元禄16年7月4日。隼人正が少し前から瘧(熱病)にかかり、この日病状が進み、2度気を失う。未(午後1時)過ぎ、本多与兵衛・嶋松右衛門が側にいるのを見られる。暇乞いに剣術を見ることを所望され、見物する。近頃、福嶋八郎右衛門が早駆けで尾張にやって来たのは因幡の妻を離別させるための使いであった。後払いで買った借金は数知れず。隼人正はこれを聞いて気を病み、諌めようと手紙を自筆で細々書いているうちに気分が悪くなってしまった。因幡の行いの悪さはどうしようもなく、酒と女の2つに溺れ、吉原に通うことも人目を憚らなかった。去年も大金を出して京から女を呼び寄せ、江戸に置いていた。家老などが諌めたが聞き入れなかった…