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本山勝寛: 学びのすすめ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2017-01-16

都私立校一部無償化について


小池百合子都知事が1月16日、一定の世帯年収以下の家庭を対象に、都内の私立高校を2017年度から無償化すると発表した。毎日新聞の記事を一部抜粋すると以下の通り。

東京都の小池百合子知事は16日、2017年度から都内在住の私立高生の約3割を対象に授業料を実質無償化すると発表した。世帯年収760万円未満(夫婦と子供2人のモデル世帯の場合)の生徒約5万1000人を対象に、年間授業料の平均額にあたる44万2000円を上限に国と合わせて補助する。都外の高校に通う生徒も対象にする。17年度予算で現行の助成金に75億円を上乗せする。

家庭の経済状況によって通える高校、受けられる中等教育が限定されてしまわないように、子どもたちの学びの選択肢を広げる大胆な良い政策といえよう。これまで低所得・中所得世帯は、公立のみが高校進学の選択肢となることが多かった。私自身も子どもの頃、経済的な事情から、どんなに魅力的な学校があったとしても、私立高校(私立大学)を受験するという選択はまったく考えられなかった

一方で、都内には私立の高校が半数以上を占め、トップレベルの大学に進学しようとしたり、先進的な教育を受けたり、スポーツでトップレベルを目指したい場合は、私立高校のほうが有利な場合が多い。高校教育は義務教育ではないにしても、現代では高校進学率は98%と実質上義務教育化している。そういったほぼ全ての家庭が対象となる教育が、経済事情によって選択肢を狭められるのは、決して機会が公平に用意されているとはいえない。低・中所得世帯を対象にした都の私立高校無償化は、そういった教育格差を是正する策の一つといえる。

一方で、世帯年収760万円を境に、実質無償となるのか授業料支援がほぼなくなるのか、急激な変化をつけてしまうと、公平でないという指摘もある。東京都のホームページにはまだ制度の詳細について公開されていないので確認できないが、世帯年収や子どもの数によって、授業料支援額を段階的に設計する必要がある。

さらに、私立高の無償化で公立高校との競争が激化することも予想される。本来なら、優先的に都立高校のレベルアップをはかり、公立に通っていてもレベルの高い教育を受けられるようにしなければならない。塾に通わなくても、大学進学がしっかりできるよう、公立校のレベルアップにも注力すべきだ。

今回の都の政策が他県にも影響を与え、中等教育と教育費の問題、経済格差と進学格差の問題が日本全体でより活発に議論されることで、よりよい教育改革につながることを期待したい。

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2017-01-10

才能より重要な「グリット=やり抜く力」とは?




『やり抜く力〜GRIT(グリット)』が書店やAmazonなどでベストセラーとなっている。昨年9月に発刊され3ヶ月で20万部を突破。世界30カ国以上で刊行され、ニューヨーク・タイムズのベストセラー上位に毎週連続でランク入りしているという。米教育省が「やり抜く力、不屈の精神、粘り強さを育む―21世紀における成功の決定的要因」と題する報告書を発表し、教育の最重要課題として提唱するほど、アメリカ社会に大きな影響を与えている。

「GRIT=やり抜く力」とは、「情熱」と「粘り強さ」を指し、人生のあらゆる分野での成功に必要な最重要ファクターとして、ペンシルヴァニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワース氏によって提示された概念だ。オリンピック選手やビジネスリーダー、偉大な業績を挙げた研究者など、大きな成功を収めた人たちが共通してもつ特徴であり、IQや才能よりも重要な要素であることが研究の結果、明らかになたっという。

粘り強さが人生の成功に寄与することは、これまで一般的にもなんとなく理解されていたが、ダックワースの研究の革新的な点は、それを「グリット・スケール」として測定するツールを発案し、定量的な分析を可能にしたところにある。近年、同じく教育経済学などで注目されいているIQテストでは測定できない「非認知能力」の一つでもある。

「グリット・スケール」では、「新しいアイデアやプロジェクトが出てくると、ついそちらに気をとられてしまう。」「私は挫折をしてもめげない。感嘆にはあきらめない」「目標を設定しても、すぐべつの目標に乗り換えることが多い。」などの10の項目に対して5段階で回答することで、やり抜く力のスコアを測定する。この測定方法によって、成功者と成功しなかった者を分けた要因としてグリットが浮かび上がったというわけだ。自分の「やり抜く力」のスコアを出してみたい方は、同著に掲載されているのでぜひ読んでみていただきたい。

これから、「グリット=やり抜く力」は、日本のビジネス界や教育界でも注目される概念となってくるだろう。

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2017-01-08

貧困家庭から大学進学できるようになるためには


(生活保護のリアルが分かるお薦めマンガ)

