Sings」をよりシャープにしたような作品で、管楽器パーカッションをふんだんに取り入れた大所帯構成で演奏されている。サウンドの派手さでは「A Funky〜」に及ばないが、その分、かなりリズムに特化した作りになっている。
シンセシーケンサー音にひたすら、コブハムのドラムソロを重ねていくという、ある種の人力トランス的な実験曲(10分超の大曲)で開幕し、その後はチカーノ的なラテンパーカッションが細かく入り乱れる西海岸的な音が非常に目立つ構成。ブレッカーブラザースやジョンスコが参戦しているが印象は薄い
この盤の最大の貢献者はピート・エスコヴェドと後にプリンスのプロデュースでデビューするシーラ・Eの親子が織り成すパーカッションだろう。コブハムの手数の多いドラミングと細やかなリズムが絡み合って、かなり躍動的かつ魅力的なリズムが聞ける。それを装飾するのが他の楽器という住み分け
「内的葛藤」と題される作品だけあって、他作品に比べると内省的な趣すら感じられる地味さの否めない作品だが、一種のリズムミュージックとして聞くと十全過ぎる魅力を放っている一枚に思える。人力トランスだと考えるとジャズフュージョンではないが、見方を変えれば、かなり面白い作品だ。
聴いた日:11月10日 アーティスト:ビリー・コブハム
Level 42Level 42
81年発表1st。UK出身のジャズ・ファンク/フュージョンバンドの初作。フロントマン、マーク・キングが繰り出すテクニカルなスラップベースとライトメロウなメロディに乗っかったSFフレーバーのある楽曲が面白い。バンド名がSF小説の「銀河ヒッチハイクガイド」が由来な点もその雰囲気が強い
ライトメロウなサウンドとテクニカル指向インストが二本刀となっていて、バンドの魅力であり、サウンドの顔でもあるスラップベースが所狭しと全面に押し出されているのは、ベース好きには美味しい作品かと。プログレ的な雰囲気もわずかながらに感じられる一方でそのどっち付かなさは弱点でもある。
後にヒット街道を進むことになるが、この時点ではバンドの両極な武器を両立させようとしており、そのせめぎ合いが興味深い、どっちも魅力的な分、嬉しい悩みというべきかも知れないが、バンドの方向性が確定する以前のカオスな感覚が心地いい作品だ。SFチックなインストが結構楽しい。
聴いた日:11月11日 アーティスト:Level 42
Early TapesEarly Tapes
82年発表2nd。なのだが、録音自体は1st発表以前であり、原盤を当時の所属であるポリドールが買い取って、リリースされたという不思議なリリース経緯を辿っている作品。音自体は1stで感じたライトメロウ色が希薄な分だけ、かなり硬質な雰囲気が漂っているサウンド。実力の高さが窺える出来。
ライトメロウな色合いがないだけあって、歌唱より演奏の方に比重が偏っており、テクニカルなジャズロック/フュージョンとして高水準な演奏が聴ける。アンサンブルも堂に入ったもので、その上でマーク・キングのベースがスラップに限らず、暴れ回っている印象。音はかなりスタイリッシュに決めている。
こうやって聞くと、1stのライトメロウ色は後天的な要素であり、インスト曲がバンドの肝であるということが確認できる。売り上げを出す事を考えれば、必然的な選択だったのだろう。とはいえ、ここで聞ける演奏も十分聞き応えのある楽曲揃い。ジャズファンクスラップベース好きには狙い撃ちな良盤だ
聴いた日:11月12日 アーティスト:Level 42
フェイセスフェイセス
80年発表10th。記念すべき10作目は「顔」をテーマに置いたダブルアルバムの大作。前作に引き続きAOR勢がちらほら参加しており、延長線上的な趣も感じられる。が、この大ボリュームにも拘らず、華やかさにはやや欠ける作りになっており、前作の雰囲気を期待すると肩透かし感は否めない。
そうは言ってもグループは依然絶頂期にあり、前作の派手さは流石にないものの、サウンドはよりタイトに引き締まった印象を受ける。80年代という来るべき新時代に、改めてグループの方向性を見つめ直した作品ともいえそう。華やかさをそこそこに、スポーティに体を動かしている印象が強い。
そういった骨太さや筋肉質な感じがディスコフィーバーを通過した先の音だったのと思えば、なかなか興味深い。グループの地力を感じられる作品だろう。前後の二作が大ヒットしただけあって、陰に隠れがちだが同等の水準にあり、ボリュームは十分すぎるほど。隠れ良盤といった所か。いぶし銀の一作。
聴いた日:11月13日 アーティスト:アース・ウィンド&ファイアー
Engines of CreationEngines of Creation
00年発表8th。当時流行してたドラムンベースエレクトロを積極的に取り入れた作品。元々、1st、2ndがサイバーなサウンドだった事を考えれば、そのアップデート版か。デビュー当時から機器が進化している事もあって、エレクトロサウンドの表情は過去よりも豊かになっている。
そこへハードなギターが絡むと途端にサトリアーニの音楽に様変わりするのはギターサウンドも含め、個性があるからだと思う。奏でるジャンルは変われど、それに演奏者が引きずられないのは確固とした自信の表れでもあるのだろう。実際、アルバムから聞こえてくる音はどうしようもなくサトリアーニの音だ
気づけば、エレクトロらしいテクスチャーをも取り込み、従来のサウンドに摩り替わっていく感じはむべなるかなといった風。そこが美点でもあり欠点でもあるか。どうしてもギターの音にエレクトロが力負けしてしまっている箇所が散見されて、絡ませ度合いについて面白くもあるが完成形かといわれると疑問
