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本山勝寛: 学びのすすめ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2016-09-22

リオパラリンピックを振り返る


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リオ2016パラリンピックが閉会した。東京2020の前の大会として、日本でもこれまでにない注目度の高い大会となった。開会前はチケットの売れ残りと資金不足が心配されたが、結果的には合計210万枚のチケットが売れ、ロンドン2012大会に次ぐ2番目の規模になった。

現地に観戦視察に行った立場からも、ブラジル人の国民性もあいまって非常に盛り上がりのよい、まさに「祭典」という言葉がふさわしいイベントだったと感じた。複数競技が行われたメイン会場のオリンピックパークでは、一日最大17万人の来場があり、オリンピックを超える記録も出たほどだ。会場全体がまるでテーマパークのような雰囲気だった。

一方で、後半帰国後に、日本でテレビや報道をみた立場からは、パラリンピックの情報はこれまでになくかなり充実していたものの、日本国内の盛り上がりはオリンピックほどではなく、現地の熱狂感が地球の裏側まで伝わりきっていないようにも感じた。中継はNHKとスカパーのみに絞られ、報道や情報番組の取り上げられ方も、オリンピックのときのようにどのチャンネルを回しても、というわけではなかったようだ。2020そして、それ以降にはオリンピックと同じくらい各局で扱われるようになることを期待し、また要望したい。

競技結果から見ると、メダル数はロンドンを大幅に上回ったものの、金メダルゼロという結果に終わった。国枝選手のけがが重なってしまうなど不運な部分もあるが、全体としては選手の練習環境、コーチ陣の体制強化、国際試合への参加の促進など、より強化していけることはあるだろう。

とはいえ、ボッチャでは団体で初めての銀メダル、ウィルチェアーラグビーでも初の銅メダルを獲得するなど、各競技で大きな成果があったことも確かだ。また、メダルの有無にかかわらす、選手一人一人が全力で高いパフォーマンスを見せてくれたことに、心から敬意の意を表したい。私も現地でのどをからすほど応援させていただいたが、ほんとうに楽しい時間だった。

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現地では老若男女、障がいの有無をこえて、たくさんの人たちが心からパラリンピックを楽しんでいた。そして、ハードとソフトにおいてバリアフリーの進展が随所で見られた。

パラリンピックには社会を変える力がある。四年後の東京2020パラリンピックが、日本の社会を変える大きな力になることを期待したい。

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リオデジャネイロパラリンピック2016報道写真集

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2016-09-11

パラリンピックが面白すぎる件

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リオデジャネイロに来ています。現地でパラリンピックを観戦しています。めちゃくちゃ面白いです。

日本でもNHKで主要な競技が中継放送され、各局でもニュースや特番で取り上げられているかと思います。初めて、パラリンピック競技をご覧になられた人も多いのではないでしょうか。

リオ現地では、子どもからお年寄りまで、様々な障がいのある人たちも、たくさんの人たちがこぞって競技会場を訪れ、大熱気に包まれています。ブラジルの国民性なのか、自国選手が出場すると、会場に大歓声が鳴り響き、ウェーブが次々におこり、まるでサッカーワールド杯のような雰囲気です。ブラジル以外の選手たちにも、熱いエールが送られ、選手もファンも一体になって楽しんでいます。昨日は複数競技が行われているオリンピックパークだけで167,000人もの観客が訪れ、なんとオリンピックの記録15万人を更新したそうです。

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障がいのあるアスリートがみんなにとって国を代表するヒーローで、いろんな違いを超えて誰もが興奮するくらい楽しんで輝いています。ああ、これがインクルーシブな共生社会なんだな、こういう世界が普段の社会になれば、よりよい世界になるんだろうなと実感します。

4年後には東京でこのパラリンピックが開催されます。東京でもこんな大会が行われると思うと、今からワクワクしてきます。リオもまだ始まったばかり。日本人選手たちも活躍しています。ぜひテレビで観戦し、日本から熱い応援を送って下さい。

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2016-09-05

好奇心の育て方

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7歳の息子が初めて本を書いた。タイトルは『ザリガニかんさつの本』。夏休みの自由研究の成果だ。

