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本山勝寛: 学びのすすめ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2016-07-27

百歳から俳句を始めた日野原氏の好奇心

先日、聖路加国際国際病院名誉院長の日野原重明氏が、100歳から俳句を始めて、「104歳になって俳句のことがようやく分かってきた」と述べていたと聞いた。私は以前、日野原氏の講演や学校での授業に同行し、百歳近くで何十人ものサインに応じる姿にも驚いたが、百歳から俳句という新しいことを始めるバイタリティーはさすがとしか言いようがない。

百歳からの俳句創め (日野原重明句集)

百歳からの俳句創め (日野原重明句集)



人はよく、「学生時代にもっと勉強しておけばよかった」というが、別に学生でなくても、30歳でも40歳でも、そして100歳でも、心の持ちよう一つで学び続けることができる。一生学び続ける人こそが、成長し続けることができる人だ。自分に限界の蓋をしめてしまうのは、自分自身だ。限界の蓋を開き、常に好奇心と探究心を持ち、これは成し遂げたいと思ったことにセオリーをもって取り組む。そうすれば、年齢を問わず、必ず人は成長する。

一生伸び続ける人の学び方

一生伸び続ける人の学び方



これから日本は超高齢化社会に突入するが、日野原氏のような好奇心とチャレンジ精神旺盛な「元気な老人」がたくさん増えるのであれば、日本も捨てたものではないのかもしれない。104歳の日野原氏の姿勢から学ぶものが多い。

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生きかた上手

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2016-07-24

ポケモンGOは昆虫採取から生まれた?

田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

今週末、子どもたちと代々木公園に出かけると、たくさんの大人がスマホをかざして歩いたり座ったりと異様な光景がひろがっていた。話題のポケモンGO狂想曲だ。

ポケモンゲットにいそしむ大人たちを横目に、うちの家族は、プロ・ナチュラリストの佐々木洋氏が講師をつとめる「ナンコレ生き物探検隊」というワークショップに参加した。都心のど真ん中にある代々木公園でも、珍しいスズメガとその幼虫や、幼虫から成虫に孵化する瞬間のセミなど多くの生き物をゲットして、子どもだけでなく大人も楽しい2時間だった。佐々木氏曰く、これこそ「リアルポケモンGO」で、「なんだこれ!?」という生き物を見つけ出して、調べたり知識を得たりする行為はゲームのようにおもしろい。

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ところで、ポケモンの開発者として知られる田尻智氏も幼少期は昆虫採取に明け暮れ、「虫博士」と呼ばれていたそうだ。WIREDは、「ポケモンGO」のベースには「博物学の楽しさ」があるとして、この田尻氏の幼少期のエピソードや、ダーウィンが昆虫オタクだったこととポケモンGOについて論説している。

たしかに、街や公園に出て、モンスターたちをゲットするポケモンGOと昆虫採取には多くの共通点がある。その開発の原点には、幼少期の昆虫採取の体験があったのかもしれない。

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

『バカの壁』で有名な解剖学者の養老孟司氏や脳科学者の茂木健一郎氏、生物博士の福岡伸一氏も大の昆虫好きだったことで有名だ。昆虫採取は好奇心(CQ)を伸ばし、興味のあることをじっくり観察したり、より深く調べたり分類したりする力を伸ばすのに効果的な遊びであり、楽しい学びだ。養老氏曰く、その観察眼こそが研究者にも必要な「虫眼」であり、茂木氏曰く、飛んでいるチョウやバッタを捕まえる感覚こそが、偶然の機会を逃さずにチャンスを掴みとる「セレンディピティー」という。その点については拙著『一生伸び続ける人の学び方』でも詳述した。

一生伸び続ける人の学び方

一生伸び続ける人の学び方



ポケモンGO狂想曲が歩きスマホの事故を多発させる社会問題に留まるのではなく、部屋の外にかくれた何か(生き物だったり、自然の変化だったり、何気ない人々の姿)を見つけ出す好奇心を伸ばす一つのきっかけになるとよいのだが、と思う週末の代々木公園だった。

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2016-07-23

イチロー3000本安打と失敗から学ぶ力


イチロー選手のメジャーリーグ3000本安打が目前に迫っている。毎日のカウントダウンが気になり、ヒット数を重ねるたびに嬉しい気持ちになる。今回の記録達成のすごいところは、長年の間一切のけがなく現役を第一線で続けてきたことに加えて、ここ数年間の成績不振を乗り越えて、打率や出塁率など見事に復調している点だ。

