Hatena::ブログ(Diary)

USHINABE SQUARE〜クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味のブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-02-15 『きっしゃん』で「一人焼肉」ランチ

『きっしゃん』で「一人焼肉」ランチ

| 23:21 | 『きっしゃん』で「一人焼肉」ランチを含むブックマーク


その日は連休の最終日だった。連休なのにたいした用事をせずに、休みの最終日を迎えていた。


遠くに行けば、相応に充実した一日を過ごせそうだが、翌日の仕事に障りそうだ。かといって家で寝ているのも勿体ない。そうこうしているうちに時間が無情に過ぎていく。せめて、何か、旨いものを食べよう。そうだ、肉にしよう。焼肉を食べに行こう。とはいえ、そんな急な思い付きに付き合ってくれる友達も家族もいなかった。第一、その日は私の休日であっても、世間は平日だったからだ。


そもそも私は「一人焼肉」が好きで、時々、思い出したように一人で行っている。「一人焼肉」とは文字通り、一人で食べる焼肉のことだ。焼肉という、大勢で集まることのできるイベントを、たった一人で孤独に楽しむ。そんな寂しい、「一人焼肉」を、私は、よくあるカウンターの、一人向けの店の、いわゆる焼肉定食ではなく、大勢で来られることを想定した焼肉屋でおこなっている。多くの場合、周りは宴会、横を見ると家族、なんとなくアウェイ、という環境の中、最初の時は、場違いなように自分でも感じられたが、何度も行くうちに抵抗がなくなった。ホームかアウェイかは気分の問題、というのが私の結論だ。


私は、休みの最終日に、突如、焼肉を食べに出掛けて行った。なんばまで行って、高島屋のエスカレーターで8階に上がる。向かったのは『きっしゃん・なんば店』という店だった。


『きっしゃん』の本店は大阪の西中島にある。私が知っているのは、なんばの高島屋天王寺の近鉄百貨店にある店舗だ。店の前を通ったことはあるが、入るのは初めてだ。内容的には、高級店に属するのかもしれない。佐賀牛をメインにA5ランクの国産牛を一頭買いしているらしい。デパートの中の店舗ということもあって、大阪鶴橋焼肉屋が密集するエリアの店のような座敷で食べるのとは雰囲気が違う。雰囲気はお洒落で、『叙々苑』(よりは安いが)みたいな感じだろうか。


店に入るとまず、テーブルが目に入る。二人掛けの席が多く、一人での食事が苦手な人も大丈夫なはずだ。実際、ランチタイムは、ハンバーグの定食などもあって、一人客も多かった。女性の一人客もいたので、女性にも入りやすい店だと思う。他には、私のように、一人黙々と焼肉を食べる男性客、買い物の途中らしい年配の女性、30代くらいのカップル、年配の夫婦という客層だった。人気店だが、平日であり、混雑していなかった。


私は、3,800円(税抜き)の『一頭ランチ』を注文した。 様々な部位がセットになっているランチ限定のメニューだ。内容は、焼き物としては、クラシタ、和牛赤身ロース、特上カルビ、特上サーロイン、野菜に、サラダ、スープ、牛肉のしぐれ煮とキムチ、そして最後にデザートが付く。 


f:id:ushinabe1980:20170117112757j:image:w450


タレは、特製の焼肉だれに加え、塩だれ、ポン酢が用意される。付き出し的なキムチ牛肉のしぐれ煮。それだけでご飯一杯は食べられる。肉が来る前に、ご飯が進んでしまう。


f:id:ushinabe1980:20170117113039j:image:w450


肉が出てくる。すごい肉だ。霜降りの上等な肉だ。ステーキにも使えるような、見るからに高そうな肉。3,800円というとランチにしては高価だが、夜に同じ内容を食べたら、倍近くかかるのではないか。ランチはリーズナブルだ。


肉はたれに漬け込んでおらず、塩コショウで最低限の味付けがされているだけだ。塩コショウでそのまま、肉自体を味わっても良いし、3種類のたれを好みで選んでも良い。


焼くのが勿体ないが、焼かなければ始まらない。焼肉は、複数で来ると最初は集中して焼いていたのに、最後の方は食べることが第一目的であることを忘れたように、焦がしてしまったりすることがあるが、一人だと肉に集中できる。


