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In Jazz

2112-09-03 初めに。

ここは私ことテリー・ライスが主に漫画や音楽やアニメや小説、映画などの感想を好きに語るブログです。

あくまで個人の感想である事にご留意よろしくお願いします。

サイト名のIn Jazzとは音楽ジャンルのジャズではなく、

俗語の意として「熱狂」とか「たわごと」の意です。

好きなことを語れたらいいなあという思いを込めて。

更新はかなりの不定期になってますが気が向いたら、書く方向になると思います。

それとtwitterでもつぶやいてます。なんだかこっちがメインっぽくなってますが。

テリー・ライス(@terry_rice88)さん | Twitter


※2012/8/16追記。

amazonに自分の好きなものを集めたインストアページを作りました。

ちょくちょく追加していきますので気軽にご覧いただければと思います。

In Jazz Serect shop - Books

2050-05-16 アニメ感想置き場。

アニメ感想置き場

| 22:43

※6/23 最下段のカテゴリに劇場版パトレイバー1&2と新海誠作品の感想リンクを追加。

この記事はアニメの感想リンク先まとめページです

随時更新いたしますのでよろしくお願いします。

続きを読むをクリックで。

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2016-08-03

【BOOTLEGS】Prank! Vol.3 Other Side-A 響かせるは、心〜「学園戦記ムリョウ」8話などに見る〜

| 22:30

さて困った。

唐突に水島精二作品を語りたいのだが、実はほとんど作品を見ていないのだ。全編見たので思いつくのが「大江戸ロケット」。それもストーリーに心惹かれたのではなくどちらかといえばキャラクターの魅力に惹かれたので別段、水島精二監督作だとか會川昇氏が脚本だというスタッフ周りには正直な所、あまり注目していなかった。他には「楽園追放」や「うーさーのその日暮し 夢幻編」を見ているが、どちらもそこまで印象に強い作品のようには感じられなかった。

自分にとっての水島精二という監督のイメージは「コンスタントに作品を量産できる職業監督」に他ならない。特色がないとはいわないが、際立った作風だったり、多用する演出技法だったりが非常に「目立ちにくい」監督のように思える。そうは言っても、「シャーマンキング」「鋼の錬金術師」「機動戦士ガンダム00」など世間評価される代表作を持っており、その評価が高いのもまた事実だ。

が、残念ながら筆者はそういった水島精二監督の代表作は悉く見ておらず、見た作品も片手で済んでしまう位にしか本数を見ていないので、語ろうにも片手落ちになってしまうだろうし、監督のフィルモグラフィー全体に言えるのかどうかという点でも怪しい所ではある。そもそも先にも言ったとおり、個性や作風が「目立ちにくい」監督であるから何を語ったらいいのか、という所から考えなければならず、自分に語れる余地が果たしてあるのだろうか。

と、そこまで言い切ってしまうと身も蓋もないので、なにか語れそうな話題を探すことにしたい。水島精二監督が自分の所持している作品に参加していないかと探すと「学園戦記ムリョウ」が出てきた。この際だから、引っ張り出して見てみることにした。すると「ムリョウ」では8話の絵コンテを担当している。シリーズ構成から見ていくと、物語に大きな動きや目立った箇所がないエピソード。もちろん複線やそれまでの展開を汲んだ心理描写は見え隠れするがいわゆるひとつの「繋ぎ」の回だ。かといって決して「手抜き」をしてるわけではなく、今後の展開と「ムリョウ」という作品らしい学校生活やその生活感を丁寧に描いている。

「丁寧」という言葉が出てきたように、水島精二監督には「そつのなさ」を少なからず感じるのだ。「ムリョウ」8話のように作品内で自分の個性を炸裂させるのではなく、作品の「持ち味」に沿って上手く味を取り出すのに長けているのだろう。こういった派手さのない、かつ丹念な仕事振りは非常に「職人」らしいし、重宝される人材のように思える。さながら、和食の料理人のように細部まで行き届いた仕事だ。

しかしこの記事を書くために見ていると実はこの「ムリョウ」8話、ある点においてはシリーズ中でもかなり異色だというに気付かされる。しかも、かなりきっちりと「個性」を主張しているようにも見えるのだ。一方でそれは作画や演出といった、一見して分かるようなものでもない、というのが水島精二監督「らしい」と思わせる部分でもある。なにせ「目」に訴えるのではなく「耳」へ訴えかけているのだから。

つまり「音」である。音について言えば、「ムリョウ」8話、特にAパート、はかなり際立っている。簡単に説明してしまえば、「音による比喩表現」だ。比喩表現というとたとえば「〜のような」という風にある事や物に対して、別の事柄に当て嵌めて形容する事、と言えるだろう。水島精二監督はその表現を音、音響効果で実行しているのだ。「音の比喩」によって感情を表す。音と動作が伴う「映像」だからこその表現だろう。

また「ムリョウ」8話ではヒロイン、守山那由多の感情の起伏に現実では有り得ない音が重なる。怒りが頂点に達したときには花火が上がって炸裂するまでの音、脇目を振らずに、問い質そうと猪突猛進してくる様にほら貝が鳴り響く合戦場で馬が駆け巡ってくる音が「比喩」として、その時の感情を表現している。こういった「音の表現」はシリーズ全編を通してみても、あまり類を見ない表現なのだ。

もちろん効果音やコミカルな表現の装飾として音付けされるというのはあるが、ここまで密接に感情とリンクする「音」を使ってみせた、というのは絵コンテを担当した水島精二監督の手腕によるものなのだろう(演出は別の人間なので検証は必要だろうが)。心(感情)を「音」にして響かせる。これが「見えにくい」特徴のひとつなのだろう。漫画における「擬音(オノマトペ)」を「映像」に組み立て直すと、ここで説明している表現になりそうだ。

さらに「ムリョウ」8話Aパートでは那由多ともう一人のヒロイン、峯尾晴美が生徒会室で二人きりの会話をする際のピアノの旋律がその場のアンニュイな雰囲気を感情を盛り立てているのにも気付く。意識しているだろう相手の事や彼女たちを取り巻く周囲の問題に対する先行きの不安や恐れ、わだかまりを引き出すのに一役買っている。このような「感情の増幅装置」としての「音」を意識しているようにも見て取れる。

