本名、杉浦英一。 1927年生まれ。名古屋出身。1952年一橋大学卒業。愛知学芸大学(現愛知教育大学)在職中の、1958年、「輸出」で文学界新人賞受賞。1959年、「総会屋錦城」で直木賞受賞。1963年、退職し、文筆業に専念。 『男子の本懐』、『鼠 鈴木商店焼き打ち事件』、『粗にして野だが卑ではない』などの小説を多数執筆し、「経済小説」というジャンルを成立させた一人者。 2007年3月22日没。79歳。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします m(_ _)m さて、自らのブログを振り返る(番宣?)コーナーの後編は、経済小説7くくりと、雑記3くくりから取り上げます。 なお取り上げる作品は、一番好きな「小説」ではなく、「書評」を基準に選んでいます。 11 城山三郎・清水一行 経済小説10&10 1971年、三菱重工社長在職中に亡くなった牧田與一郎の物語。「野武士」のように三菱の風土を変えて行ったエネルギーは、その後の会社の進路も含めて毀誉褒貶がありますが、紙面から溢れ出るほどの迫力でした。そして本作品のブログを書く時に調べる過程で、牧田の子息の消息を知って慄然としました。 次点…
先月の読んだ1日平均ページ数は60ページでした。平均60ページを目標としていたのですが、今月は目標達成です。読了した本は以下の5冊です。一言感想を添えてご紹介します。 読書メーターより 1、検察側の証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アガサ・クリスティー著 クリスティーの法廷劇の脚本です。あるお金持ちの老婦人が殺され、そこに日頃出入りしていた青年に嫌疑がかかり、裁判になります。彼のアリバイを立証する唯一の人物は、青年の妻でしたが、彼女はそのアリバイを逆に覆そうとします。クリスティーの戯曲は初めて読みましたが、なかなか面白いですね。ちょっとした中篇小説を読んだ印象です。 2、帰ってきちゃった…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 私の個人的見解ですが、 ・人間について学ぶこと ・社会の仕組みを学ぶこと この2点に関しては 私たちの生存戦略として 必要不可欠ではないかと考えております。 問題は何をどうやって?なんですけど これは難しいです。 だいたい何を学べばいいのかは 正解のあるものではないと思われ、 とにかくアンテナをビンビンにして 感度良く目の前に現れたものに 突っ込んでいくことが大事じゃないかなと思います。 今回ご紹介する書籍は、 【 人間を読む旅 】 です。 本書をピックアップした理由 『 人間を…
1 本書の概要 経団連会長を6期12年務めた石坂泰三さんについて城山三郎さんが記した本です。 石坂泰三の世界 もう、きみには頼まない (文春文庫) [ 城山 三郎 ]価格: 693 円楽天で詳細を見る 石坂泰三さんは、逓信省の役人からスタートし、第一生命、東芝の社長を歴任し、大阪万博の会長も務めました。 高度経済成長の財界人の代表といった人物です。 その人を城山三郎さんが書く。 「部長の大晩年」が心に残っているわたしには、興味ある1冊でした。 2 城山風伝記 本書は毎日新聞に連載されていました。 なので、毎日なにかしらの山場を作る必要があったのかもしれません。 本書は、幼少期から壮年期に至ると…
経済小説・歴史小説を牽引してきた作家が、先立った妻を偲び綴っていた原稿。書評、マスコミ等々で大きな話題を呼んだ「鎮魂の書」。 彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる──。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。没後に発見された感動、感涙の手記。 <本文より> あっという間の別れ、という感じが強い。癌とわかってから四ヶ月、入院してから二ヶ月と少し。四歳年上の夫と…
「祖業を扱った作品」の第二弾は、城山三郎『臨3311に乘れ』(集英社文庫、1980年)。1948年に馬場勇をはじめとする5人のメンバーで成立した「日本ツーリスト」。「臨3311(サンサンイチイチ)」と呼ばれる修学旅行専用列車を走らせるなど、日本交通公社や日本旅行といった強大な先輩会社を敵に回しつつも、斬新なアイディアで旅行代理店業務の新市場を開拓していきます。ところが、信用も資本もない弱小会社の域を脱せず、事業は足踏み状態に。そんなときに、彼を助けたのが、近鉄の社長・佐伯勇でした。1955年、佐伯の支援のもとで、近畿交通社と合併し、「近畿日本ツーリスト」社が創設されます。かくして、「便利で快適…