脂が多めなのですぐに火が通る。口にいれると、普通の肉ではない。私が普段食べているような肉ではない。肉を極めると肉でなくなる。出来立ての豆腐のような柔らかさ。そして甘い。これは、なかなか味わえない肉だ。なんとも贅沢。


肉を焼いている時、私はなぜかガラス職人とか、そういった類の職人になったような気持ちだった。経験と技術を駆使して、肉に向き合う。周りは目に入らない。大体二枚一セットで焼いていく。それでも多いくらいだが、これが三枚となると追い付かないし、一枚なら時間がかかる。二枚一セットというのが私のテンポだ。


火加減と、鉄板の状態によって、状況が変わる。一枚目と二枚目では違う。表と裏でも焼く時間が違う。表は丁寧に、裏は適度に。間に1ミリ〜2ミリくらい赤い部分が残る程度が私の好みだ。自分の技術の確かさを確認する。出来上がった肉を見て、やり方がどうだったのか顧みる。職人のように。


3種類のたれはどれもオリジナリティーがあった。塩だれは、珍しいのと、素材を引き立てる感じ。焼肉ポン酢というのはあまり私は好みではないが、この店ではありだ。肉がこういう肉なのでさっぱりした味付けが合っていた。特製の焼肉のたれは王道で、最後はこれで締めようと思った。


良い肉すぎて、大体、3〜4枚食べたところで満足しているのだが、まだ折り返し地点まで来ていない。そして(一人なのに、あってはならないことだが)少し焼き方が雑になっていく。いま惰性になっている。心の声が警告する。なかなか最後まで集中してできない。職人としてはまだまだだ。しかし一回反省すると次はまた上手に焼くことができる。ご飯が足りなくなったのでお代わりをもらう。


最後の肉を焼き終えて、お代わりしたご飯もなくなる。肉を食べ過ぎた。好きで食べに来たのに、肉を嫌いになりそうだ。デザートが運ばれてくる。焼肉を食べ終えた時、最後に必ずこう思う。もう当分、焼肉は食べたくない。しかしきっと2〜3週間もすれば、また焼肉を食べてくなっていることだろう。そんなふうにして、その他にたいしたことのなかった連休の最後の日、「一人焼肉」という充実した出来事が終わった。


f:id:ushinabe1980:20170117113043j:image:w450


【黒毛和牛焼肉 肉處 きっしゃん なんば店】

住所/大阪府大阪市中央区難波5-1-18 なんばダイニングメゾン 8F

営業時間/11:00〜23:00(L.O.22:00)ランチは11:00〜16:00

桃りん桃りん 2017/02/16 12:16 尊敬します。絶対一人ではいけない。2枚焼きも凄い。

ushinabe1980ushinabe1980 2017/02/20 10:34 桃りんさん、コメントありがとうございます。人気のカフェよりも焼肉屋は一人で行きやすいです。

2017-01-29 ゼンハイザー『MOMENTUM On-Ear Wireless』

ゼンハイザー『MOMENTUM On-Ear Wireless』を買った

| 13:08 | ゼンハイザー『MOMENTUM On-Ear Wireless』を買ったを含むブックマーク


ゼンハイザーBluetoothヘッドホン『MOMENTUM On-Ear Wireless』を買った。耳は一組しかなく、去年の冬にゼンハイザーDENON、夏にBOSEヘッドホンを買ったというのに、私の物欲は留まることを知らない。興味があるとすぐに買ってしまう。困ったことに、買って試してみると、それぞれ良いものであり、後悔がないので、そのことを繰り返す。


→2016年8月18日のブログ「Bose『Quiet Comfort 25』」

→2016年3月13日のブログ「ゼンハイザー『HD598』/DENON『MM400』」



最近、Bluetooth界隈の盛り上がりが凄い。スピーカーも魅力的な製品がたくさん出ているし、イヤホン、ヘッドホンも豊富な選択肢が用意されている。私のスマホiPhone7ではないのでイアホンジャックがないわけではないし、そもそも音楽iPod touchでよく聴いているので、特に不便もなかったのだが、Bluetoothで聴く音楽への興味が勝った。