小2になった息子は生き物が大好きだ。毎日暇があれば外の草むらに虫取りに出かけ、飼育しているカブトムシやノコギリクワガタ、ザリガニの様子を眺めている。ザリガニは、近所の公園でつかまえたものだ。都心のど真ん中でザリガニをゲットするのに、親子で合計10日くらいはチャレンジしてようやく釣れたシロモノだ。

自由研究は息子本人が自ら題材を決め、ほぼなんの指導もせずに、いろんなエサをあげてみたり、脱皮の様子を観察したり、本で調べたりしながら、『ザリガニかんさつの本』を楽しそうに完成させていた。そんな息子をみていると、ほんとに生き物が好きなんだなということを実感する。そこまでなるには、夏の猛暑のなか、蚊に刺されながらも虫探しに付き合い、一緒になって興奮する親の存在も大きかったとは思う。

物事に関心を持ち、調べ、探求する力は、学校の勉強だけで育つものではない。最近は、自由研究まで宿題代行サービスで外注してしまう親子もいるようだが、まったく話にならない。一生ものの本物の学ぶ力をつけるには、子どもが生来持っている強い好奇心を伸ばし、育てることが肝要だ。

一生伸び続ける人の学び方

一生伸び続ける人の学び方



拙著『一生伸び続ける人の学び方』では、複雑性が増し技術革新が加速化するこれからの時代には、好奇心=CQ(Curiosity Quotient)が、IQやEQと同じくらい重要であると欧米で注目されはじめていることを紹介した。これからの時代は好奇心をいかに育て、そして大人になってもいかに好奇心を持ち続けることができるかが、ビジネスでも勉強でも成功の鍵になってくるだろう。

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2016-09-01

五輪は終わったけどパラリンピックはこれからです

リオオリンピックが日本人選手の大活躍と安倍マリオの閉会式で、大いに盛り上がって終わりました。感動シーンのダイジェストや選手のエピソードなどの特番も一通り放映され、リオ五輪も終わってしまったなあというお気持ちの方も多いかもしれません。

続いて夏の風物詩24時間テレビも放映され、NHKの障害者バラエティー番組「バリバラ」から「障害者を描くのに感動は必須か?」と挑戦状をたたきつけられ、大いに盛り上がりました。24時間TVが終わり、9月に入り、夏が終わったなあと感じている方が多いかもしれません。

しかし、リオオリンピックは終わっても、24時間テレビは終わっても、まだリオパラリンピックはこれからが本番です。

今回のパラリンピックは、次回に東京2020パラリンピックが開催されることもあり、日本メディアも注目度が高く、NHKやスカパーではかなりの時間ライブ中継もあり、民放でも特番が放送される予定です。私の勤める日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)でも、リオ特設サイトで競技日程や各局の放送予定をまとめているので、現地に行けなくてもテレビを通してぜひ観戦・応援してみてはいかがでしょう。

巷では、「24時間テレビを流すよりも、パラリンピックを24時間テレビで流す方が、ずっと障害者理解につながるのでは」なんていう声もあります。オリンピックと同様に、日頃のトレーニングで磨き上げられた身体能力を持つトップアスリートたちの競い合う姿は、かっこよく、またスポーツとしての魅力が溢れています。

なかにはパラリンピック独自の競技もあり、個人的には女子日本代表チームがロンドンで金メダルを取ったゴールボールがオススメです。アイシェードの目隠しをして鈴のなる重たいボールを投げ、音をたよりに止める競技。実は、そのゴールボールのゲームアプリも最近開発して、リリースしたところです。画面が真っ暗になり、音だけをたよりにプレイするリアルモードも選択でき、選手の疑似体験もできます。コチラのサイトから無料でダウンロードしてプレイできるので、ぜひ挑戦してみて下さい。ゲームアプリのPVは以下からご覧いただけます。

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リオパラリンピックは現地で9月7日、日本時間で9月8日開幕です!

