家に関して、トラウマ的なものが、ある。 あるいは、あった。 子どものころ、新築の家に憧れた。なかでも憧れたのはひとり部屋で、「21せいきはひとりべや!」というプロパガンダを記したポスターを裏紙で作り、廊下に貼っていた記憶がある。 ちょっとした吹き抜け、子どもたちの個室。そんなものが揃った新築の家が完成したタイミングで、家庭が崩壊した。 だからかどうかわからないが、わたしは長じて片付けが非常に苦手で、インテリアを整えることに対して忌避意識がある人間になった。持ち家は怖い。ずっと仮住まいに住んで、安心していたい。 しかし、こんなことは言い訳かもしれない。人間はイフを生きられない。平和な家庭に育った…