梅田のヨドバシカメラで視聴してみて、私が買える範囲で最良のものとして、ゼンハイザーの『MOMENTUM On-Ear Wireless』を選んだ。まず、モノとしての存在感がよかった。なかなかこんなデザインはない。そして色が独特だ。「持っているだけで嬉しい」タイプの製品だ。そして肝心の音質は、想像以上だった。


音質は、低音域が若干強めのように感じられるが、不自然さを感じるほどではない。かと言って、中音域や高音域が弱いかと言われるとそうではなく、しっかりと張りのある音が鳴る。全音域に渡って、パンチが強く、元気な音だ。


f:id:ushinabe1980:20170129110610j:image:w450


ノイズガード機能は、BOSEの最新の機種と比べると劣るが、数年前のSONYのノイズキャンセリングイヤホンのレベルを凌駕している。私がヘッドホン、イヤホンのノイズ除去の効き具合を測るものとして、感覚的なものであるが、「地下鉄クラシック音楽ピアノソナタを聴くことができるか」という基準を持っているが、それをじゅうぶんクリアしている。先日も、大変に混雑し、騒音の多い地下鉄のなか、ひとり、静かな環境で、ベートーヴェンピアノソナタを堪能した。


そしてBluetoothの違和感がなかったのは嬉しい誤算だった。地下鉄で聴いていても途切れることもなく、コードを挿すのに比べて、音質が劣化しているような感覚もなかった。



ヒラリー・ハーンシベリウスヴァイオリン協奏曲を聴いてみると、あまりの迫力に、この小さなヘッドホンから音が出ていることが信じられなかった。音響の良いコンサートホールで聴くような、広がりのあるオーケストラのサウンドと、伸びやかで自由なハーンのヴァイオリンが抜群の調和を聴かせる。いやこのスケールの大きさは、コンサートホールどころではなく、冬の北欧の自然だ。時折、トナカイが姿を見せるような、雪深い森の中に、一人置かれたような気持ちだ。時間を忘れ、このヘッドホンが表現する世界に浸ってしまう。


ヒラリー・ハーンクラシック音楽だが、他にも、ジャズポップスロックなど、何でもオールマイティーにこなす。サイズの制約を感じさせない。この小さなヘッドホンから、これほど本格的なサウンドを聴くことができるとは思わなかった。

2017-01-18 梅田『マルマン』のミックスグリル

梅田『マルマン』のミックスグリル

| 21:11 | 梅田『マルマン』のミックスグリルを含むブックマーク


時々、『マルマン』のミックスグリルを無性に食べたくなる。


特に仕事漬けで、昼食をファーストフードで済ませたり、ろくに昼食を採れなかったりした毎日のあと、たまの休みにはわざわざ梅田まで食べに行く。新梅田食道街にある『マルマン』は、しっかり食べたいというときに選ぶ店だ。ちなみについ最近書いたステーキの『スエヒロ』も同じ新梅田食道街なので近くである。


→過去の記事「新梅田食道街『スエヒロ』のステーキ」はこちらから


マルマン』については過去にこのブログで書いたことがある。その時は、「Aランチ」について書いた。今日は、「ミックスグリル」について書いてみたいと思う。


→過去の記事「『レストラン・ マルマン』のAランチ」はこちらから


◇  ◇  ◇


マルマン』のミックスグリルを食べたい。数日間、そういう欲求が沸々と沸いてきた。『マルマン』のミックスグリル。この店に初めて行った時から、今に至るまで、『マルマン』でしっかり食べたいときに選ぶ、私の中の王道メニュー。この店のメニューの中ではやや高価なので、いつもはAランチだが、お腹が相当空いている時にはミックスグリル、というようにしていた。


よくファミレスなどではミックスグリルというと、ハンバーグにチキン、ソーセージのグリルというのが定番かもしれないが、『マルマン』のミックスグリルは、それに比べると、大変バラエティーに富んだ、ミックスグリルだ。その内容は、牛肉と豚肉、鶏肉、イカ、海老のグリル料理が「皿狭し」と盛り付けられている。


