リタイヤ生活に入るにあたって、妻との間に家事分担の話し合いがあった。結果は、三度の食事の調理にかぎり、夫である自分の役割ということで、決着した。 もともと、長年独身生活を送った経験があるので、炊事をすることに抵抗はなかったというのは、嘘だ、外食専門だった。とにかく、日々三度の食事となると内心おおいに躊躇したのだが、掃除洗濯買い物、その他の細々とした諸事万端は妻に全部押し付けるられる、イヤ任せることができるなら、それはそれでこれから生涯休日に入る身としては、悪くないと受け入れたのである。それに、もしも連れ合いに先立たれたら、衣食住の内で垢では死なないが、飢えれば死ぬ。雨風凌げる家はあるから、先ず…