こちらはかなり映像手法としてオーソドックスなものだろう。場面や感情を引き立てる時に使われる、いわゆる「劇伴音楽」だ。「ムリョウ」8話だけを見ていると、水島精二という演出家は場面、というよりは登場人物の感情や心を音によってより大きく響かせている。画面のドラマ性よりも物語の中に在る人物たちの情緒をつまびらかにする事に注力しているのだ。

そういった観点で今度は「大江戸ロケット」を見ていくと、興味深い。先に説明した「音の比喩」はそう多くないにせよ、「感情の増幅装置」としての「劇伴」を意図的に使っているように見えた。というのも「主題曲(テーマ)」がいくつも用意されているからだ。たとえば主人公の玉屋清吉を始めとした風来長屋の面々が協力し合うところにはビッグバンドジャズアウトロー気質の影の主役、銀次郎の身に纏うテーマは哀愁のラテンだったりと、「劇伴の役割」がかなり明確に決まっている。

この辺りの「劇伴」の「音響素材」感は「大江戸ロケットアニメ版自体に6〜70年代のTV時代劇や特撮アニメなどの影響が大きいように思える。オリジナルの舞台版を見ていないので詳しい言及は避けたいと思うが、アニメ版においては山下毅雄大野雄二の音楽などに代表されるような、「主題曲」とそのヴァリエーションを繰り返し使い回すことで場面の意味づけや感情表現の条件反射化を意識して行っている。それはTVドラマや映画などや、もちろんアニメでも使われる常套手段でもある。

そんな中で水島精二監督はより人物の感情や心を「音に響かせる」のだ。映像をドラマチックにするのではなく、キャストの「演技」と合わせ、まるでそれらをアンサンブルとソリストに見立てて、「登場人物」を際立たせる。そこが面白いところではないのだろうか。であるから、この水島精二監督の手腕はより作品が「骨太な物語」であればあるこそ、その味わいは生きてくる。

実際、「ムリョウ」8話も「登場人物」を際立たせるという視点では、那由多と晴美、那由多と始、晴美と京一、などの関係性をよりストーリーの中において浮き上がらせている事が主眼だったように感じられるので適材適所だったのだと思う。なるほど水島精二監督の代表作も音で「人物を際立たせる事」によって、物語の奥行きを深めているように思うが、見ていない筆者がそこまで言ってしまうのは流石に憚られるだろう。ここでは検証の価値があるのではないだろうか?という所で留めておきたい。

この水島精二監督の「音の表現」の影には監督作ではほぼ必ずといっていいほど参加している、音響監督三間雅文さんの貢献もかなり大きいだろう。「ムリョウ」も音響監督は三間さんだ。音を操る(?)水島精二監督にとっては切っても切れない人材であることは間違いない。もっとも「ムリョウ」と「大江戸ロケット」はスタッフの被りが多数あり、製作会社も同じという辺りも確認しておこう。

余談ではあるが「学園戦記ムリョウ」と「大江戸ロケット」は物語や音楽周りに意外と共通項がある。メインのキャラクターデザインがどちらも吉松孝博さんであることもそうだが、物語の骨子が「井の中の蛙」の物語であるという点(「ムリョウ」は21世紀後半の地球が銀河連邦へ仲間入り出来るかどうかの物語、「大江戸ロケット」はアヘン戦争などに揺れ、鎖国体制に無理が生じだした天保年間の江戸が舞台)、音楽についていえば「大江戸ロケット」の方が「学園戦記ムリョウ」に参加した大野雄二を意識したようなジャズメインの作品だということも言える。その辺りを製作する際に水島精二監督が意識したかどうかは定かではないが、「大江戸ロケット」のモブキャラにはムリョウの監督、佐藤竜雄さんや水島監督や吉松さんをモデルにしたキャラも出てくるので、そういったことは織り込んでいるのかもしれない。

またキャラクター面、あるいはストーリー面においては記憶にも新しい「コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜」との共通性も見出せるだろう。「大江戸ロケット」と同じ水島精二×會川昇のコンビ作品、キャラクターデザインに複数の漫画家イラストレーターを使用しているという点からもさまざまな類似を探し出せることが出来る、と思う。舞台の戯作を翻案した作品と會川昇原案となったオリジナル作品という点からも比較、さらに飛躍して會川昇原作で「コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜」と同じくボンズ製作の「天保異聞 妖奇士」とも絡めて語ることは出来るはずだ。筆者としてはそれらを語るには時間と労力が惜しくもあるので、論を構築する材料を提示するに留めておきたい。何かきっかけがあって、語ることもあるかもしれないが今のところその予定は考えていないと言うことは断っておく。

ここまで水島精二監督の手がけた仕事に見る「音の表現」に作風を見出した事を手短に語ってきたが、先ほども言ったようにこれが監督のフィルモグラフィー全体にいえることなのかは、そこまで熱心に見ていない筆者には見当がつかない。あとはもっと作品を読み込んでいるファンの方々に託したいと思う。今回の記事はそういった「種まき」みたいなものとして記しておこうと思ったのがきっかけでもある。水島精二作品を語る際のきっかけになれたらと思いつつ、筆を置きたい。


大江戸ロケット vol.1 [DVD]

大江戸ロケット vol.1 [DVD]



はい。というわけで、今回はこちらの告知記事でした↓


自分は「Side-B 水島努評論集」へ寄稿しております。「Side-A 水島精二評論集」ではないのでご注意を。寄稿していない方でエッセイを書いてみたかったので、こういった変化球な告知を考えてみたのですがいかがだったしょうか?

肝心の寄稿の方は38000字超という長い文章を書いてしまいました。相当なボリューム数だったようで(当たり前だ)、自分の文章だけ文字のフォントサイズが小さめとなっておりますので、あらかじめご了承ください。内容についてはリンク先をご確認を。文面は今回の記事みたいな感じで書いております。片手間には読めないと思いますが、お手に取った際、あるいは購入された際に目を通していただければ、これ幸いです。

