江戸時代、日本は260年以上も戦のない平和な時代を続けました。その中心にいたのが徳川将軍家です。でも、もし将軍が突然亡くなったり、跡継ぎがいなかったら? そのときのために用意されていた“保険”のような存在が「御三家(ごさんけ)」や「御三卿(ごさんきょう)」でした。 まず御三家とは、水戸・尾張・紀伊という三つの大名家のことです。この三家は徳川家康の子どもたちがそれぞれ治めることになり、将軍家ととても深い関係にありました。たとえば、水戸藩を治めたのは家康の十一男・徳川頼房で、後に「水戸黄門」として有名になる徳川光圀(みつくに)はその息子です。光圀は学問に力を入れ、『大日本史』という歴史書を作らせた…