今回は、歴史に埋もれたある男について語ることにする。 太平洋戦争の敗戦により日本の国際的な立場は失墜したが、日本の国際的地位挽回のために国際科学研究プロジェクト:国際地球観測年(1957年 7月1日~1958年 12月31日)に参加することになった。 具体的には、当時、未知の大陸であった南極大陸への観測隊派遣である。南極大陸周辺は南氷洋と呼ばれ、一面氷という苛酷な環境である。当時の日本には南氷洋で活動可能な砕氷船がなかったため、第2次大戦前に建造された砕氷船を改造することにした。それが、海上保安庁所属の『宗谷』(PL107)である。南極観測までわずか2年という限られた時間の中、『宗谷』 の砕氷…