もちろんサイバーなサウンドに乗っかるギターはいつになくテクニカルな趣を全開にしているように感じ、悪くはないのだが。面白い部分と練り込みが浅い部分の落差が激しい作品ではあるか。テクノなどに慣れていると楽しめるがもはやHR/HMの世界ではないので評価の分かれる一枚。あと一押し足りない
聴いた日:11月14日 アーティスト:Joe Satriani
Crystal PlanetCrystal Planet
98年発表7th。ここまでのキャリアの集大成的な作品、だと思う。拡張してきた音楽の幅をキュッと集約させ、エネルギッシュにドライヴするギターインストとして纏め上げているのは職人芸とでもいうべき技を見るよう。コンスタントに盤を重ねてきた経験の厚みがサウンドの奥行きを深くしている。
元々テクニカルなプレイに定評があったわけだが、積極的にブルースなどフィジカルな感性が必要となる音楽要素を取り入れた事で、テクニック一辺倒に陥らずに音の表情が非常に豊かになった事がこの盤の豊穣な実りになっている気がする。素地は割りとシンプルなロックなのだけど、作り込みが精緻なのだ。
疾走感溢れるものやファンキーな横ユレ、落ち着いた野叙情的なフレーズ、サイバーな趣などなど、バラエティが豊かなのも特徴だが、それらのどれもが綿密に掘り込まれていると過言でもない。サウンドの緩急、テクニックとフィーリングがバランス良く美しく炸裂する、キャリアの成熟が滲み出た名盤だ
聴いた日:11月14日 アーティスト:Joe Satriani
It’s Album TimeIt's Album Time
14年発表1st。ノルウェー出身DJの初作。アープやローランドヴィンテージシンセをふんだんに使った、懐かしくも新鮮なスペーシーかつディスコティックなエレクトロサウンドはかのミュンヘンディスコに肉薄したものだ。70年代末〜80年代初頭の硬質かつスタイリッシュなシンセの音が蘇える。
シーケンサーのピコピコ音にメタリック電子音がぶりぶり鳴り響く。原典と比べると本作はそこに生音を絡ませている点に着目したい。サンプリングも含まれているが人の叩くリズムと融合させることでより近未来的なサウンドに肉体性が帯びており、躍動感が増した事がこの盤の鋭さだろう。
そういったレトロな質感の一方で、奏でられる音楽にはサンバなどのブラジリアンミュージックのテクスチャーも絡めており、ディスコティックな音に限らず、さまざまなジャンルを複合的にミックスしているのも非常に現代的だ。それらが重なり合う事で新鮮さが出た音だろう。満を持して送り出された傑作だ
聴いた日:11月16日 アーティスト:Todd Terje
(WHAT IS THE)LOVE&POP?(WHAT IS THE)LOVE&POP?
09年発表3rd。前作と比べると勢いが落ち着いた分、青春の陰影を濃くした印象を受ける作品。サウンドや構成が練られた分、曲の歌詞も複雑な感情が描かれているように思う。苦味というか屈折というか淀みというか。年を経ればなんてことのない事に拘泥してた、ような思春期の裏側を奏でている感じ。
影響先のポストパンクの焦れた雰囲気を青春の光と影に当てることで、ある一時期の、一瞬に発せられる感情の機微を陽炎のように映し出しす。波打つ心はとても透明だけど乱反射している。そういう青春の情景を切り取った、成長を窺わせる一枚だろうと思う。反面、曲毎のカロリーが重ためなのが玉に瑕か。
聴いた日:11月27日 アーティスト:Base Ball Bear
ソルファソルファ
・04年発売2nd。前作の路線を引き続き踏襲しながらも、より先鋭化した作品。シングル曲のキャッチーさもさることながら、アルバム全体を色づけているのは醒めた音の方か。華を配置する一方で地金を固めてきた印象を強く感じる。瑞々しい鮮烈さというよりは青臭い自問自答や内省を押し出している。
内省的な焦燥感や感情が押し出されているので、ロック的な衝動には自覚的に醒めている風にも受け取れる。ヒット曲の完成度は非常に高いが彼らの肝はそれ以外にあるような感覚。アルバムの構成もそういった水と油のような二極を抱えた構成で、11と12はどちらもアルバムのハイライト的な曲だ。
聴いた日:11月29日 アーティスト:ASIAN KUNG-FU GENERATION
犬は吠えるがキャラバンは進む犬は吠えるがキャラバンは進む
93年発表1st。ソロ初作。いわゆる70sソウル、ニューソウルフィリーソウル辺りに多大な影響を受けた音で陽の光や土臭さが香る音でフリッパーズのような洒脱さや都会的な雰囲気は不思議といっていいほど感じられない。そして非常に「実直」という印象を受けるアルバム。
こういった雰囲気は小坂忠の名盤「ほうろう」に通じるものがある。向こうが港町っぽさがある一方で、本作は平野の街中っぽい。都会から隔絶したような達観した趣は、後のキャリアを考えるとこの当初から滲み出ていたものなのだと実感する。そういう点では歌詞もその裏側にシリアスさを含んでいるか。
歌詞も音も影響先のニューソウル的なテーマを打ち出しながら日本らしく禅問答のような複雑さも抱えて、一筋縄では行かない作りだ。歌唱も決して抜群に上手いわけではなく味のあるもので、その辺りも極めてホームメイドな印象を与える一因だろう。初作に全てが詰まっているというのに違いない一枚。
聴いた日:11月30日 アーティスト:小沢健二

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