休みの日、私は『マルマン』に出掛けていった。


店内は、流行りのオシャレ洋食みたいに洗練されているわけではなく、定食屋という風情で、いつも混んでいる。場所柄、サラリーマンが多い。昼食時などは、10名弱くらいの行列ができている。安くて、美味しくて、量もたっぷり。メニューも豊富だ。


f:id:ushinabe1980:20170109112423j:image:w450


11時の開店と同時に私は入る。私が最初の客だった。空いていればどこに座っても良い。4人掛けに座るのも自由だし、敢えてカウンターにするのも自由だ。しかし、混んでいたら、当然のように相席にされる。こちらが新たに訪れた場合だけでなく、すでに食べている時でも、混んでいたら、こちらの許可なしで、見知らぬ人が私の向かいに案内されることもある。確かに客の回転が速い。水が出て、注文を取りに来て、料理が出てくるタイミングも全て早い。その効率性を重視した方針は、ここまで徹底されていると潔いほどだが、私のような相席嫌いなら、開店直後に入ればよいだけなので、11時の開店直後に入店した。11時半くらいまでならそれほど混まないので、相席にされることはあまりない。


f:id:ushinabe1980:20170109110911j:image:w450


まずサラダが提供される。A〜Cランチまでならワンプレートだが、ミックスグリルやその他の洋食メニューは別皿で出される。しかし、A〜Cランチではスープが付くのに対し、こちらは付かない。


f:id:ushinabe1980:20170109111341j:image:w450


そしてメイン料理である、ミックスグリルが提供される。この店のメニューの中では高価とはいえ、ライス、サラダ付きで1,100円である。いつもながら、けっこうなボリュームだ。時々しか行かない店について、記憶の中では見かけ(や味)を美化してしまうことがよくあるが、久しぶりに行っても同じ印象だ。全部食べて漸く満足するというくらいの量ではなく、二つでメインを張れるくらいの大きさだ。



まず海老からいただく。海老は太さはそれほどでもないが、長さが結構ある。海老はフライも良いが、グリルも良い。私は海老をウォーミングアップに見立てて、本格的に味わっていく。


軽い気持ちで海老を食べ終わっても、イカ、チキン、豚、牛肉が丸々残っているのが嬉しい。チキン、豚、牛肉は、柔らかすぎず、それなりの歯ごたえがある。チキンはササミのようにヘルシーな一枚肉で、一枚肉である点は豚、牛も同じ。チキンより豚が、豚より牛が、濃厚な味わいを持っている。何歳になっても肉が好きだ。3種類の肉を同時に食べられるのが嬉しい。それと、イカが案外嬉しい。タルタルソースが美味しくて、もっと食べたいほどだ。


f:id:ushinabe1980:20170109111349j:image:w450


アップで。食欲旺盛な若いサラリーマンご用達という感じだが、この店は結構年配の客も多い。知っている人が、何年間にも渡って通うという店だ。私のような男性客がほとんどで、若いカップルはほとんど見かけない。男女の二人客は、40代以上の夫婦がほとんどだ。女性の一人客はまず見かけない。


料理には特製のソースがかけられている。料理の下、皿にはソースがたまっている。しょうゆベースの和風ステーキソースみたいな、サラサラしているが、塩分のきいた濃厚なソースで、ご飯ととても合う。このソースだけ売って欲しい。


11時半に近づき、そろそろ混雑しかかってきた。既に私以外の席では相席が見られるようになってきた。しっかり食べたいと思っていた。完食した。食欲が満たされる。次の食欲旺盛なサラリーマンがやってくるかもしれない。そろそろ潮時と感じ、私は店を出た。


レストランマルマン

住所/大阪府大阪市北区角田町9-26新梅田食道街1F

営業時間/

[月〜土]11:00〜22:30(L.O.22:00)

[祝]11:00〜22:00(L.O.21:30)

定休日/日曜

2017-01-15 新梅田食道街『スエヒロ』のステーキ

新梅田食道街『スエヒロ』のステーキ

| 16:15 | 新梅田食道街『スエヒロ』のステーキを含むブックマーク


グランフロント大阪みたいな新しい商業施設もできて、梅田ランチを食べるとき、1,000円台後半から2,000円くらい普通にかかってしまう店が増えてきた。梅田に行く度にそういう店ばかり選んでいるのは、財布に優しくない。しかし、昔ながらの、庶民的で、安い店もまだ残っている。