イチロー選手は、自らの失敗に対して真摯に向かい、その原因を冷静に分析し、そこから克服方法を学ぶ力が非常に高いように思う。

2013年、イチロー選手が日米通算4000本安打を達成したとき、記者会見で大変示唆深いことを話している。

「ヒットを打ってきた数というよりも、こういう記録、2000とか3000とかあったんですけど、こういうときに思うのは、別にいい結果を生んできたことを誇れる自分では別にないんですよね。誇れることがあるとすると、4000のヒットを打つには、僕の数字で言うと、8000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思いますね。(中略)
これからも失敗をいっぱい重ねていって、たまに上手く行ってという繰り返しだと思うんですよね。何かを、バッティングとは何か、野球とは何か、ということをほんの少しでも知ることが出来る瞬間というのは、きっと上手く行かなかった時間とどう自分が対峙するかによるものだと思うので、なかなか上手く行かないことと向き合うことはしんどいですけど、これからもそれを続けていくことだと思います。」

イチロー選手は、4000本のヒットを重ねていく過程で、8000回以上の悔しい思いをし、その失敗に対して真摯に向き合ってきている。そのことこそがイチロー選手の誇りだという。

このエピソードについては、新著『一生伸び続ける人の学び方』で、失敗しても学び続けて必ず実現させる「実現力」を紐解いた章で紹介した。

一生伸び続ける人の学び方

一生伸び続ける人の学び方



同著で紹介しているが、『Harvard Business Review』は、2011年4月号において、「THE FAILURE ISSUE」(日本語版は2011年7月号「失敗に学ぶ人 失敗で挫折する人」)という失敗をテーマにした特集号を組んだ。そこで、ハーバード経営大学院のエイミー・C・エドモンドソン教授は以下のように述べている。

「失敗はすべて悪いという根深い考え方が、組織が失敗から学ぶことを妨げている。しかし、失敗は将来の飛躍のための知の源泉である。失敗の原因や経緯をきちんと理解すれば、責任のなすり合いを避け、失敗から学ぶための効果的な戦略を立てることができる。失敗から学ぶためには、失敗を早めに発見し、徹底的に分析し、失敗を生むための実験や試行テストを設計することだ」


そして、基礎科学研究では実験が時に大成功を収めるものの、その大部分(分野によっては70%以上)は失敗に終わる例を挙げ、効果的に失敗から学習するために、体系的な実験を通じて正しい場所で、正しいタイミングに、戦略的に失敗を生み出すことの重要性について強調する。失敗がつきものであることを理解し、どのような失敗も貴重な情報を伝えてくれることを理解する必要がある。

スポーツでも、ビジネスでも、学術研究でも、そして個人の学びにおいても、失敗の原因を徹底的に研究分析することは、効果的に学習し、新しい研究や事業を進め、物事を実現させるうえで必須のプロセスだ。勉強でも勉強以外のことでも、実現力の高い人は、失敗から学ぶことを決しておろそかにしていない。

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CQがIQ,EQと同じくらい大事な時代に

2016-07-16

CQがIQ,EQと同じくらい大事な時代に


2014年8月、『Harvard Business Review』に「Curiosity Is as Important as Intelligence(好奇心は知能と同じくらい重要だ)」というエッセイが掲載され、話題を呼んだ。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のビジネス心理学教授トマス・チャモロ=プレミュージック博士の寄稿によるものだ。

「CQ=Curiosity Quotient(好奇心指数)」の高い人は、ハングリー精神をもち、より探求欲があり、新しい経験に対してオープンである。そして、目新しいものに興奮しやすいが、決まったルーチン作業には飽きやすい。反体制であるが、独創的なアイディアをたくさん生み出す。複雑性の高まる時代を生き抜くうえで、CQは、IQ=Intelligence Quotient(知能指数)やEQ=Emotional Intelligence Quotient(こころの知能指数)と同じくらい重要だと説く。CQの高い人は、回答がすぐに与えられない曖昧な状態にも耐えられる、そして、フォーマルな教育の場以外でも、知的投資を惜しまず、常に知識を得ようとする。CQは複雑な問題に対してシンプルな解決法を導き出す究極のツールであるというのだ。

EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)

EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)