2016-08-01

音楽鑑賞履歴(2016年8月)

| 13:28

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。

17枚。いろいろやってたのでこれだけ聞けてれば上出来かなと。

結構ポップなものを聞いたなあという印象。

まあ、夏だからですかね。

まだ一昨年分の新規購入分を聞いてるわけですが。

地道に消化していって数は減りつつあります。先は長いですが。

急いでるわけでもないのでマイペースにいきたいと思います。

では以下から、感想です。

7月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:17枚
聴いた時間:366分

タイトル未定タイトル未定
・11年発売企画盤。アニメ輪るピングドラム」の劇中歌集にして、石橋凌率いるロックバンドARBのカバー曲集。劇中では実現しなかったアイドルトリプルH」が歌うという心憎い演出。楽曲の方は骨太なロックバンドの歌がアイドルソングっぽくアレンジされているのが最大の聞き所だ。
原曲がメッセージ性の強い歌なので特に言葉が耳に残るわけだが、そのテイストを保ちながら女の子が歌う煌びやかさがアレンジにも加味されていて、独特の輝きを放っているように思う。編曲を担当した橋本由香利の手腕が光っているが、原曲の良さも引き出してて、心地いい裏切りを感じられる好盤かと。
聴いた日:07月01日 アーティスト:トリプルH
MOTHER3+MOTHER3+
・06年発表企画盤。糸井重里原作のゲームシリーズ「MOTHER」の完結作、「MOTHER3」のアレンジ楽曲集。劇中BGMを楽器演奏でアレンジしたミニアルバムで、大貫妙子の歌うテーマソングも収録。劇中バンド、D.C.M.Cの楽曲もばっちりと入っていて、演奏もカッコよく決まっている。
と、同時に全体を通して聞くとこのアルバムそのものが感傷とノスタルジーに覆われていることに気づく。「なにか」の終わりに伴って、流れてくる楽しげな演奏。それが祭りの終わりようにも響いてきて、寂しさが広がる。そこに「思い出のメロディー」も流れてきて、聞く者の涙を誘うのだ。
「MOTHER」シリーズというゲームが音楽と深く結びついているのはファンならば誰もが知る点だろうが、この盤はそのファンに向けられた鎮魂歌のようにも聞こえる。事実、アルバム構成が相当に秀逸。短いながらも有終の美を飾るには見事な幕引きだと頷ける、コンセプチュアルな一枚だろう。
聴いた日:07月01日 アーティスト:ゲーム・ミュージック,大貫妙子
FosburyFosbury
・05年発表3rd。前作、前々作と外気の溌剌とした雰囲気が特徴的だったが、室内的な趣が初めてフィーチャーされ、距離感が一気に密になった感がある一枚。内省的というには少し異なるがナイトミュージック的な繊細に重ねられたシルキーなメロディが耳に残る。エレクトロ寄りの音がそれを増幅させる
フレンチポップスらしい儚さを特徴に持つバンドなので、こういったメランコリーな肌触りを一滴落とした音になると絶妙な寂しさが広がって、味わい深い。同時にソウルのスウィート感とエレクトロのマットな感じが空間の狭さを感じさせない、感情の深さを出しているようにも。音の奥行きを感じさせる佳作
聴いた日:07月02日 アーティスト:Tahiti 80
アクティヴィティー・センターアクティヴィティー・センター
ザ・ジャム辺りのモッズな感覚をもう少し甘めなポップに仕立てた向きのあるサウンドでソウルなどの影響のあるグッドメロディーが喧しくなりすぎず絶妙の塩梅で聞けるシンプルイズベストな好盤。派手さはないが陽気な青空の下で聞きたい。明治神宮が歌詞に出てくる6が日本人としてはちょっと嬉しい感じ
・08年発表4th。制作期間わずか三ヶ月のストレート・アヘッドなR&Rサウンドの一枚。演奏のキレと音抜けの良さではピカイチな印象を持つ。ソフトでメロウな趣のある1stや2ndと比べても、ソリッドなロック色を強く感じる。ギターもラウドな感触が前面に出ていて、ポップな中にも新機軸が。
聴いた日:07月03日 アーティスト:タヒチ80
シングルス・クラブシングルス・クラブ
EP収録曲で人気の高いだろう3や8が収録されているのが心憎い。16の新曲はシンセのクリアな音が印象的なエレクトロポップ。どれを聞いてもポップなメロディが目白押し。全体を通してみるとソフトロック的な軽やかさとエレクトロソウルのしなやかなリズムがやはり特徴的でポップマニアな趣がある
・10年発表ベスト盤。4thを発表した段階で「バンドの第一期終了」宣言をした彼らの10年間を総括したベスト。1st〜4thまでのシングル曲にEP収録曲とコンピ盤収録曲、新曲がコンパイルされている。彼らの全体像を手っ取り早く把握できる入門編として楽しめる構成。
聴いた日:07月03日 アーティスト:Tahiti 80
ザ・フィーリング(期間限定特別価格)ザ・フィーリング(期間限定特別価格)
Keyピアノ)が主体でクイーンばりの重厚なコーラスワークが重なるだけで勝負ありといったパワーポップなのが嬉しい。英国特有の斜に構えた感じがないのも王道感を強めているが、垢抜けないスマートな音の分厚さが懐かしくもあり新鮮さもある。70年代辺りの英国ポップスファンにオススメです。
・06年発表1st。英国サセックス出身のバンド。ELO10CCといったようなサウンド面で突出した所はないが、ソングライティングの良さとバンドアンサンブルで勝負するグループ00年代版。安定感のある定食屋みたいな、ずっしりとした王道英国ポップスが心地よく響き渡る、安心の一枚。
聴いた日:07月04日 アーティスト:ザ・フィーリング
Chemical ChordsChemical Chords
08年発表11th。過去3作(01年以降)のサウンド傾向だった60sオマージュと現代的テクスチャーを織り交ぜた集大成的な作品。ドリーミーかつサイケ、時に日本のグループサウンズのようなファズサウンドに逆回転といったいかにもな質感から段々と00年代的なローファイサウンドに裏返っていく
メビウスの輪のように歴史が繋がって捩れていく感覚は彼ら独特のものであり、聞いていて安心感はある。かつての尖った感覚はない分、ポップミュージック的な聞きやすさは強まった印象。とはいえあまりメジャー感がないのが彼ららしいといえばそうなのだが。メジャーなニッチポップという趣の作品かと。
聴いた日:07月06日 アーティスト:Stereolab
The Essential: Perrey & KingsleyThe Essential: Perrey & Kingsley
88年発売編集盤。60年代に活躍した電子音楽の先駆者、ジャン・リュック・ペリーとガージョン・キングスレイのユニットのベスト盤。ディズニーランドのエレクトリカル・パレードのテーマで有名な「バロック・ホウダウン」のオリジナルが収録されている。初期のシンセサイザー音楽が楽しめる作品。
60年代のドラマや映画音楽クラシックのカバーや当時流行したヒット曲、ボサ・ノヴァのカバーなどが収録されているがこの一枚に収録されている曲だけでもシンセサイザーという新しい楽器がめまぐるしい進化を辿っている事が窺える。このチープな人工音がレトロ感には惹きつけられる魅力が堪らない。
聴いた日:07月14日 アーティスト:Perrey & Kingsley
Free HandFree Hand
75年発表7th。UKプログレ勢屈指の技巧派集団の代表作の一つ。ケルトなどの民俗音楽や古楽の影響を感じさせながらも、曲芸的といっても過言ではない高度な演奏アンサンブルとコーラスワークで密度の濃い楽曲を繰り出している。それなのにある程度、ポップに聞こえてしまうのは驚異的だ。
