ーーーー講義録始めーーーー コレラの世界的流行とその歴史的影響 コレラは世界的に流行する感染症の一つであり、コレラ菌(Vibrio cholerae)が原因で発生します。コレラの大流行は1817年から始まった第一次パンデミックを皮切りに、1899年までに計6回の世界規模のパンデミックが発生しました。これらの流行はいずれもインドのガンジス川流域、特にベンガル地方から始まり、世界中で数百万人の死者を出しました。イギリスにおけるコレラ対策は、公衆衛生学や疫学の基礎を築く重要な役割を果たしました。 1826年頃から始まった第二次パンデミックは、アジアを超えて北アフリカやヨーロッパに広がりました。183…