教育の世界では長年IQが重要視されてきたが、ダニエル・ゴールマンの著書『EQ〜こころの知能指数』が500万部の世界的ベストセラーとなった1990年代、新たな概念として「EQ」が注目された。EQとは「知能テストで測定されるIQとは質の異なる頭の良さ」で、自己認識力、決断力、自制心、ストレス等を制御する能力、やり抜く力、他人への共感力、社会的適性などを指す。これらのEQの概念は、教育経済学では「非認知能力」と呼ばれ、学術的にもその効果が検証されてきている。

EQが世界的に注目され、脚光を浴びたのは、1990年代、冷戦終結後も世界各地で紛争が多発し混沌としていた時代だ。日本ではバブルが崩壊し、失われた10年を迎えていた頃、EQの概念が社会により求められていたのかもしれない。それから21世紀に入り、IT革命を機に社会のあり方が大きく変化し、そのスピードが加速化している。今、「EQ」の次に注目され始めているのが、「CQ=好奇心指数」なのだ。

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』は、21世紀の象徴的変化を表現し、全米で300万部の大ベストセラーとなった。通信テクノロジーの出現によって、個人の生き方から企業のビジネスモデル、国家のシステムまで猛烈な勢いで変わろうとしている様を綿密な取材によって明らかにし、その世界の仕組みの大きな変化を「世界がフラット化」していると表現した。フリードマンは同著で「フラット化する世界」における新しい学びのあり方についても触れ、「仕事、成功、学科の分野、趣味ですら、好奇心と熱意がさらに重要になる。なぜなら、フラットな世界には、好奇心とそれを抱く人間の奥行きや幅をどんどんひろげるツールが山ほどあるからだ」と説いている。そして、IQよりもCQ(好奇心指数:Curiosity Quotient)とPQ(情熱指数:Passion Quotient)がもっと大きな意味を持つとし、新たな概念を提示した。これからの最も重要な能力は「学ぶ方法を学ぶ」という能力であり、「学ぶ喜び」を知ること、学ぶことが好きになることだと力説している。

21世紀を代表する企業といえば、グーグルはその一つに入るだろう。そのグーグルが、採用で最も重視するスキルは何か。人材開発部長のジュディ・ギルバート氏は以下のように語っている。

「もちろん賢いことは重要だ。でも知的好奇心のほうがもっと重要だ。グーグルで成功する人は、すぐに行動を起こしたがる傾向がある。壊れている物を見つけたらすぐに直すような性格だ。問題を見つける能力も重要だが、見つけた問題について不満を並べたり、誰かがそれを解決してくれるのを待っていないこと。『どうすればもっとよくできるだろう』と自問すること。それからすべてにおいてコラボレーションが必要不可欠だ。周囲に多様な専門性を持つ人がいることに気がつき、彼らから学ぶ能力がある人物を私たちは高く評価する。」(トニー・ワグナー著『未来のイノベーターはどう育つのか』より)


一生伸び続ける人の学び方

一生伸び続ける人の学び方



IT革命によって劇的な変化がもたらされている新しい時代において、今、ビジネス、教育、心理学と様々な分野において、「好奇心」が注目を浴び始めている。すべての学びにおける原動力となる好奇心の重要性と、好奇心を高める方法について、新著『一生伸び続ける人の学び方』で、最新の研究事例や各種のデータなどを使って詳しく紐解いているので、ご関心のある方はぜひ読んでみていただきたい。
(『一生伸び続ける人の学び方』より一部抜粋・編集)


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2016-07-11

『一生伸び続ける人の学び方』発売開始!

一生伸び続ける人の学び方

一生伸び続ける人の学び方



遂に新しい本が発売開始となりました!

共著も含めると10冊目の本になりますが、今までで一番力を込めて書いた渾身の書籍です。

独学で東大・ハーバードに合格し学んだ私自身の経験のみならず、それらの大学や世界の各界で出会ったトップリーダーたちの学びにおける共通点、四人の子どもの子育てから得たインスピレーション、最新の教育理論やデータを豊富に盛り込んで、これからの時代に必要な学びの極意をまとめました。

新しい世界を見出す「好奇心」
物事の本質を見抜き、自ら考え抜く「思考力」
形あるものを生み出し、失敗しても結果を出す「実現力」

学生もビジネスマンも、子育て中の親にとっても何らかのヒントになるのではと思います。
ぜひご一読いただき、Amazonなどにレビューを書き込んでみてください!