プログレ全盛期に発表されたアルバムにも拘らず、最長の曲が6分半弱でコンパクトに纏め上げているのは高度なアンサンブルによる密度の濃い演奏ゆえだろうか。とはいえ、あまりにも技巧的過ぎて、曲展開のメリハリが弱いのが玉に瑕といったところ。一度は聞いてみるべき傑作である。ポップかつ超絶技巧
聴いた日:07月14日 アーティスト:Gentle Giant
In Glass HouseIn Glass House
73年発表5th。ガラスの割れる音から始まる印象的なこのアルバムはバンド史上最高傑作の呼び声も高い。実際、盤を通じての張り詰めた緊張感と演奏のキレと音楽性の高さが見事に噛み合った作品だと思う。超絶技巧複雑怪奇な演奏アンサンブルなのにも関わらず、トラッド的な趣もあるポップ度も高い。
ここまで高度なアンサンブルな一方、コーラスワークも上手くあたかも曲芸を見てるような面持ちにもなる。MIDIで作ったような複雑な曲構成をPCが普及する以前に人力で演奏してたと思うとその凄さがなんとなくお分かりただけるかと思う。そこまでバカテクなのに独りよがりな感じがないのもまた凄い
とはいっても、曲が複雑すぎて高密度な分、曲の情緒的なメリハリと起伏があまりないのはバンドそのもの欠点だともやはり思う。落ち着く暇がないというかタメがないというか。そこが惜しいけど、十二分に聴き応えのある作品。何をやってるか分からないほど複雑だけど、ポップな所を外してない良作。
聴いた日:07月15日 アーティスト:Gentle Giant
CLOUDY CLOUD CALCULATORCLOUDY CLOUD CALCULATOR
97年発表3rd。コーネリアスこと小山田圭吾の元妻(00〜12年)の作品。全体にテクノ電子音楽から受けた影響をガーリッシュなキッチュさで纏め上げた作品。チープな電子音やレトロなシンセファンシーかつアブストラクトに響くのはアルバムタイトルのとおりフワフワ浮かぶ雲のような印象。
不定形で曖昧な音の質感で歌われるウィスパーボイスという点では後のやくしまるえつこなどの先駆にも聞こえなくはない。ポップでキッチュファンシーな電子音楽。11のカバーもそういったモンド感を意識してのことだろう。ロックの素養はないがこのふっと消えそうな軽やかさが悪くない一枚だ。
聴いた日:07月16日 アーティスト:嶺川貴子
ChicagoChicago
・70年発表2nd。前作(シカゴ・トランジット・オーソリティ)から単純に名義を「シカゴ」に変えての最初の一枚。ブルージーなアクの強さと粗野っぽさが薄れ、よりアンサンブルがポップな方向に洗練された。よりホーン・セクションをフィーチャーした点ではブラス・ロックの開闢を宣言している。
一番、進化を遂げたのはポップセンスだろう。メッセージ性の強い歌詞は前作から引き継がれているが、それ以上にキャッチーなサウンドが目立ち、ヒット性の高い曲が並ぶ。と、同時に19以降の交響楽的組曲形式なども取り入れており、バンドにホーンセクションがいる強みを押し出した作りに感じられる。
惜しむらくは音がモコモコした質感なのだが02年版のリマスターでそこそこ改善はされている。またアルバムの前半はフラワームーブメントの残り香が匂うサイケでハッピーなノリが結構楽しくもあるか。バンドの代表曲14はわりと前作のサウンドの発展形な趣でこの盤のシリアスな面を一手に背負っている
ともあれ、前作と比べても格段の進化を見せた作品であり、ブレイクを果たした一枚だろう、デビューから70年代末まではアルバムアーティストとして評価を高めることになるバンドの出世作だといえる。バンドの煮えたぎるマグマを燃料にして、走り出す車の輝きが鈍くも光る、代表作といえる一枚だ。
聴いた日:07月18日 アーティスト:Chicago
EvolutionEvolution
・79年発表5th。ブレイク作と大ヒット作の間に挟まれたS.ペリー加入後第2作でドラムのスティーヴ・スミスも加入した。サンフランシスコの熱気と砂埃、神秘性を感じさせる作品。この垢抜けない感じの音がまた味わい深くもある。ブギーナンバーが多く、ライヴ映えしそうな曲が立ち並ぶ。
前任ドラマーのエインズレー・ダンバーの重さに比べるとS.スミスの軽妙かつスクエアーなプレイはアクが抜けた感じがある。これも全米300万枚売れているが、間に挟まれているのとキャッチーな曲があまりないのが地味な印象を与えるが聞けば味わいのあるスルメ盤で決して悪くはない。
聴いた日:07月20日 アーティスト:JOURNEY
プロフィールプロフィール
・59年録音盤。後にブルーノートでA&Rマンなど重要な役割を果たすピアニストの初リーダー作。トリオ編成ながら、アクのない洗練された端正なプレイが非常に魅力的。世間がイメージする「ジャズ」を屈託なくストレートに押し出している。もちろんジャズファンも楽しめる一枚。
小気味よくスウィングし、スムースな演奏でさりげなく聞くものの懐に入ってくる。主菜や主食にはなれないけど、小腹が空いた時に入れるコーヒーと茶菓子のような味わい深くスタイリッシュなピアノ。なにかと持っていると便利でジャズを聴きたい時には鈍く輝く渋い一作だ。ジワっと旨い。
聴いた日:07月21日 アーティスト:デューク・ピアソン
Dwellers of a sand castleDwellers of a sand castle
96年発表インディーズ2nd。1万5千枚限定でリリースされた前作の再録音&普及盤。V系らしい耽美な世界観にマッチしたプログレ風味の演奏がかなり目を引く、というより独特な印象を受ける。ポップさもありながらファンタジックなサウンドを重視しているのは音楽性を重視している姿勢が見えて好感
プログレっぽい曲展開の中にファンキーな味付けがさりげなく混じってきたり、エスニックな響きもあったり、オリエンタルな印象も持ってたりでかなり無国籍だが神秘的な趣が通底している。そういった音楽性ごった煮の中でポップな音に纏めているバランス感覚は稀有なものだろう。面白い一枚だ。
聴いた日:07月24日 アーティスト:La’cryma Christi
Sculpture of TimeSculpture of Time
97年発表1st。メジャーデビュー盤にして名盤。インディーズの音源でもV系らしい耽美かつ幻想的な世界をプログレ風味で表現していたがさらに磨きがかかったという印象を感じる作品。バンドの演奏力も相当に高いのがよくわかり、複雑に絡み合いながらも技巧に走りすぎていないのは凄い。
ノヴェラ直系の耽溺型メルヘンプログレハードではあるが、見事に我が物と昇華し、ダンスミュージックのようなファンキーさやロカビリーなどを隠し味にし、ポップな味付けをしているのは中々出来るものではない。プログレな神秘性と複雑さを残しながら、ポップ性も外していない、驚くべき傑作かと。
聴いた日:07月28日 アーティスト:La’cryma Christi
LhasaLhasa
98年発表2nd。プログレっぽい幻想や耽美さが薄まり、よりメジャーなサウンドプロダクションになっている。陰のあった前作から一気に明快な音に様変わりしているが、複雑な構成と演奏力は健在であり、密度は高い。一曲に圧縮されたメロディー感覚には時代的なものも感じれるか。
バンドサウンドの下敷きにおかれていたプログレの影響は弱くなった一方でNWやサイケなどブリティッシュロックからの影響が色濃くなった。彼らのポップ感覚もその辺りが要因なのだろうが、メロディの過密さがアルバム全体を通して聞くと胃もたれする程の濃度なのでそこだけはアンバランスな一枚。
聴いた日:07月31日 アーティスト:La’cryma Christi