2023年、最初に取り上げた作家は、城山三郎でした。彼は、実在した経営者をモデルにした経済小説をたくさん書いています。今回は、そのなかでも「企業の祖業」を扱った作品を二つ紹介したいと思います。ひとつは、信販会社の老舗で最大手の日本信販(1951年創設)の創業者・山田光成をモデルにした『風雲に乘る』。もうひとつは、日本ツーリスト(1948年創設。1955年に近畿交通社と合併して近畿日本ツーリストになる)の創業者・馬場勇をモデルにした『臨3311に乘れ』です。二つの作品から浮かび上がるのは、創業時に立ちはだかる高い壁と、それを打破していこうとする強い「信念・覚悟」です。このブログをご覧いただいてい…
経済小説というジャンルが日本で定着したのは、1970年代後半以降のことです。しかし、それ以前において、経済・企業・ビジネスマン・お金などを扱った小説がまったくなかったのかと言うと、けっしてそうではありません。高度成長期(1955年~73年)になると、企業の内幕、経営者の内面、人間の金銭欲や出世欲などに切り込んだ作品が、少しずつではありますが、持続的に刊行されることになるからです。具体的には、城山三郎、梶山季之、清水一行、山崎豊子などの作家を挙げることができるでしょう。なかでも、きわめて多数の作品を上梓したのが城山三郎と清水一行。のちに「経済小説の巨頭・パイオニア」として評価されるようになってい…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 当たり前の話しですけど ビジネスの世界は日進月歩に変化しますし、 私たち働く側の人間の望むものも変わりますし、 適切な働き方も随分と変わってきていますね。 これからさらに変わっていくでしょうし、 今からは想像も付かない世界が 今後待ち受けている可能性だってあります。 基本的に、変化には柔軟に適応すべきと 私は考えていますけど 「昔」から学べることもあると思うのです。 「過去」をよく知り、 「現在」を冷静に分析するからこそ 「未来」も見えてくるはずです。 「過去」や「現在」をないが…
バターとサツマイモってベストパートナーですね 朝の冷え込みが厳しくなり、特段用が無ければ出不精になる季節。コンビニで買ったスイートポテトと共にホットコーヒーを頂きました。『美味しいねぇ~』バターとサツマイモは鉄板の組合せだ…、と味わいながら今日こそ来週に迫ったお菓子教室のレシピを作らなければ…と。スイートポテトでも作ろうかな…?、いやいや…、少し前に読んだ小説に出てきた『すあま』を作ろう…。それにしても、最近のスイーツって名前が長いなぁと感じます。流行りなのかなぁ?。『じっくりコトコト煮込んだスープ』とか...。 このスイートポテトも文字にして21文字でした。伝えたいことを全て文字にしたような…
未だ50年も経ってないのに… 丸ビルが… 久々に梅田の地上を歩いていたら、丸ビルが絶賛解体作業中でした。 無くなるとは聞いてましたが、もう解体まで進雲出たことに吃驚です。 調べてみたら2023年夏より解体作業に着手ってありました。 知らないだけで結構前から解体作業してたんでしょうね。 丸ビルの中には富士フォトサロンがあったんで、学生時分は結構足を運びました。 なので 丸ビル=フジフィルム ってイメージでした。 解体が進んでいるからか、けっこう低いですよね まあ、富士フォトサロンも結構前に本町へ移転してるんですけどね。 イヤそれにしても丸ビル無くなるのって寂しいですね。 壊した後は万博行バスの発…
(ポピュラー・カルチャー論講義補遺)「アメリカ」を考える(16)城山三郎とフラワー・ムーブメント 作家・城山三郎と言えば、経済小説の草分け的存在で、歴史小説なども多く、どちらかといえば重厚な作風で、中高年男性向けといったイメージが私にはあります。ですが、1967年(当時城山は41歳)に出版された『ヒッピー発見 アメリカ細密旅行』(毎日新聞社)は、4カ月半にわたり北米をバスで駆け巡った紀行文となります。 船でサンフランシスコに着いた城山がまず目にしたのは、「ヒッピー族」の群れでした。 36p「美しいサンフランシスコの街に下りた私に、最も衝撃的だったのはビートの大群であった。私は啞然とし、同時に下…
