作家。小説家。
1966年、長崎県生まれ。 筑波大学第二学群人間学類卒業。 卒業後商社勤務等を経て、旅行代理店に勤務。 2000年『午前三時のルースター』で、第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞しデビュー。 『ワイルド・ソウル』で大藪春彦賞・吉川英治文学新人賞・日本推理作家協会賞の三冠に輝く。 2005年『君たちに明日はない』で第18回山本周五郎賞を受賞。
戦国時代が始まるずっと前。室町幕府が治める京都はとても悲惨な状況だったようです。学校で習う歴史は一部のエリートの動向だけで、本当の庶民たちがどのような暮らしをしていたか教わることはありません。強いものは弱いものしいたげ、弱いものはまたさらに弱いものから奪い取る。百姓たちは高い税金を取られて、道を歩くのにも通行税をむしり取られる。生活のために借金をして返せなければ土地も娘も全部奪われてしまう。 弱い立場に生まれてきた人たちは何のために生まれてきたのか、何のために生きているのかわからないほど搾取される人生。そういう時代が本当に長くつづいていたのだろうと想像できます。 そんな虐げられた層から武術ひと…
こないだの近江舞子からの帰り、 途中越えを通りました。 そのときに思い出したのが 「信長の朽木越え」です。 1570年、越前朝倉攻めの際、 妹のお市を嫁がせて同盟関係にあった 浅井長政に裏切られ、窮地に陥った信長は、 朽木街道を抜けて京都に逃げ戻りました。 信長の原理 この小説では、同行した松永弾正の手引きで、 信長が救われる場面が印象的に描かれています。 図書館のタグを貼る場所、統一されてないなあ。 「原理」というタイトルは、ものごとの原理を追求せずにはおられない 信長の癖(へき)から来ているのでしょう。 信長がアリの集団を観察していると、 よく働くアリ、ふつうのアリ、サボるアリがいる。 そ…
垣根涼介「武田の金、毛利の銀」レビュー 垣根涼介さんの最新刊、「武田の金、毛利の銀」を読了しました。 垣根さんといえば、前作「極楽征夷大将軍」で念願の直木賞を受賞しました。 ただ…。 この「極楽征夷大将軍」は私からすると相当な駄作で、垣根歴史小説の得意とする武将の機微のようなものが十分に描けていたとは考えていません。 「室町無頼」「信長の原理」「涅槃」が秀作だっただけに、その落差が大きいと感じたものです。露と消える運命の武将の心の中を、艶めかしさたっぷりに描いてこその垣根作品。 足利幕府のゴタゴタぶりと尊氏の無能ぶりをただただ描き続けた前作は、少々辟易としてしまいました。 だからこそ期待してい…
2023年に直木賞を獲った垣根涼介の歴史長編小説をようやっと読み終わった。 長かった・・・ 500ページを超え、しかもページ上下2段でボリュームが凄い。 各ページの余白は驚くほど狭く、かつて読んだ本の中でも長編に属する。 かみさんのお薦めで、時間はかかったけど、なかなか面白かった。 室町幕府の開祖である足利尊氏とその弟直義の物語で、 さもノンフィクションであるかのような錯覚に陥るほど精緻なフィクションである。 思えば、会社生活で経験した権謀術数が繰り広げられる世界に似たものを感じる。 日本人のDNAなのかねぇ・・・ 平安時代から鎌倉時代に移り、鎌倉幕府の崩壊と室町幕府の成立初期が描かれている。…
垣根涼介最新刊「武田の金、毛利の銀」が7月24日に発売! 第169回直木賞を受賞した垣根涼介さん。 以前はハードボイルドものを主戦場としており、その乾いた文体と心情描写の巧みさからお気に入りの作家さんとなりました。 その後は「君たちに明日はない」シリーズでリストラ業者の悲哀を描き、方向転回を図り出します。 そして…。 現在は完全に「歴史小説」一本槍。 主人公偏重型の書きぶりで、お得意の心情描写を駆使して、これまでとは異なる人物像を描いており、歴史小説界に新たな風を巻き起こしていると感じています。 これまでの歴史小説としては、「光秀の定理」「室町無頼」「信長の原理」「涅槃」「極楽征夷大将軍」。 …