わたしの音楽メーター
音楽メーター

2016-07-01

音楽鑑賞履歴(2016年6月)

| 22:31

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。

23枚。そこそこ聞いた。

今月はBECKベック・ハンセン)月間と相成りました。

抜けもあるけど、近作までは大体聞けました。

6月からは「聞くものに困ったら、買って聞いてないやつを聞く」

というルールを設けて、それなりに聞けた感じなのでしばらく続けていこうかなと思います。

では以下から、感想です。

6月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:23枚
聴いた時間:434分

Elegant gypsyElegant gypsy
・77年発表2nd。前作を踏襲したサウンドがソリッドに響く。が、ポップさは減退し、よりテクニカル指向が明確になった。ラテンミュージックのサヴタージな荘厳さが強調されているので若干シリアスな趣が聞いていて、疲れるようにも。聞き応えはあるが同時に二番煎じ感も拭い切れておらず、難しい。
とはいえ、パコ・デ・ルシアと競演した3など、アコースティックな演奏がいいのがこの盤の救いか。ここでの競演がスーパー・ギター・トリオにも繋がることになる。ギターの可能性を鑑みるにすでにエレキだけでは枠が窮屈すぎるのを肌で感じ取ってるようにも。個人的にはバランスの悪い作品だと思う。
演奏が悪いというわけではなく、サウンドの傾向がすでに過剰傾向なのが鼻につくというだけで、プレイそのものは全盛期だけあって、縦横無尽な感じが向かうところ敵なしといった印象。後年の作風を感じさせる音とテクニカル路線がごっちゃになってて作品の出来としては少し凡庸に感じてしまうのが残念だ
聴いた日:06月03日 アーティスト:Al Di Meola
Light As a FeatherLight As a Feather
・72年録音盤。半年前に出た同名アルバムをバンド名として、同じ面子で制作されたグループの初作。前身となった盤と比べると、スピリチュアルな部分が薄らいで、ラテン音楽の躍動感やファンキーさが増した印象。そして、なによりもフュージョンクラシックとして名を馳せる6が収録されているのが強い
アルバムタイトルの如く、音の質感は非常に軽やかな趣で息の詰まるようなシリアスさはない。むしろよりキャッチーなポップ感が強くなったので間口は広がった印象だがロック色は皆無であり、ラテンパーカッションの細やかに跳ねるリズムが風に乗って天に舞い上がるような旋律を奏でる。意外と良スルメ盤
聴いた日:06月03日 アーティスト:Chick Corea
O.K. ComputerO.K. Computer
・97年発表3rd。叙情的かつ感傷的なサウンドが目立つ、彼らの代表作の一つ。後の作品でどんどんロック的な音からかけ離れていくが、この時点ではロックミュージックのフォーマットを使った演奏なのでまだ取っ付き易さはある。徹底してモノトーンな雰囲気のオルタナティヴ・ロック
全体的にコンテンポラリースノッブな印象が拭えない作品なのだが改めて聞くと、音処理やエレクトロの部分に時代がかったものを感じる一方で、ロックやブルース、フォークといった下地の部分が時代を経過してもなお色褪せていない所だろう。下地の響きがこの盤を時代とコミットするのを可能としている
下地の要素の普遍的な響きに救われている所もあり、バンド自体もUKロック特有のさめざめしいウェットな感覚を引き継いでいるということが確認できるのが面白いところではあるが、サウンドの内省的な息苦しさには好みが分かれる所か。そういった停滞感も今となっては当時の空気だったのだろうが。
聴いた日:06月05日 アーティスト:Radiohead
By the WayBy the Way
・02年発表8th。フルシアンテ復帰二作目。ファンクヒップホップ、スカ、ラテンなどなど雑多な要素をロックで纏め上げる彼らの従来路線に前作からの哀愁漂う枯れたメランコリックをさらに発展させた音が顕著。抑制が効いたというより、アダルティーな趣が強くなった印象がある。
かつてのヤンチャな不良少年たちが不惑の時期を迎え、自らの路線を熟成させながらなお前進していくさまを捉えているが、既に「若さ」はない分、秋空のような透き通った爽快感が残る。ギラついた欲望の代わりに達観が見え隠れする、そんな一枚。ビターな味わいを噛み締める。ただ少し冗長な構成が玉に瑕
聴いた日:06月06日 アーティスト:Red Hot Chili Peppers
When you were a beautyWhen you were a beauty
02年発表6th。前作の縁から、トータスの本拠地シカゴで長期レコーディングを敢行した末に出来上がった一枚。ジョン・マッケンタイアを始め、トータスのメンバーも参加している。内容はおそらくバンド史上最もメロウなものに仕上がっていると思う。サウンドもバンドサウンドに回帰している。
雰囲気はAORカンタベリーロックの匂いが漂い、ドリーミーかつメロウな感覚がとてもポストロック的に響いているが酩酊感があまりないのは彼らがサイケ感覚を伴っていないのが最大の要因だろう。全体を貫くクールネスがメロウな味わいを引き締めていい塩梅になっている。じっくりと聞き込みたい良品
聴いた日:06月07日 アーティスト:GREAT3
E2 E4E2 E4
84年発表1st。クラウトロックの傑作、というよりテクノシーンにおける名盤のひとつ。1曲60分弱、その反復されるミニマルなフレーズが変容していく快感はレイヴの高揚感がすでに表現されているといっても過言ではない。この陶酔感はクラウトロック、ひいてはサイケへと一本線で繋がっている
ゲッチングの在籍していたアシュ・ラ・テンペルがサイケの影響の濃いトランスミュージックを奏でいたのもあり、シンセシーケンサの反復がテクノというより強いトランスミュージックへと変貌していくのは非常に歴史的なものを感じざるを得ない。そのミニマルなリズムをグルーヴとしていくのは正に。