渡良瀬遊水池に行ってきました。遊水池とは、洪水時に下流河道の流量を減らすために、川沿いの低湿地などに、自然または人工的に洪水の一部をためる施設のこと。渡良瀬遊水池は、茨城県古河市の北西に位置し、渡良瀬川、巴波川、思川が合流する低湿地に建設された三つの調節池からできています。全体の面積は3300ヘクタール、総貯水量は約二億トンと大ダムにも匹敵する日本最大の遊水池。さらに隣接する渡良瀬貯水池(谷中湖)は総貯水容量2640万トンに達し、洪水調節と都市用水、農業用水としての機能も兼ねています。*1 栃木、群馬、埼玉の三県境に近い「道の駅かぞわたらせ」から菜の花の黄色に染まった土手を降りていきます。 白…
小雨の中でしたが、陽気に誘われて野川公園自然観察園へ。山野草が今を盛りに満開です。オドリコソウ、キクザキイチゲ、ムベ、アケビも見頃です。この時季でしか見られない花がたくさんあります。この数日がお奨めです。今日の様子です。 (↑上の写真)左=自然観察園入口、中=ムベ(郁子、野木瓜)、右=アケビ(木通) ムベ(郁子)はアケビ科ムベ属。APG牧野植物図鑑には「関東地方から琉球列島、および朝鮮半島南部の暖帯から亜熱帯に分布。山地に生える常緑つる性低木」とあります。ムベという名前の由来については「琵琶湖のほとりに狩りに出かけた天智天皇がこの地で長命な老夫婦に出会い『どうしてそう長く健康でいられるのか』と…
ラジオ深夜便で小椋佳(1944年まれ)の数年前のインタビューを流していた。 彼は49歳まで第一勧銀の銀行マンとして仕事をし、一方で日記をつけるように歌をつくっていたが、それがたまたまヒットしていく。その間、組織と個人の葛藤はあったものの、「銀行は寛大に無視してくれた」、と語っていた。この人は自然体の人だ。 そういえば、1997年に開学した宮城大学に翌年夫妻で訪問してもらったことを思いだした。野田一夫学長に会いに来たのだ。夫妻を私が学内をご案内した。翌日、小椋佳と野田先生はゴルフに出かけ、野田先生はホールインワンを達成した。人生2度目である。1度目は50歳の時に、城山三郎とまわった時だという。先…
春のお彼岸に義父母の墓参のために妻の故郷・愛知県・西尾市に立ち寄りました。その足でかねてから一度お詣りしたいと思っていた「殉国七士廟」を訪ねました。愛知県・三河湾を臨む三ヶ根山頂(321m)に、東京裁判(極東国際軍事裁判)で絞首刑を言い渡された七名の合祀墓「殉国七士廟」があるからです。昭和23年(1948年)、A級戦犯が起訴されたのは4月29日、そして起訴されたA級戦犯28人のうち、7人が処刑されたのは昭和23(1948)年12月23日です。当時の昭和天皇の誕生日にA級戦犯の起訴がなされ、皇太子(現上皇陛下)の誕生日にあたる12月23日に処刑が行われたのです。戦後、国民がこぞって祝福すべき日に…
「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一の伝記小説『雄気堂々』(城山三郎著)は銅像の話から始まる。功績をたたえて複数の銅像が建てられたが、渋沢は「また雨ざらしにされるのは、ごめんだね」と丸い顔をしかめたという ◆渋沢の意をくんでか、東京・丸の内界隈(かいわい)には屋内の像もある。小太りでがっしりしているが、足が短い。城山は「そのせいか、この自称『美男』は、ほとんど胸像ばかり残している」と書いている ◆「財布の中に入れられるのは、ごめんだね」。顔のアップとなった「美男」は、そうぼやくかもしれない。渋沢の肖像画をデザインした新1万円札など、新たな紙幣3種類が7月3日から発行される。デザイン刷新は2…
逆説の日本史11 戦国乱世編/朝鮮出兵と秀吉の謎【電子書籍】[ 井沢元彦 ]価格: 1034 円楽天で詳細を見る 「戦国三英傑」編は本人の伝記を取り上げませんが、番外として「逆説の日本史」から本人に迫ります。ここでは豊臣秀吉。井沢元彦は秀吉が「どうやって世に出てきたのか」を考察しています。 【目次】 豊臣秀吉、その虚像と実像編 ―歴史学界がタブー視する「差別」構造 織田つぶしの権謀術数編 ―いかにして「権力の正統性」を確保したか 対決、徳川家康編 ―最大のライバルを屈服させた「人質」作戦 秀吉の天下統一経営1 豊臣の平和編 ―宗教、貨幣、単位を統一した専制君主の国内政策 秀吉の天下統一経営2 …