著者 垣根涼介 長編 単行本 552ページ 2段組 発売日 2023/5/11 読み終えるのにかかった時間 21時間 第169回直木三十五賞受賞作 やる気なし使命感なし執着なしなぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか? 動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕…
宇喜多の捨て嫁【電子書籍】[ 木下昌輝 ]価格: 804 円楽天で詳細を見る 【宇喜多の捨て嫁】 「尻はす」と呼ばれる、血や膿が滲み、猛烈な悪臭を伴う病に冒されている宇喜多直家。汚れた着衣は川に流されるが、その着衣を洗って売り物にする「腹裂きの山姥」という乞食がいるという。直家の四女於葉は、自分も川に流される着衣と重なる思いを抱く。主家浦上家の家臣たちの中で、直家の謀略で次々と敵対する勢力が「仕置(暗殺)」されていき、そのためには自分の娘を平気で謀略の種とする。 長女初は嫁ぎ先で直家が重臣を離反させて滅亡させ、初は自害する。次女楓は気がふれて、後に直家が婚家を攻め戦火に焼かれてしまう。そして於…
極楽征夷大将軍 (文春e-book) 作者:垣根 涼介 文藝春秋 Amazon 「極楽征夷大将軍」 垣根涼介(著) 文藝春秋 あらすじ 謎のベールに包まれた、足利尊氏という男… まとめ こんな人にオススメ こんにちは、ちわぷ〜です! 時代小説2作が大賞となった今年の直木賞。 以前「木挽町のあだ討ち」をご紹介させて頂きましたが、本日はもう一作の作品をご紹介いたします☆ 「極楽征夷大将軍」 垣根涼介(著) 文藝春秋 あらすじ 室町幕府を開いた将軍として知られる足利尊氏。 しかし、実は、やる気ナシ、執着なし、使命感なしの男だった!? そんな尊氏が、なぜ天下を取れてしまったのだろうか… 謎のベールに包…
ヒートアイランド (文春文庫) 作者:垣根 涼介 文藝春秋 Amazon 【あらすじ】 ・渋谷でファイトパーティを開き、ヤクザ顔負けの稼ぎでのし上がったストリートギャングチームの雅。とあるメンバーがバーで揉め事を起こし、多額の札束が入ったバックを持ち逃げしてしまった。一方、非合法カジノバーから裏金強奪した3人組の男たち。今日で引退を決意したメンバーがその日の夜に他人の揉め事に首を突っ込んだばかりに現金を奪われてしまったため残りの2人で回収しようとする。カジノバーを運営する松谷組、雅のビジネスを乗っ取ろうとする麻川組も乱入した、少年ギャングと強奪プロとの行き詰まる攻防。 【感想】 ・成り上がりの…
垣根涼介「極楽征夷大将軍」は、時代物初の駄作か? 垣根涼介さんの「極楽征夷大将軍」を読了しました。 読み終えるまでにかなりの時間要してしまいました。というのも、なかなかモチベーションが上がらなかったからです。 これまでの垣根作品は、一度読み始めるとその魅力に心が揺さぶられて一気に作品の世界に誘われることが殆どした。 それは、氏が時代物を中心として書き始めた「光秀の定理」以降も変わらなかったという印象です。 しかし…。 本作「極楽征夷大将軍」は異なりました。 乱暴な言い方をすれば、垣根時代物初の「駄作」といっていい出来だと考えています。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.Mo…
はじめ ストーリー 感想 作品&キャスト情報 はじめ ニーハオ!中華系男子の いっ君 です。 待たせたな、皆の衆! 「诸位,久等了!」(中国語)これは、映画『室町無頼』の主人公・蓮田兵衛が仲間たちに向けて一揆を決意する際の言葉だ。日本の歴史に名を刻んだ真のヒーローたちの物語がどんなものか、興味津々で初日舞台挨拶付き上映を観てきた。ここから本作の感想を語る。