そうはいっても、後に出てくることになる低音を強調したデトロイトハウスなどと比べてしまうと、ビートは非常に軽やかで音の質感も洗練さや清潔感が強いのが84年作らしい所であるように思う。もちろんゲッチングのギター演奏も後半から存分に聞ける。一人でじっくり聞くもよし踊っても良しの一枚だ
聴いた日:06月08日 アーティスト:Manuel Gottsching
Mellow GoldMellow Gold
94年発表1st。メジャーデビュー作。通算だと3枚目。ゴミとガラクタと砂埃にまみれたオルタナ・アシッド・フォークという当時も今も他の追随を許さない独特なサウンドが特徴的な一枚。ポストグランジとして、こんなユルい音を繰り出してくるのもなんというか確信犯すぎて、常軌を逸してる雰囲気。
しかし、このローファイな停滞感を伴ったサウンドは非常に90sらしい音だとも感じる。生き急ぐような性急なビートを繰り広げるわけでもなくかといって、グルーヴを唸らすような横ノリの快楽もなく、底辺の地べたで自然体のまま、あるがままをかき鳴らしている感じが現代アートにも似たつくりに見える
行き場のなさ、どん詰まり感、そこに何かの感情があるとすれば、諦念めいたものがあるように思うが、そんなどんよりとした感情をヒップホップ的なトラックメイキングでミクスチャーしてしまうのがコンセプトとしては恐ろしく秀でてるようにも思う。這いずりのた打ち回る奇妙なポップソングの挨拶状だ。
聴いた日:06月09日 アーティスト:Beck
DADA(紙ジャケット仕様)DADA(紙ジャケット仕様)
・81年発表メジャー1st(通算3rd)。かつてはコナミ矩形波倶楽部、現在がギターフリークス/ドラムマニアのコンポーザーの一人として有名なルーズベルト泉こと泉陸奥彦のユニット。ゲーム音楽業界で活躍する以前はタンジェリン・ドリーム系のシンセサイザー音楽やプログレ畑で活動していた。
本盤はクラウトロック起因の電子音楽に、音ゲーファンには御馴染みである泉のメタリックなギターが絡む内容。インダストリアルでオリエンタルな響きはそのまま現在の彼の音楽と一本でつながっているようにも思える。昔から無国籍感の強い音楽を作っていたことが確認できる一枚かと。
聴いた日:06月10日 アーティスト:ダダ
Stereopathic SoulmanureStereopathic Soulmanure
94年発表インディーズ2nd。次作のメジャー第一作「メロウ・ゴールド」前夜といった趣の内容。次作で混ざり合ってた要素が混ざってなくて、それぞれバラバラに聞こえてくるものだから荒削りなことこの上ないが、それらをどれひとつとっても一筋縄でいかない感じがとっても「らしい」作品。
いい意味でゴミクズから新しい何かを生み出そうとして、ぐにゃぐにゃにふざけている感じがインディーズでしかできない音楽だと思う。実験精神というか悪ふざけなエクスペリメンタル宅録現代音楽ノイズ。ガラクタと芸術品の狭間で呻く妙ちくりんな音楽。このアーティストの初手にはあまりにも危険すぎる
聴いた日:06月11日 アーティスト:Beck
OdelayOdelay
96年発表2nd(通算5作目)。前作の猥雑ないびつさ(でもまとまりはある)がより整えられて、デザインワークとして完成された感のある一枚。DJ的な観点であらゆる音楽が並列に扱われ、自由闊達に組み合わされて楽曲として成立している所に当時の新鮮さがあったのではないかなと思う。
サンプリングも伴って、かなりのカット&ペーストが繰り返されているように思うがそうやって切り貼りされた音楽だからこそグルーヴ的な勢いは分断されているようにも思える。この停滞感のある音はリリースされた時代の特徴だと思うが、全体的に心地いい音楽なのだが同時に人工的とも感じるか。
演奏するグルーヴの連続性はない。が、グルーヴは抽出されている。それがこのアルバムの肝でもあるし、当時の主流でもあったようにも。享楽的な音を諦念を持って捉えるというような雰囲気。その点では非常にテクノ的でもあり、パンクなアディテュードに満ちた一枚だろう。前作よりもずっと聞きやすい。
聴いた日:06月12日 アーティスト:Beck
The Beach Boys - Pet SoundsThe Beach Boys - Pet Sounds
・66年発表11th。ロック史にその名を刻む名盤の一つだがブライアン・ウィルソン以外のメンバーはボーカルとコーラスのみで演奏はスタジオ・ミュージシャンというアルバムで、内容もブライアンの私的な色合いの濃い作品。発表当時は従来の路線からあまりにも急激な変化だったので困惑されたらしい
その戸惑いも分からなくはないほど、この盤の雰囲気は独特である。ポップな賛美歌というべきか。雑念が一切排されたようなイノセントな響きは神々しさすら感じてしまう。混じりっ気のない真っ白けな音楽だからこそ、美しさも感じるわけなのだが、同時に白昼夢のような狂気の上に成立するものにも感じる
実際、ブライアンもそのハードワークな活動から精神が不安定になっており、ドラッグの影響も否定できないのだがそういった裏側を抜きにしてもその完成度には舌を巻かざるを得ない。だが、無垢な響きの中でブライアンの歌声はひどく寂しく感じてしまうのは気のせいだろうか。孤独な天才が心血注いた傑作
聴いた日:06月14日 アーティスト:The Beach Boys
Smile SessionsSmile Sessions
・11年発表企画盤。67年に発表するはずだった未完のアルバム「スマイル」。04年発売のブライアン・ウィルソンの「スマイル」を下地に当時セッション音源などを取り纏めて構成したアルバムが本作。完成図とはまた異なった作りではあるがその全容を窺い知ることのできる作品だろう。
