かつて「人たらし」と呼ばれた天下人が、晩年に凄惨な粛清を繰り返す。名君と称えられた王が、ある日を境に側近の首を次々と撥ねる。歴史書はこれらを「権力の魔力」や「老害」という言葉で片付けてきた。 しかし、現代の脳科学の視点からこれらを再定義するなら、そこに見えるのは「人格の変容」ではなく、**「脳の物理的な故障」**である。 今回は、認知症の4タイプを補助線に、歴史上のリーダーたちが陥った「脳の罠」と、現代社会が直面している「安全保障としての脳機能」について考察したい。 1. 「破壊」を招くブレーキの消失:前頭側頭型と血管性 認知症の中でも、リーダーが発症した際に最も社会的な被害が大きいのが、前頭…