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一生伸び続ける人の学び方

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2016-08-09

イチローは長期の集中状態「フロー」に入っている


イチロー選手が遂に、メジャーリーグ3000本安打を達成した。その偉業に心からお祝いしたい。先日の達成前にも「イチローの失敗から学ぶ力」について記事を書いて、カウントダウンを毎日楽しみにしていたが、想像以上に長くかかった3000本達成には非常に感銘を受けた。

イチロー選手のインタビューはすべて味わい深いが、特に印象的だったのが次の言葉だ。全文掲載をしているFull-Countから引用する。

――3000安打を達成した率直な気持ちから。
「この2週間強、ずいぶん犬みたいに年取ったんじゃないかと思うんですけど、あんなに達成した瞬間にチームメートたちが喜んでくれて、ファンの人たちが喜んでくれた。僕にとって3000という数字よりも僕が何かをすることで僕以外の人たちが喜んくれることが、今の僕にとって何より大事なことだということを再認識した瞬間でした」


チームメートやファンに感謝の言葉を述べるのは、アスリートにとってごく普通のことだが、普段独自の表現で会見を行うイチロー選手が何よりも先にこういったことを口にすることは意外にも思えた。しかし、その言葉が、3000本達成直後の三塁上でのチームメートとの喜びようや、その後のベンチで、ひそかにサングラスの下から涙を流した姿をみると、それが本心から出てきたものであることが感じられる。「僕が何かをすることで僕以外の人たちが喜んでくれることが、今の僕にとって何より大事なこと」。イチロー選手は、自分自身の数字という以上に、自身の闘いがより大きな何かの一部のように感じられたのではないだろうか。

この会見を聞いて、私はチクセントミハイ教授の「フロー」の概念を思い出した。米国の心理学やビジネス界で注目されるこの概念は、新著『一生伸び続ける人の学び方』でも触れたが紹介したい。

一生伸び続ける人の学び方

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シカゴ大学やクレアモント大学院大学で心理学教授を務めたミハイ・チクセントミハイ氏は、何かに没頭し極度の集中状態に入っていることに対して、「フロー」(または「ゾーン」と呼ぶ)という概念を提唱した。2008年に行ったTEDのスピーチ(300万回以上視聴)で、あらゆる職業の人たちに8000回以上のインタビューを行った結果、文化や受けてきた教育に関わらず、人がフローに入るときの条件として、以下の7つの条件が挙げられると説明している。

1)自分が何をしたいのか分かっていて、
2)ただちにフィードバックが得られること、
3)何をする必要があるか分かっていて、
4)それが難しくても可能なこと、
5)時間の感覚が消失すること、
6)自分自身のことを忘れてしまうこと、
7)自分はもっと大きな何かの一部であると感じること


1)〜6)は、よく目標達成や集中力を高める観点からよく指摘されるポイントだ。イチロー選手がこれまでことごとく記録を塗り替えてきた力の源泉もそこにあるように思う。今回のイチロー選手の姿から感じたのは、最後のポイント、「7.自分はもっと大きな何かの一部であると感じること」だ。

チクセントミハイ教授はTEDのスピーチで、ソニーの創始者である井深大の言葉を例に挙げ、次のように語っている。「彼はソニーを始めたばかりでお金もなく、製品もなく、何もない状態でしたが、アイディアがありました。彼のアイディアというのは、エンジニアが技術革新の喜びを感じられて、社会に対する使命を意識して心ゆくまで仕事に打ち込める仕事場を作り上げるというものでした。『フロー』が職場でどう実現されるのか、これ以上よい例を思いつきません。」この「社会に対する使命を意識して」という部分が、「大きな何かの一部であると感じること」につながるのだろう。つまり、技術革新によって社会がより便利になり、人々の暮らしが向上し、発展することの意味を感じて、自分の取り組んでいることがその大きな発展や進歩の一部であることを感じられることが、「フロー」につながるわけだ。

イチロー選手の場合、「僕が何かをすることで僕以外の人たちが喜んでくれることが、今の僕にとって何より大事なこと」と思えることが、自分自身の記録という数字以上に、もっと大きな何かの一部であると感じられ、それが力の源泉となり、極度の集中を生む長期フロー状態へと導いている気がするのだ。

数日間あるいは数ヶ月間、極度の集中状態「フロー」に入ることは、比較的多くの人が達成している。しかし、挫折やスランプをこえて、20年以上もの長期間「フロー」に入る超一流の人は、自分自身の歩みが自分を超えた大きな何かの一部であることを感じ、その大きな何かに背中を押されるような感覚の境地に入るのかもしれない。

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