灯《ひ》などをともさせてくつろいでいる源氏夫婦は美しかった。 女王《にょおう》は二十七、八になった。 盛りの美があるのである。 このわずかな時日のうちにも美が新しく加わったかと 右近の目に見えるのであった。 姫君を美しいと思って、 夫人に劣っていないと見たものの思いなしか、 やはり一段上の美が夫人にはあるようで 幸福な人と不運な人とにはこれだけの相違があるものらしいなどと 右近は思った。 寝室にはいってから、 脚《あし》を撫《な》でさせるために源氏は右近を呼んだ。 「若い人はいやな役だと迷惑がるからね。 やはり昔|馴染《なじみ》の者は 気心が双方でわかっていてどんなことでもしてもらえるよ」 と…