年明けから、フローレンスの駒崎弘樹さんが「2017年にはぶっ壊したい、こどもの貧困を生みだす日本の5つの仕組みとは」という記事を、続いて自立生活サポートセンター・もやいの大西連さんが「2017年は生活保護家庭の子どもが大学進学できる社会にしよう!」という記事を書かれ、Yahoo!のトップページに掲載されるなど話題になっていました。生活保護家庭の子どもが大学進学する際に、親から子どもが世帯分離しなければならない現状の制度について指摘し、その改正を提言されています。

この制度改正について私も賛成ですが、貧困家庭の子どもが、家庭環境によって大学進学をあきらめずにすむようにするためには、他にも考えなければならないポイントがあるかと思われるので、少し書いておきたいと思います。

大西氏が書いているように、一般家庭の進学率は、大学等(大学・短大)が53.9%、専修学校等が17%で進学率全体は70.9%。それに対して、生活保護家庭の子どもは、大学等(大学・短大)が19.2%、専修学校等が13.7%、進学率全体が32.9%と、大きな差が出ています。

進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)

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また、東京大学の小林雅之教授は著書『進学格差』で、「私立大学進学は、家計所得1000万円以上の高所得層では44%、400万円以下の低所得層では22%と半分にとどまり所得階層差はきわめて大きい。」というデータを紹介しています。所得400万円以下を「低所得層」と定義することの是非はおいておくとして、生活保護家庭だけでなく、相対的に所得が低い家庭も、大学進学において格差が生じていることが分かります。

一方で、小林教授はこのようにも指摘しています。

「これに対して、国公立大学の場合には、高所得層11%に対して、低所得層9.5%と所得階層による差はほとんどないことが注目される。」
「成績下では低所得層の大学進学率は14%に対して高所得層は42%ときわめて大きな違いがある。しかし、成績上位では低所得層の進学率も高所得層の進学率も69%と差はみられない。所得階層別にみれば、高所得層は学力の影響を受けにくいのに対して、低所得層では大きな影響を受けている。」

つまり、所得格差が進学格差を生んでいることはよく知られていますが、低所得層であっても成績上位者であれば、高所得層とほとんど差がなく大学進学しているというデータになります。

もちろん、家庭の所得が子どもの学力と相関関係にあること、低所得層の家庭では塾などに通いづらいため、大学進学率だけでなく、学力にも影響を与える傾向にあることを無視してはいけません。ただ、低所得層であっても、本人の成績を伸ばすことができれば、大学へ進学する割合はぐんと伸び、所得格差による進学格差がほぼなくなることは注目に値します。これは、大学授業料が比較的安く、授業料免除の制度も整っている国公立大学に進学しやすくなること、私立大であっても給付型や貸与型の奨学金を受ける機会が増えること、本人が大学進学を目指し、親や学校の先生などが後押しするようになることなどが要因として考えられます。

単純ではありますが、低所得層の子どもが、より学力をつけ、成績をあげられるようになることが、所得格差による進学格差という負の連鎖を打開する策であることが分かります。

朝日新聞が2016年3月に報道した自治体の学習支援事業実施状況についてのNPO調査によれば、回答した479自治体のうち32.2%の自治体が生活困窮者世帯向けの無料学習塾などの学習支援事業を実施しており、20.3%が新年度に実施予定と回答しています。こういった取り組みが広がり、充実していくことで、所得格差による学力格差、学力格差による進学格差が是正されていくことを願ってやみません。

さらにいえば、親や周囲の子どもに対する期待、教育に対する熱意や教育観などの文化的要因が、子どもの学力や大学進学に影響を与えるといわれています。親に対しては、大学進学による生涯賃金の違い、大学授業料免除制度や奨学金制度の情報などを正確に届ける必要があります。また、親以外の身近な大人として、学校の部活動やアルバイト先の大学進学した先輩、無償学習塾の講師、地域や親戚などの大人が、進学することの意味を伝えられるようにすることも重要です。

私自身は、親の収入がゼロで経済的には大学進学を考えられるような状況ではありませんでしたが、兄が高校中退しアルバイトをしながら大検を取って大学進学したり、親が自分に対して高い期待をもっていたことが後押しになり、大学に行って現状を打開し、夢を叶える道を拓いていこうという気持ちにさせられました。進学後は、大学授業料免除や給付と貸与奨学金、アルバイトで大学生活を乗り越えることができました。(ブログ記事極貧の私は奨学金のおかけで東大・ハーバードに行けた

「家が貧しいからあきらめる」ではなく、「貧しくても大学進学をあきらめない、夢をあきらめない」と思えるような、そんな日本の社会になることを願ってやみません。また、私自身もできることから努力してまいりとたいと思います。

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2017-01-03

一年の目標を公言すると効果があるのか?


新年を迎えたということもあって、年始に一年の目標を立てた人も多いことでしょう。そのなかでフェイスブックやブログ上で、あるいは周囲の人々に目標を公言した人もいれば、自分の胸の中にひそかにしまっていたり、なんとなくぼんやりとしか思い浮かべていないという人もいるでしょう。

新年の決意を公言した場合とそうでない場合、その後の成功率に違いはでるのでしょうか?

