「その山荘の人というのは、幸福な人であるばかりでなく、 すぐれた聡明《そうめい》な人らしいですね。 私に預けてくだすったのは男の子一人で あの方の女の子もできていたら どんなによかったろうと思う女の子をその人は生んで、 しかも自分がつれていては子供の不幸になることをよく理解して、 りっぱな奥さんのほうへその子を渡したことなどを、 感心なものだと私も話に聞きました」 こんな話を大宮はあそばした。 「女は頭のよさでどんなにも出世ができるものですよ」 などと内大臣は人の批評をしていたのであるが、 それが自家の不幸な話に移っていった。 「私は女御を完全でなくても、 どんなことも人より劣るような娘には …