宮本輝のエッセイに「雨の日に思う」(『命の器』所収)というものがあり、興味深く読みました。大学生のころテニス部に所属し、毎日のように練習に明け暮れていた宮本にとって、土砂降りの雨の日は、練習を堂々と休める嬉しい日だったといいます。雨の日は練習を休めるだけではなく、大学近くの喫茶店で仲間たちと会うのが楽しみでした。正確にいうと、仲間たちと会うことではなく、近くの女子大のテニス部の練習も休みなので、彼女たちが合流してくるのが、何よりも楽しみだったのだそうです。宮本がしみじみと語るのが、その女子大生のなかで「雨美人」と仲間うちで呼ばれていた娘のことです。テニスコートにいるときには、目立つタイプではな…