国語辞典では「皇帝の統治する国」とか書かれているが、帝国が指し示す意味は必ずしもそうとは限らない。一般的には特定民族が中心になって、他の複数民族を統治する国家を指す。皇帝による専制政治が行われる事が多いがこれに限定されない。
よってアッシリアやバビロニア、アケメネス朝ペルシア、古代エジプトの諸王朝やインカ、アステカ、イスラム諸王朝、チンギス・ハーンのモンゴルなども「帝国」である。場合によって「ペルシア以前の国家を帝国とは呼ばず、ローマ以前の元首を皇帝と呼ばない」などのルールが主張される場合もあるが、それほど厳密なものではない。
狭義にはローマ帝国→東西ローマ帝国とその後継国家が「帝国」だった。(もちろん理念上のものであって実態とは異なる)
西欧ではローマ帝国の分裂(西ローマ帝国)→カール大帝の加冠(フランク王国)→オットー大帝の戴冠(神聖ローマ帝国)→オーストリア帝国、ぐらいになる*1。ローマ教皇が皇帝を認定できるという微妙な「フィクション」がこの流れの軸になっている。いわゆる「中世普遍帝国理念」などに立ち入るときりがないので省略する。
東欧ではローマ帝国の分裂(東ローマ帝国、ビザンツ帝国)→ロシア帝国、となる*2。ビザンツの皇帝理念(皇帝=教皇など)についても省略する。
→中華帝国