仙台の旅では、話のネタになるような面白い出来事があった。旅の夜、一人で入った焼き鳥屋で、ちょっとした“小劇場”が繰り広げられたのである。 おまかせセットの罠 その店は、年季の入った、かなりディープな焼き鳥屋だった。メニュー表には大きく《とりあえずのおまかせセット》なるものが掲げられている。内容は「焼き鳥5品(指定済み)+小鉢1品+ドリンク1杯」で、値段は3,500円弱だった。 「少し高いかな」と思いつつも、面倒なので注文しようとした。だが、ふと隣席の小鉢が目に入った。なかなかにお目に掛かれない貧相な一品だった。 しかし、問題は見た目ではない。頭の中で軽く暗算する。焼き鳥とドリンクを単品で頼んだ…