17日(金)18:30~ 隣町にある映画館で、映画「室町無頼」を鑑賞。 【解説】 垣根涼介の時代小説を大泉洋主演で実写映画化した戦国アクション。「22年目の告白 私が殺人犯です」の入江悠が監督・脚本を手がけ、日本の歴史において初めて武士階級として一揆を起こした室町時代の人物・蓮田兵衛の知られざる戦いをドラマチックに描く。 1461年、応仁の乱前夜の京。大飢饉と疫病によって路上には無数の死体が積み重なり、人身売買や奴隷労働も横行していた。しかし時の権力者は無能で、享楽の日々を過ごすばかり。そんな中、己の腕と才覚だけで混沌の世を生きる自由人・蓮田兵衛はひそかに倒幕と世直しを画策し、立ち上がる時を狙…
映画「室町無頼」ネタバレ解説:史実・寛正の土一揆と首魁・蓮田兵衛の背景を深掘り! 大泉洋が蓮田兵衛に!そもそも史実の寛正の土一揆がよく分からない!当時の時代背景はどうなったんだろう!? 大泉洋が、室町時代の無名のヒーロー役って意外! たった1行だけ名を残した人物っていうのが、すでに面白い! 時代劇大好きなので、早速観てきましたが… 垣根涼介の原作小説も未読だし、歴史的背景の知識がゼロだったので時代背景や登場人物のその後が気になった! 意外と面白かったので、時代背景を解説しながら考察していきます! (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({})…
映画『室町無頼』では、蓮田兵衛が悪政に苦しむ民を助けるために、武士で始めて一揆を起こそうとします。 そんな映画『室町無頼』の5つの名言について、詳しく紹介するので参考にしてみて下さい。
「海底軍艦」 初めて見たのは小学校の映画観賞会、学校の講堂だった気がします。今見直しても素直に面白いし、荒唐無稽なSF作品ですが、その奇抜さが少年心をくすぐってしまうほどに奇想天外、これが空想科学ドラマでしょう。ストーリー展開もスピード感あるし、なんといっても海底軍艦の造形に引き込まれてしまいます。東宝の傑作の一本だと思います。監督は本多猪四郎。 疾走するタクシー、カットが代わり冬の岸壁でグラビア写真を撮っているカメラマン旗中と西部、モデルの姿から映画は幕を開ける。突然海から蒸気を吹き上げた海底人が現れ、さっきのタクシーが海に飛び込んでいく。後日光国海運の専務室では専務の楠見と秘書の神宮司真琴…
早いものでもう今年の1月半分が経ってしまいました。 今更ながら今年の読みたい本リストやら、目標を羅列(リスト化)してみようと思います。 生活や健康についての10のこと 読みたい本・作者リストについての100のこと 読書中 積読本 読みたい本(シリーズ続き) 読みたい作者・書籍 生活や健康についての10のこと 1.毎日8000歩(10000歩)を目安に歩く 仕事がある日は難なく達成できると思うので休日などに積極的に動く! 2.就寝時間の目安を作り規則正しい生活を心掛ける たとえ眠れなくてもぐだぐだと惰性でPCやスマホを使用しない 眠れないときは紙の本を読むことにする。 3.目の小まめな休憩や、首…
歴史経済小説。信長が光秀に両家の鉱山調査を命じる。当然警備は厳重であるが、兵法家と元倭寇の仲間とやりとげるまでの展開。途中で武田側の普請奉行が同道することになる。これが後の大久保長安という設定。フィクションでありながらリアルさを醸し出すところは流石。産出量の差に加えて流通性から毛利に軍配があがる。十分楽しめた満足の一冊。 武田の金、毛利の銀 (角川書店単行本) 作者:垣根 涼介 KADOKAWA Amazon
室町無頼 室町無頼 作品情報 あらすじ 登場人物紹介 感想 ホントに現代とそっくりだ 作り方としては不満も 最後に