・経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて著者:山崎元出版:Gakken 2024年1月1日に逝去された山崎元さんの遺作。東大に入学された息子さんへの手紙をベースにして、「仕事」と「お金(投資)」のことを書かれています。「息子への手紙」だと、城山三郎さんが訳された「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」が有名ですが、あれを意識はしてるんでしょうね。いや、僕も読んだはずなんですけど、すっかり忘れてますがw。 僕はなんとなく「山崎元ファン」で、何冊か著作は読ませていただいていますし、ネット記事はフォローさせてもらっていました。…とか言いながら、じゃあ山崎さんのアドバイスに従って…
【中古】天下を計る価格: 2136 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 数字に強い「算用者」として丹羽長秀に仕えた長束正家は、融通の効かない「竪物」と見られていた。例え武勇で名高い武士にも算術の誤りには容赦をせず、帳面から丹羽家の実態を把握することで、主君丹羽長秀から信頼を受けていた。長秀は死の間際、天下人の秀吉は欲望が果てしなく信用できないと述べ、正家に長秀死後の丹羽家を託す。果たして秀吉は丹羽家に120万石から15万石に大減封を命じる。 減封の過程で借金踏み倒しの嫌疑をかけられ、豊臣家から調査が入るが、正家は独自に工夫した帳簿で、指摘された問題点を淀みなく説明して疑問を晴らす。仕事への取組み…
城山三郎の『もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界』を読んでいたら、一高時代の話で谷崎潤一郎が出てきて、「両手をポケットに突っ込んで猫のような目をして歩いている秀才の谷崎潤一郎」と書いてあったが、谷崎のこういう描写は見たことがないのでメモしておく。
大先生、ごめんなさい、週末いろいろとあって、PCの前に座れませんでした。 == 今週読んだ中で澱のように残っているのが、この本である。それはいい意味でというよりも、後味の悪さのせいだと思う。 お受験小説といえば、城山三郎の『素直な戦士たち』が思い浮かぶ。子どもを東大に入れようというスーパー教育ママによって、「最高の英才」に育て上げられようとする長男と、それに付き合わされる夫、そして放ったらかしの次男の話。読書の予想を裏切らず、妻も長男も壊れてしまうのだが、最後はほっこりと救われる。 同じお受験小説でも、本書にはそれがない。ひたすら小学校受験に向けてすべてをなげうって奔走する複数の家族の姿が、隣…
今日は一日、(北西からの)冷たい強風が吹いていました。 そんな中でもメジロさんはミカンや椿の密を吸いに日がな訪ねてきています。 庭に出ると隅っこに置いていた鉢植えのクリスマスローズの花が咲いていました。蕾が出ていたのは気づいていましたが、花は、俯いて咲いていることもあって、はじめての確認。 カメラを仰いだ角度にして撮りました。 もうひとつ、紅白の花が咲く梅の「日月(じつげつ)」です。同じ日に求めた「緑萼」と間違って、名札を刺していました~ 桃には、1本の木に紅白が咲く源平桃がありますが、さしづめ、源平梅?です。 今日の名言: 人間にも企業にも、試練に耐えるためにだけ生きている時期があるのだ。 …
作家の城山三郎さん(1927~2007年)は経済小説という新しい分野を切り開いた。政治家や官僚を描いた作品など、骨太の伝記や歴史小説も数多く残している ◆きょう2月24日は城山さんの妻容子さんの命日である。2000年、68歳で亡くなった。本人ではなく、妻を取り上げるのは奇異に思われるかもしれないが、城山さんが最後に書きつづっていたのは先立った妻との記録だった ◆城山さんは妻を亡くした後の生活に慣れなかった。〈ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする〉。出版された手記のタイトルは『そうか、もう君はいないのか』(新潮文庫)。このひ…
某Hの宿題本、城山三郎「素直な戦士たち」読む。 素直な戦士たち 作者:城山 三郎 新潮社 Amazon 幼児教育から大学受験まで、虐待レベルで教育にのめりこむ親子の姿を描いた小説。昭和53年の本とゆーので、ひと昔の本ではあるが、まあ今も似たり寄ったりの感はある。 この本、最後はどーなるかと思ったら、意外とアレでした。多分、今でこそ教育虐待という単語があるほどに異様な教育の結果、凄惨な事件が何件もあったからこそ、どれだけキツイ話になるかと思ってたら、意外とまあアレでした。 --------------------- 本作とは関係ないけど、教育の話になると、いつも思い出す。長年付き合いのある職人さ…