肝心の内容はいうと、夢想した絵図は果てしなく壮大だがいかな天才だろうと一人のミュージシャンには背負いきれなかった、という印象。森羅万象、アメリカという国家、栄枯盛衰、当時の時代背景などなどを全て巻き込み、総括して語ろうとするとそれはキャパシティーがオーバーするのもやむなしか。
それらに宗教的なシンフォニーやらノスタルジックやらも絡まって、繋ぎあったらそれはもう未知の名盤が出来上がっていただろう事は疑いようもないが、そうはならなかった。しかしその残骸、というより組み上がらなかった部品や、一部完成していたものの数々は天才の仕事であり目を見張るものなのも確か
ファンは開示された情報を繋ぎ合わせるほかないが、完成していたら、というIFを想像してしまうとこれほどに掘り下げる資料もまたとないものだろうし、同時発売のコレクターエディションをそろえるともっと深みへといけそうだ。未完の世紀の名盤はファンの心の中に存在すると感じさせるそんな一枚だ。
聴いた日:06月15日 アーティスト:Beach Boys
MutationsMutations
98年発表3rd。前作まで続いていた作風をひとまず置いて、弾き語りをメインにいろんなエフェクトが掛けられた浮遊感のあるSSW系の作品。サウンドにガラクタ感が薄く、素朴で飾りっ気のない歌が耳に響く。メジャー1stから人を喰ったような音が目立っていたが、これは気構えずに聞ける内容。
アメリカにおける「しらけ世代」ミュージシャンであるベックの醒めた視点がよく現れている作品にも聞こえ、フォークシンガーとしての資質の高さを窺わせる。やるせなさというかダルでアンニュイな雰囲気が素っ気無い演奏とモンドなエフェクトで増大されてて、なにか滋味溢れる一枚。のんびり聞きたい。
聴いた日:06月15日 アーティスト:Beck
Midnite VulturesMidnite Vultures
99年発表4th。Beckファンクミュージック総覧という趣の作品。JBもスライもP-FUNKもプリンスもザップも、全部入り。むしろそれらのエッセンスを上手い具合に組み合わせ、甘味料的なチープさを加えて、出来上がったヌメりのある下世話なポップミュージック感がいかにもなサウンド。
ここで聞ける意図的かつ能天気なバカッぽさは同時期のUKで流行したビッグビートとも酷似しているが同時発生的に汲み取られたものだと思う。とはいえ、ファンクを題材にとっているが音の取り上げ方はむしろテクノっぽいので、一種のフェイクミュージック的な胡散臭さもこの盤の魅力といえるだろう。
ここまでのキャリアを見ていると本作は初期のガチャついたローファイさは薄らぎ、より洗練された作りになっている。と同時にポップな響きも強くなっているので、アクが抜けて、聞きやすくなったというのも特徴。聞き流しながらダンスビートに揺られる楽しい一枚かと。
聴いた日:06月15日 アーティスト:Beck
Sea ChangeSea Change
02年発表5th。3rdの路線を踏襲したアコースティックなメインのサウンドだが、モンドな味付けというよりはストリングスを多用したカントリー&フォーク、という趣の強いアルバム。ものすごくゆったりとしたテンポで空間を漂う感覚はどことなく優雅な雰囲気も滲み出ている。
全体に叙情的で、最も穏やかかつ優しい作品だ。ここまでグッとテンポを落としてしまうと、ロック的な趣は皆無でルーツミュージックなどが聴ける人には味わい深いだろうが、そうではない人にはただ眠気を誘うだけだろう。個人的には本作のような音に彼の真価があると思うので、これは結構好きな一枚です
聴いた日:06月16日 アーティスト:Beck
Yesterday, Today, Tomorrow the Greatest Hits of Kenny LogginsYesterday, Today, Tomorrow the Greatest Hits of Kenny Loggins
・97年発表ベスト盤。フットルースやトップ・ガンの主題歌が有名なソロ・シンガーのベスト。キャリアは長く、ロギンズ&メッシーナジョジョファンにも馴染み深い)のデュオでも知られている。やはり映画の主題歌である3や5に目が行きがちだが、彼の魅力はそればかりではない。
ベイエリアの爽やかな風を感じるウェストコースト系のAORポップスが彼の主たる作風で冒頭の1など収録曲の多くがそれに該当する。コーラスハーモニーにビーチ・ボーイズ(あるいはブライアン・ウィルソン)の影響も色濃い。味わい深い曲も多く、彼の爽やかでヌケのいい歌声で聞くとより気持ちいい。
2(スティーヴィー・ニックス)や9(スティーヴ・ペリー)などのデュエット曲も華があって、全体に歌を楽しめる構成で彼のキャリアを手早く知れる一枚です。まったくの余談ですがドゥービーブラザースで有名な「What a Fool Believes」の共作者でもあります。
聴いた日:06月18日 アーティスト:Kenny Loggins
GueroGuero
05年発表6th。前作のフォーキーな路線からは打って変わって、原点回帰的なオルタナ路線の一枚。1stや2ndの音がより洗練化したサウンドが立ち並ぶ一方、ハードなファズギターやスペーシーなモンドエフェクトやチップチューンの音が交じり合って、それなりの新鮮さが感じられる。
とはいえ、カットアップ的に組み上げられた楽曲は有機的な繋がりがなく感じられて、人工感が強調されているようにも。取り上げられた要素の表層的な希薄さに面白みが見出せるかどうかがこの盤の評価が決まってくるところだろう。初期路線のカドが取れた作品、だと思うがそれ以上の面白みはないか。
聴いた日:06月21日 アーティスト:Beck
Enigmatic OceanEnigmatic Ocean
・77年録音盤。通算19枚目。最高傑作とも評される一枚。米英の腕利きミュージシャンを揃えてのクロスオーバーサウンドが聞ける。名の知られたメンバーだけでもアラン・ホールズワース、ダリル・スチューマー、後にジャーニーで活躍するスティーヴ・スミスなど清栄が立ち並ぶ。
