笑顔の穏やかな、物腰も丁寧な男性がいる。荒っぽい体質の職場の中でその方は誰にも平穏という四文字を想起させる。仕事中のつまらない小言なども彼に話せば心は和むし、なかなか良い職場だなとすら思うのだ。 同僚から聞いた。彼の奥様は「道の駅」で働いているよ、と。この高原はベーカリーのガイドブックがあるほどの激戦区だ。別荘に住む方か、リゾート客が買うのか、どの店もレベルが高い。近くの道の駅にバゲットならここという店がある。柔らかいバゲットは困る。カリッとこんがり焼けた外皮と焦げ目。軽いのにコンコンと音が出るほど固い。断面には大小まばらの気泡。懐かしやこれぞフランスのバゲット!この地ですらどうしたことかバゲ…