臨床心理学誌(Journal of Clinical Psychology, 2002)に掲載されたスクラントン大学のジョン・ノアクロス教授らの研究によると、電話調査に回答した434名のうち178名(41%)が新年の決意を行い、256名(59%)が行っていませんでした。決意の主な内容は「体重を減らす」(31%)、「運動をする」(15%)、「禁煙」(12%)でした。

新年の決意を行い公言した人のグループと比較するため、新年の決意を行っていない人に「もし自分の行動を一つ変えたいという新年の決意をするなら、それは何か?」という質問をすることで、何か行動を変えたいと心の中では考えている人たちのグループを抽出。2つのグループをフォローアップ調査することで、体重の変化や禁煙の成否などの結果の違いを比較しました。

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決意を公言した人のグループで継続的に成功していた人の割合は、1〜2週間後で71%、3〜4週間後で64%、3ヵ月後で50%、6ヵ月後で46%でした。一方、変えたいという気持ちはあっても決意を公言していなかった人のグループでは、1〜2週間後で51%、3〜4週間後で17%、3ヵ月後で16%、6ヵ月後で4%でした。6ヵ月後にも継続的に成功しているかどうかは、決意を公言したグループと公言しなかったグループで、なんと11倍以上の差(46%と4%)が開いたことになります。

もちろん、より長期の調査を行った場合、決意を公言したグループの継続的成功率がより下がる可能性は想定されます。また、「体重を減らす」や「運動をする」などの単純な決意ではなく、よりハードルの高い目標だと結果が変わってくるかもしれません。いずれせよ、やりたいと思っていることをぼんやりと胸に秘めておくよりも、決意や目標を周囲に公言した方が成功率が高まる傾向にあることを示唆する研究の一例だと言えるでしょう。

私自身は、以前、ハーバード大学院を目指し、一度不合格の挫折を味わったことがあります。そのときは周囲にはあまり伝えずに、ひっそりと入学願書を提出しました。その後、自らの敗因と合格への道筋を徹底分析して、再度挑戦することに決めました。そして、その目標をブログで公言することで、より広く、多くの人に公言することにしました。目標を公言することで、背水の陣をしき、自らを奮い立たせたのです。結果的に、プレッシャーとともに適度な緊張感が、英語学習やエッセイ・推薦状の準備を続ける高いモチベーションの維持につながりました。また、目標を公言したことで周囲のサポートが得られ、効果的な推薦状をもらうことができ、最終的にハーバードに合格できました。一流のスポーツ選手も同様に、目標をはっきりと公言する人が多いですね。

目標は公言することで、そこに自分と周囲を巻き込む流れが出来上がるのだと思います。自分だけの力ではなく、周囲の力にも後押しされることで継続する力が得られる。これまで自らの胸にだけひそかに抱いていた夢を、明確な目標として周囲に宣言してみてはどうでしょう。そこから強い決意と大きな変化が生まれてくるかもしれません。

この記事は、『一生伸び続ける人の学び方』から一部抜粋して編集しました。

一生伸び続ける人の学び方

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2017-01-02

2017年の目標「種伸鳥抱」

新年明けましておめでとうございます。
2017年初めての投稿です。

これも自分のなかで18歳以来の恒例行事となっていますが、年初めに一年の目標と計画を立て、年間のモットーとする言葉を書き初めにしています。

今年の目標は、、、

「種伸鳥抱」

これまで蒔いてきた種を一つ一つ丁寧に育て、伸ばす。そして、小さな種を成長させ、空の鳥が宿ることができるような、鳥という希望を抱くことができるような、大きな木にすることをイメージしています。

今年は酉年ですが、実は私は酉年で年男です。3月には36歳になります。そんなこともあり、鳥についていろいろ考えていたのですが、ふと手塚治虫の名作『火の鳥』のことが気になりました。古今東西で伝説のあった、不死鳥、フェニックス、火の鳥。死んでも蘇ることで永遠の時を生きるといわれる伝説上の鳥。寿命を迎えると、自ら薪から燃え上がる炎に飛び込んで死ぬが、再び蘇るとされている。

36歳という人生を三周する区切りの年。自らを熱く燃やし、新しい鳥に蘇るような生き方をできればと思います。

聖書にはこんなイエスの言葉があります。

「一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる」(ヨハネによる福音書12:24)

「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」(マタイ13:31-32)


私の今年の目標「種伸鳥抱」も、この聖書の言葉からとりました。
種を種として終わらせるのではなく、一つ一つを伸ばして花を咲かせ、豊かな実を結べるように。そして、大きな木に成長させ、空の鳥という希望を宿し、抱けるように。もちろん、そのなかには仕事のこともあれば、子どもたちや家族のことを含まれます。

2012年には「一種希抱」というこれの元となる目標を立てましたが、このときから蒔いてきた種をさらに大きく伸ばし、鳥を抱く一年としたいです。

みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

一生伸び続ける人の学び方

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