夜の帳が降りて、町が眠りに落ちるころ、ふと空を見上げたくなる瞬間がある。そこには何もない――けれど、すべてがあるような空間。そう、星空だ。 星空は、いつだって静かだ。声を上げず、主張もせず、ただそこに「在る」ことを選び続けている。それが、なんだかとても大きくて、優しくて、少し切ない。 街の光に邪魔されて、都会では星も見えにくくなった。けれど、少しだけ郊外に足を伸ばし、灯りの少ない場所に立てば、空には無数の星がちりばめられている。一つひとつに名前があり、歴史があり、物語があるというのに、私たちはそれを忘れて生きている。 でも、それでいいのかもしれない。星は、忘れられても、変わらずそこにある。人が…