本書は、タイトルにある通り、北里柴三郎と森鷗外(森林太郎)の関係性を描いた物語である。(以降、旧漢字の鷗を鴎で表記する) < あとがき > に著者は記す。 「二人は留学先のベルリンと帰国後の日本で衛生学の分野で切磋琢磨し、互いに強く意識していました。そうした痕跡はいろいろな事物の随所に点在しています。 ところが二人の交流の心情的な記録は、ほとんど見当たりません」(p448)と。 本書は、二人の交流の心情的な側面にまで踏み込んで、二人の関係性を描き挙げたフィクションである。 本書は書き下ろし作品として、単行本が 2022年2月に刊行された。 森鴎外は、晩年に史伝小説のジャンルを手がけるようになっ…