心地の良い状態に声を上げる必要はほとんど無い。 撫でる手に額を寄せる。うっとりと細める瞳の雄弁なこと。 言葉は要らない。通じ合うことがかなわないとしても構わない。 いま、このままがいい。 ゆっくり瞬きをする。 気が済んだらサッと行くのだ、どこへなりとも。 それを猫に聴く。 人も似たようなもので、むしろ発する言葉は慎重にもなるだろう。 気に入っているのだ、つるりとしたーー足が少し欠けているーー陶器のアヒル。 それを愛でるように、取り落としてしまわないように。 人を伝えるには、言葉はあまりに軽薄だ。 どこか、的外れとも言える。 道徳や期待の名を履いて、言葉はあなたへ向かう。 あなたについて誰かが話…