梅田南部ダンジョンのような広大な地下街を形成している大阪第1〜第4ビルにも安く食べられる、古い店が残っている。梅田の中枢、JR大阪駅阪急梅田駅の間にある『新梅田食道街』(「食堂」でなくなぜか「食道」)も安く食べられる店が結構ある。私はそうした昔からの食堂や食堂街に、昭和の名残を感じる。まるでエアーポケットのように、都会に、「昭和」が残っている。


梅田食道街は、JR環状線の高架下に位置する食堂街で、発祥はなんと戦後すぐ。ラーメン、居酒屋、焼き鳥うどん寿司おでん、エスニック、ショットバーまで、一通り、揃っている。観光客向けにも、大阪名物のお好み焼きたこ焼きなどの「粉もん」、串カツがある。食べるもの、食べるところで迷ったら、まずここに来れば、大体の選択肢がある。私も梅田でサラリーマンをしている時には、よく通っていた。新梅田食道街は、サラリーマンのオアシス、庶民の味方だ。


先日、梅田のヨドバシカメラに行った帰りに、久しぶりに新梅田食道街の『スエヒロ』で食事をした。ステーキ店の『スエヒロ』は、高価なメニューもあり、夜は本格的なステーキハウスだが、昼なら1,000円少々で食べられる。


f:id:ushinabe1980:20161128114845j:image:w450


『スエヒロ』の入り口。看板に「ビフテキ欧風料理」と書かれている。「ビフテキ」というのが、レトロな感じがする。21世紀の言葉遣いではない。「昭和」である。「欧風料理」というのも良い。今なら、一回りして「洋食」だろう。


カウンターもテーブルもあり、一人客でも、「お好きな席に」と言われるので、私はいつも広いテーブルを選ぶ。最近の店は、効率を重視するのか、一人なら第一にカウンターを案内される店も多いが、そういう効率性を求めていないのが良い。


よく一人で人気の店に行くと、平日でどうみても開店直後で空いているのに、カウンターを案内されることが多く、客の回転とか経営の効率性とか、「この店はそういう方針なのだな」と思うことがあるが、『スエヒロ』はそういう店とは対極に位置する。一言で言うと、余裕がある。昼でもそれほど混雑しないということもあるが、ガツガツしていないところが、この店の魅力の一つだと思う。


f:id:ushinabe1980:20161128113224j:image:w450


温かいスープが嬉しい。調子に乗って、昼からワインを注文している。スープを肴にワインを飲んでいると、すぐにメインの皿が運ばれてくる。


f:id:ushinabe1980:20161128113811j:image:w450


私はステーキランチを注文した。日替わりランチは、900円からだが、ステーキランチはこの店では高価な部類に入る。それでもビーフステーキが、1,350円である。


肉と生野菜、ポテトサラダという、シンプルな盛り付け。肉は分厚いものではないが、一枚肉のしっかりとしたステーキである。鉄板焼き屋みたいな柔らかい霜降りのステーキではなく、歯ごたえのある赤身肉だ。しかしヨーロッパのビストロの気取らないランチメニューのように、オーソドックスで飽きない味だ。


f:id:ushinabe1980:20161128113816j:image:w450


ソースは、和風の照り焼きみたいなソースだ。ご飯にいったんおいて、食べる。ご飯についたソースで、ご飯も進む。肉と米を一緒に食べる。口の中でステーキ丼になる。ステーキと米の相性は最強である。


食べ終わると、もう他に特にすることはない。コーヒーが出たり、デザートがあったりするわけではないので、コートを着て、鞄を肩にかける。鞄から財布を出す。


狭いところで慌ただしく食べるのではなく、広い席を案内され、しっかり味わって食べる。ワインを飲んでもそんなに時間はかからない。待っている人もいない。空いているのに、好きでカウンターを選ぶ客もいるようだ。どちらにしても、選択肢がこちらにあるというのが良い。


『スエヒロ』は、接客もアットホームで、厨房の手際も良い。サッと店に入って食べ終わるとサッと出られるような雰囲気だ。そして私が立ち去った後の席には、次の一人客が向かっていく。