2024年に読んで最も良かったと思う1冊はワイルドソウルです。
8年ほど前、畏敬する多肉マニア氏から頂いたもの。玄関のガラス際に置いたら半透明が透けてきれいだったので、TG-7のマクロで。 2025年1月4日の独り言 仕事始め。昨年末は仕事納め前に風邪で離脱したので具合を聞かれるが、そのたびに風邪による発熱で肋骨云々と説明し、同情と失笑を買う(笑)。それにしても今日は特に痛い。仕事始めのストレスによるもの? 昨日、クロスカブのキーをオンにしたまましばらく差しっぱにしてしまったら、本日セルが回らず・・・。キック付いてて良かった!キックアーム蹴ったのは40年以上ぶりかな。 昔はバイクのセルモーターなんて贅沢品だった気がする。 実費頒布して貰ったステッカーをクロ…
2024年に読んだ本は、247冊でした。 投資・FIRE系 発達障害ライフハック系 手帳・ノート系 の本をよく読みました。 001.ガラム・マサラ! [ ラーフル・ライナ ] 002.子どもが育つ魔法の言葉 (PHP文庫) [ ドロシー・ロー・ノルト ] 003.リスペクト R・E・S・P・E・C・T [ ブレイディみかこ ] 004.サクラサク、サクラチル [ 辻堂ゆめ ] 005.疲れた人に夜食を届ける出前店 [ 中山有香里 ] 006.未来を一緒につくる!ファイナンシャル・プランニング技能士 [ 柳澤美由紀 ] 007.照子と瑠衣 [ 井上荒野 ] 008.#住んだら手帳 [ CHINT…
-著者多数『証言 落合博満 オレ流を貫いた「孤高の監督」の真実』 ◇箕輪諒著『うつろや軍師』 〇箕輪諒著『くせものの譜』 ☆坂井のどか著『もののふうさぎ!』 ◇喜多みどり著『弁当屋さんのおもてなし 巡り逢う北の大地と爽やか子メロン』 ◇近衛龍春著『島津は屈せず(上)』 ◇近衛龍春著『島津は屈せず(下)』 〇燦々SUN著『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん 8』 〇森崎緩著『マヨナカキッチン収録中! 2』 〇岸本和葉著『一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 5 美少女アイドルたちにライバルが現れました』 ◎沖田円著『丘の上の洋食屋オリオン』 ◇山藤圭八著『戦国…
織田信長や明智光秀の人柄がわかるエピソードですね。 著者のこういうところ、好きです。 「武田の金、毛利の銀」垣根涼介
日本史を学んだのは中学生が最後、という私が、3か月ぐらいの間のすきま時間に、室町時代初期(南北朝時代)あたりの時の流れを囓ろうとしたときに、心に残った本。半年も経ったら、その場の思いつきのたわごとも含め、色々と思い出せなくなりそうなので、今のうちに自分向けにメモ。いわゆる「一般の方向け」に分類されている本を手に取り、ここに記すかどうかは、網羅性、客観性は特になく。それでも、少しの一貫性だけはあるかもしれない。南北朝時代は、あいたがう史観が幾重にも連なっており、お気に入りの史観に出会うこともあれば、そうでないこともある。しかし、その多様性こそが、まさに中世の色どりであり、その乱れをありのままに感…
垣根涼介の『極楽征夷大将軍』を読了した。 図書館で2度借り、audibleでも一部を聴き進めながら、ついにこの大作を読了した。とても面白かったのだが、タイミングが悪く、なかなか読み終えるのが長引いてしまった。 著者の歴史小説はやはり面白く、それまで興味を持ったことのない歴史上の人物にも興味と愛着をもつことができる。今回も、歴史の教科書で覚えていた程度の足利尊氏が題材だったのだが、その人物像に惹かれていった。 ただ、これまでの作品と比べると、ちと物語が長いのと、史実を辿るのに忙しく、なかなかエンタメとしてドライブしきれない印象を感じた。それでもこれが直木賞を取ったというのだから、これまでの作品よ…