ーーーー講義録始めーーーー さて、先ほど述べた近年の政策動向は、私たち一人ひとりにどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは、ミクロの視点からその経験について考察します。何らかの病気や怪我で医療機関を受診する場合、一過性の治療で済むこともありますが、集中的な治療や入院が必要となったり、長期間にわたる治療・リハビリテーション、または医療と介護の両方が必要になる場合もあります。現行の医療政策では、医療や病床の機能が「高度期」「急性期」「回復期」「慢性期」といった区分に基づいて運用されており、治療や療養の現場が段階的に移行していく仕組みとなっています。 たとえば、脳血管疾患を発症した高齢者が、救急…