【スエヒロ】

住所/大阪府大阪市北区角田町9-25 新梅田食道街 1F

営業時間/[月〜金]11:00〜22:40(L.O.22:00)

[土]11:00〜22:10(L.O.21:30)[日・祝]11:00〜21:40(L.O.21:00)

定休日/無休

桃りん桃りん 2017/01/15 17:20 付け合わせが新鮮。関東ではあまりみません。

ushinabe1980ushinabe1980 2017/01/17 00:44 桃りんさん、コメントありがとうございます。ステーキの付け合わせのサラダがキャベツというのが珍しいですね。

2017-01-09 シフのモーツァルト・ピアノ協奏曲第20番

シフのピアノ協奏曲第20番

| 23:56 | シフのピアノ協奏曲第20番を含むブックマーク


遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いいたします。


◇ ◇ ◇


正月は家族で久しぶりに帰省した。最近新幹線にあまり乗っていないので、子供だけでなく私も少し楽しみにしていた。何歳になっても新幹線は特別感がある。


新大阪から京都を過ぎると次の名古屋まで少し時間があるので、落ち着いて音楽を聴くことができる。さて、何を聴こうか。大晦日から元旦にかけて、なにも音楽を聴いていなかった。


さて、今年は2017年。手元のスマートフォンで、「2017年」、「メモリアル」、「作曲家」で検索すると、今年は私が好きな作曲家があまりいないのだった。


モンテヴェルディ(生誕450年)、テレマン(没後250年)、グラナドス(生誕150年)がメモリアルイヤーを迎えている。他には、ゲーゼ(生誕200年)、メユール(没後200年)、コダーイ(没後50年)。あまり馴染みがない。第一、私のiPod touchの中に入っていない。


スクロールさせていって、「M」のところでふと、モーツァルトピアノ協奏曲第20番ニ短調が目に留まった。いいかもしれない。これだ。私はそういう曲を聴きたかったのだ。私のiPod touchには、アンドラーシュ・シフによるアルバムが入っていた。



モーツァルトは今年、全くメモリアルでないが、ちょうど今、モーツァルトピアノ協奏曲第20番を聴きたい気分となっていた。


モーツァルト長調でも、泣ける旋律を書けた人なので、短調となると救いがないというか、聴いていて辛くなる時もある。ピアノ協奏曲24番は悲しすぎるし、交響曲第25番も激しすぎるので、あまり好んで聴かない。しかし20番はよく聴いている。悲しげではあるが、慈愛に満ちている。また、洗練された第二楽章の存在も効いていると思う。クラシック音楽を聴きはじめたころから、一貫して、この曲を聴いている。


静かで長い序奏が始まる。ピアノはしばらく入ってこない。まるで後世のショパンピアノ協奏曲第一番のように、やや勿体ぶったタイミングで、おもむろにシフのピアノが入ってくる。雄弁ではないが、実に整ったピアノだ。


シフのピアノの魅力を一言で言うのは難しい。流れるように流麗なタイプではないし、石造りの門のように重厚でもない。ただひたすら丁寧で、誠実で、ストイックである。音色は一つ一つの音の粒が揃っていて、その輪郭も明瞭だ。いくら聴いても粗が見つからない。控えめ、というのが私が見つけ出した答えだった。


人前で演奏するピアニストに向かって、「控えめ」というのも変な例えになるが、そう感じてしまったので仕方がない。バリバリと弾きまくらないし、何というか、パーソナルな欲が感じられない。自然体で、モーツァルトが残した音だけに誠実に向き合っているように感じられる。自然の中から言葉を生み出す詩人のようでもある。


オーケストラのカメラータ・ザルツブルクのサウンドも素朴で飾りがない。映画アマデウス』で描かれた古典の風景そのままのサウンドのようだ。オーケストラピアノの調和も最高で、モーツァルトピアノ協奏曲の演奏として、これはひとつの頂点だろう。ピアノはモダンピアノだが、もしこれがフォルテピアノなら、モーツァルト自身が聴いた響きはそんな音だったのかもしれない。


あまりにも心地よくて、つい睡魔が訪れる。儚くも美しい旋律がうたた寝のBGMとなってしまった。すっかり目が覚めたときには、併録されている21番の終盤に差し掛かっていた。