作家。小説家。
1966年、長崎県生まれ。 筑波大学第二学群人間学類卒業。 卒業後商社勤務等を経て、旅行代理店に勤務。 2000年『午前三時のルースター』で、第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞しデビュー。 『ワイルド・ソウル』で大藪春彦賞・吉川英治文学新人賞・日本推理作家協会賞の三冠に輝く。 2005年『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞を受賞。
『極楽征夷大将軍』垣根涼介 文藝春秋 極楽征夷大将軍 (文春e-book) 作者:垣根 涼介 文藝春秋 Amazon 第169回(2023年上期)直木賞受賞作品。 足利尊氏…自分の世代は教科書に載っていた肖像画をすぐに思い浮かべるが、いまはあれは別人ということがわかったらしい。 尊氏、直義兄弟の物語。尊氏ってこんな人物だったのかあ。尊氏というひとがいいだけの男を神輿に担いで兄の代わりに必死に采配する弟直義。高師直などの友のような部下たち。尊氏をめぐって奮闘する周囲の人々の様がとても軽妙で面白く読める。 後半は歴史にたがわず暗い影を感じる展開ではあるのだが、これがまた歴史の現実であ り受け止める…
垣根涼介さん最新刊 「蜻蛉の夏」が9月19日に発売! 本ブログでは、大好きな作家さんのひとりである「垣根涼介さん」の作品を度々取り上げてきました。 ハードボイルと路線で定評を得ていた垣根さんですが、最近は時代物に取り憑かれているようです。 大泉洋さん主演で映画化もされた「室町無頼」は傑作。織田信長の孤独を描いた「信長の原理」も、心理描写の妙たるや見事でした。 ただ…。 最近の「極楽征夷大将軍」「武田の金、毛利の銀」についてはマナス評価です。奥深さ、重厚さが以前の作品からすると不足しているのが非常に気になりました。 登場人物の行き方・考え方をベースにし、その人生観を基盤としながらエンタメ的に歴史…
「室町無頼」面白そうだと思っていたら原作小説があるらしいじゃないですか。映画の前に読んでみたところ、「これ、どうやって映像化するんだろ……?」 原作厨の自覚がありますのでね、私。正直、不安もありましたが、映画「室町無頼」も面白かった。 この記事では原作先読み勢として、映画版と原作版の違いやそれぞれの面白さ、観どころなどを語ります。ネタバレあり。どうぞよろしくお願いします。
こんにちは。 昨日は映画のサービスデーでしたので、『室町無頼』を観てきました! 室町時代の幕府のやり方に疑問を持つ、浪人や農民たちの管理を幕府から依頼されている悪党などの様子が丁寧に描かれている作品でした。 百姓一揆で一万人もの灯が、京の街に集う光景は圧巻でした。 映画館ならではの迫力ですね。 家ではサブスクでも映画をよく観ていますが、家のTVだとこの迫力は味わえなかったことでしょう。 原作は、直木賞作家の垣根涼介氏の『室町無頼』。 ミステリー作家としてデビューされた方ですが、時代劇など、幅広いジャンルを描ける作家さんで、素晴らしい♪ 原作の複雑な人間模様や葛藤が、映画にもそのまま描写されてい…
一条真也です。東京に来ています。22日の夜、業界の新年賀詞交歓会の二次会に参加した後、TOHOシネマズ日本橋で日本映画「室町無頼」のレイトショーを観ました。劇場が「コレド室町」という施設に入っているのも縁がありました。終演時はすでに深夜でしたが、もう最高に面白かったですね。ブログ「君の忘れ方」で紹介したわが原案映画と同日公開ですが、これは今年初の一条賞候補作品です! ヤフーの「解説」には、こう書かれています。「『ヒート アイランド』の原作などで知られる直木賞作家・垣根涼介の歴史小説を実写映画化。大飢饉と疫病により荒廃した室町時代の京都を舞台に、混迷の世を顧みようとしない権力に立ち向かう無頼たち…
戦国時代が始まるずっと前。室町幕府が治める京都はとても悲惨な状況だったようです。学校で習う歴史は一部のエリートの動向だけで、本当の庶民たちがどのような暮らしをしていたか教わることはありません。強いものは弱いものしいたげ、弱いものはまたさらに弱いものから奪い取る。百姓たちは高い税金を取られて、道を歩くのにも通行税をむしり取られる。生活のために借金をして返せなければ土地も娘も全部奪われてしまう。 弱い立場に生まれてきた人たちは何のために生まれてきたのか、何のために生きているのかわからないほど搾取される人生。そういう時代が本当に長くつづいていたのだろうと想像できます。 そんな虐げられた層から武術ひと…
こないだの近江舞子からの帰り、 途中越えを通りました。 そのときに思い出したのが 「信長の朽木越え」です。 1570年、越前朝倉攻めの際、 妹のお市を嫁がせて同盟関係にあった 浅井長政に裏切られ、窮地に陥った信長は、 朽木街道を抜けて京都に逃げ戻りました。 信長の原理 この小説では、同行した松永弾正の手引きで、 信長が救われる場面が印象的に描かれています。 図書館のタグを貼る場所、統一されてないなあ。 「原理」というタイトルは、ものごとの原理を追求せずにはおられない 信長の癖(へき)から来ているのでしょう。 信長がアリの集団を観察していると、 よく働くアリ、ふつうのアリ、サボるアリがいる。 そ…
垣根涼介「武田の金、毛利の銀」レビュー 垣根涼介さんの最新刊、「武田の金、毛利の銀」を読了しました。 垣根さんといえば、前作「極楽征夷大将軍」で念願の直木賞を受賞しました。 ただ…。 この「極楽征夷大将軍」は私からすると相当な駄作で、垣根歴史小説の得意とする武将の機微のようなものが十分に描けていたとは考えていません。 「室町無頼」「信長の原理」「涅槃」が秀作だっただけに、その落差が大きいと感じたものです。露と消える運命の武将の心の中を、艶めかしさたっぷりに描いてこその垣根作品。 足利幕府のゴタゴタぶりと尊氏の無能ぶりをただただ描き続けた前作は、少々辟易としてしまいました。 だからこそ期待してい…
2023年に直木賞を獲った垣根涼介の歴史長編小説をようやっと読み終わった。 長かった・・・ 500ページを超え、しかもページ上下2段でボリュームが凄い。 各ページの余白は驚くほど狭く、かつて読んだ本の中でも長編に属する。 かみさんのお薦めで、時間はかかったけど、なかなか面白かった。 室町幕府の開祖である足利尊氏とその弟直義の物語で、 さもノンフィクションであるかのような錯覚に陥るほど精緻なフィクションである。 思えば、会社生活で経験した権謀術数が繰り広げられる世界に似たものを感じる。 日本人のDNAなのかねぇ・・・ 平安時代から鎌倉時代に移り、鎌倉幕府の崩壊と室町幕府の成立初期が描かれている。…
垣根涼介最新刊「武田の金、毛利の銀」が7月24日に発売! 第169回直木賞を受賞した垣根涼介さん。 以前はハードボイルドものを主戦場としており、その乾いた文体と心情描写の巧みさからお気に入りの作家さんとなりました。 その後は「君たちに明日はない」シリーズでリストラ業者の悲哀を描き、方向転回を図り出します。 そして…。 現在は完全に「歴史小説」一本槍。 主人公偏重型の書きぶりで、お得意の心情描写を駆使して、これまでとは異なる人物像を描いており、歴史小説界に新たな風を巻き起こしていると感じています。 これまでの歴史小説としては、「光秀の定理」「室町無頼」「信長の原理」「涅槃」「極楽征夷大将軍」。 …