音は英国ジャズロック主体だが、演奏のテクニカルさ度合いはアメリカクロスオーバーサウンド寄りで、どちらかというとポンティの同郷のバンド、(ムーランズ)ゴングにも近似しているか。そのミックス加減が面白い印象。もちろんポンティのエレキヴァイオリンプレイも冴え渡っている。
イメージとしてはタイトルにもあるように大西洋の波打つ海原が思い浮かぶ。またヴァイオリンも弾くアラン・ホールズワースのギターとも相性が良く、ザッパミュージックとUKジャズロックの邂逅もあったりで、なかなかに興味深い盤だ。捨て曲なし、全編見所な作品。ファンなら聞かない手はない
聴いた日:06月23日 アーティスト:Jean-Luc Ponty
Outlandos D’Amour (Dig)Outlandos D'Amour (Dig)
・78年発表1st。元々ジャズプログレといったジャンルで活躍してた面々がパンクムーヴメントに乗っかって、デビューしたアルバム。なもので演奏技術は同時期のバンドとしても頭一つ抜きん出ている。が、それが不興を買っていたりもしていて、パンク/NWの鬼っ子みたいなバンドでもある。
内容はいたってシンプル。高い演奏能力で繰り出す楽曲はきわめて構築的でパッションは皆無で徹底的にクールだ。レゲエを取り入れているが、呼び水にしているだけで本来のものとは似ても似つかない感じ。とはいえ、サウンドからは独特の孤立感が早くも漂っているのが目を引く。
鬼子というバンドイメージからか、鳴り響く音も当時の流行からかなり迂遠、極めて理性的すぎたからこそ異質なものを受けるし、類似する音が見出せないという孤独さが彼らの特徴なのだろう。初作にして、独特な雰囲気が滲み出る一枚。彼らなりの一番ストレートなロックが聴けるというのも記しておきたい
聴いた日:06月24日 アーティスト:Police
幻とのつきあい方幻とのつきあい方
・11年発表1st。ゆらゆら帝国解散後の初ソロ作。初回盤所持。メロウでグルーヴィなAOR調のメロディに童謡的な肌触りの歌詞との妙味がかとなくシュールな一枚。ビルとビルの合間に吹き抜ける生温い風とでも言うべきか。平熱的な抜けのいい音がずっと心地いい雰囲気を漂わせて、常習性が高い作品
都市部の隙間を縫って、漂う空気にかとない孤独さや諦念が重なって、自己の像がぼやけるようなそんな感覚がある。そのぼやけた像が幻となって対峙する。アルバムのタイトルのように自我の疎外感を持ちながらもうまく付き合う方法を提示してる風にも捉えられる。けどそんな事も考えなくとも楽しめる盤だ
初回盤は収録曲のインスト盤との二枚組。坂本慎太郎の響く中低音の味わい深い歌声がなくても、十分に聞ける内容で聞き込むと遠くに鳴るエコーがこの盤の幽玄かつ無聊な隠し味だと気づけるのが心憎い。歌が無くなることでの空虚感の強調もまた興味深く、ただ流されるままに聞くのも楽しい軽さも良い。
聴いた日:06月25日 アーティスト:坂本慎太郎
ザ・インフォメーション(DVD付)ザ・インフォメーション(DVD付)
06年発表7th。初めてヒップホップをメインにすえた作品。ここまでの作品では何かが下敷きにあって、その上にフレーバーとして散りばめてきたものを下敷きにしたというのがこの盤のコロンブスの卵的な発想にいたってるのだと思う。なにか音楽的には純化したものを聞いた印象を受けた。
というのも、ベック・ハンセンというアーティストはざっくりと分けてフォーク、ヒップホップ、ロックの間で揺らいでいたオルタナティヴミュージシャンであり、そのどっちつかなさ加減が90年代を駆け抜けた時代の寵児だった所以だと見ているが、本作を聞いているとまた別の表情が見えてくる。
このアルバムを聞く限り、彼にとってロックミュージックという縛りが「不純物」になっており、そこより解き離れた自由な表現こそが本作の軸になっていると感じる。その点では精製されたとも言えるし、より彼の個性がダイレクトに、なおかつポップに表れていると思う。そこにロックは必要なかっただけ。
そうやってアク抜きした作品だからこそ、吹っ切れた印象もあって、聞き応えのある作品になった。ディスコグラフィの中でも上位の出来かと。なおDVD付きバージョンはミシェル・ゴンドリーなどによるアルバム全曲のMVが収録されています。
聴いた日:06月27日 アーティスト:ベック
茎 (STEM)〜大名遊ビ編〜茎 (STEM)〜大名遊ビ編〜
・03年発表8thSG。3rdアルバムの先行シングル。それまでのオルタナロックからは打って変わって、ジャジーな質感やストリングスを取り入れたジェントルかつキャバレーな響きの楽曲が立ち並ぶ。シックに猥雑な趣は3rdのサウンドの提示にもなっているか。収録曲はどれもシングル仕様。
聴いた日:06月29日 アーティスト:椎名林檎
Modern GuiltModern Guilt
08年発表8th。デンジャーマウスプロデューサーに迎えた一作。デンジャーマウス特有の一時停止したビデオ映像のようなタイムレスなサウンドデザインにベックお得意のモンド感が重なって、奇妙な浮遊感の中に漂っている錯覚に陥る。シンプルかというとそうでもないような複雑さもある。
60sの白昼夢サイケの趣にアンビエントの質感やらテクノ的な黒っぽさも混ざっており、不思議とロックという印象があまりないのはリズム、ヴォーカルラインを聞かせるために、装飾的なメロディを削ぎ落としているからのように思える。むしろ歌をメインに置いてるからポップスという印象が近いか
収録時間が35分もないのは彼のディスコグラフの中でも最短の部類だが、短いながらも彼の個性はきっちり抽出されていて、悪くはない。良くも悪くもデンジャー・マウスのサウンドプロダクトが濃厚なので好みは分かれるか。個人的には数回聞かないと、印象に残らない感じの一枚。フックがないのが惜しい
聴いた日:06月30日 アーティスト:Beck

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